ピルウ
ぴるう
フランスの民間伝承に登場する不可視の幻獣。
概要
ピルウ(Pilou)とは、フランス北西部にあるブルターニュやイル=エ=ヴィレーヌに出没するといわれる、音は聞こえるのだが姿を見ることができないという幻獣で、その姿はヤマネに似ていると想像されている。
この名は柔らかい綿を意味するピローからでは無く、リンゴの果実を木製のすりこぎで砕いてアップルサイダーを作る職人を意味し、真夜中になり家の屋根裏部屋や垂木の上、壁の中などで彼らが行進しているときには、リンゴを磨りつぶすときに立てるリズミカルな音に良く似た足音がするのである。
なおブルターニュではエル・ピルウア・ラン(Er-pilour-lann)とも呼ばれており、決して邪悪な存在ではないが悪戯好きで、木槌で古い家の壁を叩いて音を立てると言われている。
あるケチな男が、ピルウが出るという屋根裏部屋にオークム繊維(船の隙間を防ぐなどの用途のタールを染みこませた繊維)を敷き詰め、その行進で平らに加工できないか試したところ(加工は重労働であり海軍での懲罰や囚人によって行われた)、粉々に裁断され部屋中に散らかされてしまっていたのだという。