剣崎梨々花
けんざきりりか
プロフィール
概要
北宇治高校の女子生徒で、主人公の黄前久美子のひとつ下の代にあたる新1年生。吹奏楽部に所属し、ダブルリードパートでオーボエを担当している。
誰とでも仲良くなれる明るく無邪気な性格の持ち主であり、同じ1年生の部員はもとより、2年生の久美子や3年生の傘木希美といった上級生たちに対しても、自ら話しかけようとする積極性を見せている。
吹奏楽部に入部した当初は、他者に興味を示そうとしないパートリーダーの鎧塚みぞれに対して、その素っ気ない振る舞いから距離感を感じていた。しかし、みぞれのことをよく知る先輩たちからの助言や持ち前の行動力を活かした話しかけを繰り返すことにより、次第に心を開いていく彼女と打ち解けることに成功している。
人物
容姿
緩やかに螺旋(らせん)を描くふわふわとした髪を胸元まで伸ばしつつ、前髪を無造作に後ろでまとめ上げている。また、そのブラウンに近い色味の髪は生まれつき備わったものである。(第二楽章前編、146ページ、最終楽章前編、203ページ)
目や鼻、口元などのそれぞれのパーツは際立って整ってはいないものの、全体的な配置の絶妙なバランスによって、一見した際の美しい印象を仕立て上げている(第二楽章前編、146ページ)。あわせて、運動も器用にこなすことができる彼女は健康的な体躯の持ち主でもあり、とりわけ胸元からくびれにかけての輪郭線は、2年生の先輩である久美子も思わずうなり声を上げるほどのものを持っていることを示している。(第二楽章後編、123~124ページ、129ページ)
なお、原作小説に登場した当初はほかの生徒たちと同様に制服のみの格好であったものの、TVアニメ版(映画『リズと青い鳥』と劇場版『誓いのフィナーレ』)と原作小説の2年生進級時(『決意の最終楽章』)では、袖余りのカーディガンを着用している姿を見ることができる。(最終楽章前編、201ページ、217~218ページ)
性格
他者と接することに物怖じしない明るく無邪気な性格をしており、持ち前のマイペースで大らかな振る舞いのもとに、同級生から先輩まで幅広い交流を見せている。(第二楽章前編、274ページ、最終楽章前編、36ページ、137ページ)
傍(はた)から見れば「肝の据わり方が違う」と捉えられるような大胆で無茶苦茶な行動をとることも少なくない彼女であるが(第二楽章後編、75ページ)、その行動の一つひとつは自らの愛嬌と魅力に対する自信と相手の懐に潜り込むまでの距離感の計測に基づくものであり、ただ純真なだけではない、したたかで小利口な一面も秘めている(短編集2巻、72ページ、最終楽章前編、218ページ、最終楽章後編、198ページ)。しかし、そのしたたかさによって他者をあざけるような言動や行動をとることはなく、同級生の久石奏のような計算高いタイプからみぞれのような内向的なタイプまで、さまざまな性格の部員たちと好意的に接している。
その他
- 愛称は「リリリン(りりりん)」(第二楽章前編、146ページ、最終楽章前編、83ページ、137ページ)。なお、映画『リズと青い鳥』では名前である「梨々花」で通している。
- ポンパドールにした髪形やぽやっとした調子などから受けるギャルのような印象とは裏腹に、非常に察しのいい聡明(そうめい)さを秘めている(最終楽章前編、36ページ、137ページ、最終楽章後編、198ページ)。勉強においても、「数学は誰にも負けない自信がある」と豪語する同学年の前田蒼太を差し置くようにして数学の学年1位の座に輝くなど、非凡な活躍ぶりを発揮している。(短編集2巻、30ページ、『新北宇治高校吹部紹介プロフィールカード(剣崎梨々花、前田蒼太)』掲載の紹介文)
- 両親は飲食業で働いており(短編集2巻、69ページ)、その影響からか梨々花自身もそれなり以上の料理の腕を身につけている。部活が休みの日には、たびたび奏とふたりで「上質な趣味」と称してお菓子作りに励み、ウフ・ア・ラ・ネージュやトロペジエンヌといったさまざまなスイーツを作り上げている。(短編集2巻『上質な休日の過ごし方』)
- なにかのお礼としてコンビニで購入した味付きのゆで卵を渡すことがあり、希美や中川夏紀といった先輩たちに手渡す姿をしばしば見かけることができる。その際に「おいしいです」と言っていたところから、明確なシーンはないものの梨々花自身も好物としてよく食べている可能性もある。(映画『リズと青い鳥』、劇中および来場者特典イラストカード、劇場版『誓いのフィナーレ』公式ファンブック、92ページ)
演奏技術
ダブルリードの木管楽器であるオーボエを担当しており、入部した当初からパートリーダーのみぞれが「なかなかに優秀だった」と認めるほどの実力を有している。(第二楽章前編、385ページ)
夏の吹奏楽コンクールに向けたオーディションでは、楽器編成上のオーボエの枠の少なさとパートリーダーのみぞれとの実力差によって、A編成部門のメンバーからは外れてしまっている(第二楽章後編、39ページ、映画『リズと青い鳥』)。しかし、その後は互いに別々に活動するなかでも余白時間を見つけてはみぞれに教えを乞うたり、彼女と一緒に二重奏を練習したりと、上達のために積極的に行動する様子を見せている。(劇場版『誓いのフィナーレ』公式ファンブック、92ページ)
コンクールシーズンを終えて3年生たちが引退し、「チーム黄前」による新体制の部が始まるようになると、梨々花は持ち前の高い腕前を評価される形で1年生指導係を任されるようになる(最終楽章前編、36~37ページ、86ページ)。また、4月からの新年度を迎えて以降は、1年生指導係の仕事と並行しながらコンサートミストレスの役職も兼ねるようになっており、全体合奏の前にチューニングの基準となる音を提示している。(最終楽章前編、364ページ、最終楽章後編、203ページ)
なお、サンライズフェスティバルなどのパレード演奏においては、屋外演奏という制約からオーボエが演奏できないためにカラーガードを担当しており、フラッグを振り回しながらパレードの本隊を先導している。(最終楽章前編、145ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』)
経歴
北宇治高校に進学し、同校の吹奏楽部に入部を果たした梨々花は、持ち前の無邪気でマイペースな振る舞いを活かしながら次第に交友の輪を広げ、部内において低音パートの久石奏と肩を並べるほどの影響力を持つに至っている(第二楽章前編、274~275ページ)。また、ダブルリードパートのなかにおいても、ファゴット担当の同級生である兜谷えると籠手山駿河のふたり(※なお、原作小説ではファゴット担当の1名のみとなっている)と意気投合するようにして「ダブルリードの会」を結成し、1年生同士でわいわいと楽しく過ごす日々を送っている。(第二楽章前編、385ページ、『新北宇治高校吹部紹介プロフィールカード(剣崎梨々花、兜谷える)』掲載の紹介文)
吹奏楽コンクールA編成部門のメンバーには楽器編成の関係で選ばれなかったために、コンクールシーズンは2年生の先輩である加藤葉月や同級生の鈴木さつきとともにB編成部門のメンバー(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサポートチーム)として活動している。コンクールへの挑戦が終わり、新たに久美子を部長とする新体制が始まると、梨々花は1年生ながらダブルリードパートのリーダーと1年生指導係の役職を任されることになる(短編集2巻、179ページ)。アンサンブルコンテスト部内予選に向けた練習ではファゴットの同級生たちとともに木管五重奏を結成したり、翌年4月からの新年度では1年生指導係として新たな1年生たちの面倒を見るなど、役職と奏者の二正面で多忙な日々を送るようになるものの、梨々花は先代のパートリーダーであるみぞれから将来の舵取りを託されたことを受けて「頑張らないとって思ってるんです」と奮起しながら取り組んでいる(最終楽章前編、218ページ)。また、そのような彼女と一緒に仕事にあたっている先輩の葉月や、彼女から教えを受ける義井沙里たち新1年生の面々についても、あふれる元気と聡明さのもとに一心に指導にあたる梨々花の姿に際して「よう頑張ってる」というような高い評価や尊敬の気持ちを抱いたり、「りりりん先輩は可愛いんやもん」などの親しみや信頼感を覚えるようになっている。(最終楽章前編、137ページ、209~210ページ、308ページ)
主要キャラクターとの関係
鎧塚みぞれ
ダブルリードパートのリーダーを務めている、オーボエ担当のふたつ上の先輩。3年生。
梨々花はみぞれのことを「鎧塚先輩」と呼んでおり、対するみぞれは「剣崎さん」と呼んでいる。
吹奏楽部に入部した当初の梨々花は、練習熱心で演奏も上手なみぞれに対して憧れを抱きつつも、他者に興味を示さない彼女の素っ気ない対応から「私、先輩に嫌われてるんですかね」という気まずい思いを抱いていた(第二楽章前編、148~149ページ)。しかしそののち、みぞれのことをよく知る先輩(※原作小説では久美子、映画『リズと青い鳥』では希美)からのアドバイスを受けて積極的な働きかけを続けた結果、次第に心を開くようになったみぞれとコミュニケーションをとることに成功している。(第二楽章前編、300ページ)
彼女と仲良くなって以降は、オーボエの練習に付き合ってもらったり、リードの作成をお願いしたりするなど、同じ楽器を演奏する先輩として助力を受けているほか、天気の話や好きな食べ物いった他愛ない世間話や吹奏楽コンクール当日の応援と細かな気遣い、そしてお盆休みのプールに一緒に遊びに出かけたりするなど、好意と憧れを全面的に押し出しながら関わるようになっている。(第二楽章後編、40ページ、86ページ)
なお、映画『リズと青い鳥』では、仲良くなる前までは「鎧塚先輩」と形式ばって呼んでいたものの、あるときたまたま耳にしたフルートパートの談笑内容から着想を得て「みぞせんぱい」と呼び方を変え、その後も距離感の構築のためにこの呼称を使い続けている。 みぞれも本人の前で口にしているかは不明だが、吉川優子との会話の中で「梨々花ちゃん」と呼んでいる描写がある。
黄前久美子
低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ上の先輩。2年生。
梨々花は久美子のことを「久美子先輩」と呼んでおり、対する久美子は「梨々花ちゃん」と呼んでいる。
1年生指導係である久美子とは入部当初から何度か顔を合わせる機会があったものの、個人的な関わりについては梨々花が自身の友人である奏を通してパートリーダーのみぞれとの付き合い方の相談を持ちかけたことがきっかけとなっている(※なお、映画『リズと青い鳥』では希美に代わっている)。その際に久美子から貰ったアドバイスを実践して無事に成功したことにより、梨々花は彼女に対して信頼を寄せるようになる。
代替わりを経て「チーム黄前」体制による新年度が始まってからも、梨々花は部長として邁進(まいしん)する久美子の一助を担おうと努めており、新1年生たちの心を繋ぎ留める彼女の人心掌握術に感心したり、部内環境の調整に奔走する様子を指して「黄前部長はいろいろと苦労してる」と述べたりと、俯瞰(ふかん)した視点から彼女の頑張りを好意的に評価する様子を見せている(最終楽章前編、229ページ、308ページ)。あわせて、ドラムメジャーかつ彼女の無二の親友である高坂麗奈との関わりについても「お二人が一緒にいると、なんだか安心感がある気がします」と和やかに見ており、「来年も再来年も、ずっとずーっと北宇治にいてほしいですもん」といった冗談を交えながら応援している。(最終楽章後編、65ページ)
久石奏
低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。1年生。
梨々花は奏のことを「奏」と呼んでおり、対する奏は「梨々花」と呼んでいる。
梨々花と奏は同じクラスであり、互いに「めっちゃ仲のいいラブラブの関係」を自負している(第二楽章前編、147ページ、298~299ページ)。しばしば低音パートの練習部屋やファミリーレストランなどで一緒に食事をしたり、部活が休みの日にふたりでお菓子作りに励むなど、学生生活のオンオフを問わず気軽に遊び合う間柄として登場している(第二楽章前編、268ページ、339ページ、短編集2巻、71~72ページ、最終楽章前編、284ページ)。また、彼女たちが日頃交わしている会話はそのほとんどが冗談と本音の判別がつかないようなものであり、互いに本音を伏せ合いながら話それ自体のノリと勢いを楽しんでいる。(第二楽章前編、299ページ、第二楽章後編、71ページ、短編集2巻、179~181ページ)
梨々花は奏の折り目正しい振舞いの裏に隠された本性を見抜いているものの(第二楽章前編、297ページ)、奏もまた、梨々花のしたたかで小利口な一面について「自分の活用方法を理解している人間は嫌いじゃない」と高く評価している。(短編集2巻、72ページ)
加藤葉月
低音パートでチューバを担当しているひとつ上の先輩。2年生。
梨々花は葉月のことを「葉月先輩」と呼んでおり、対する葉月は「梨々花ちゃん」と呼んでいる。
1年生時のコンクールシーズンでは互いにB編成部門(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサポートチーム)のメンバーとして一緒に活動していたものの、これといって個人的な関わりを持つことはなかった。しかし、「チーム黄前」の新体制下でともに1年生指導係の役職を任せられたことによって、梨々花は葉月と顔を突き合わせるきっかけを得ることになる。
4月からの新年度に入り、新1年生たちを部内に迎え入れてからは、サンライズフェスティバルに向けた活動などを通して葉月とともに指導や問題解決にあたっている(最終楽章前編、86ページ、168ページ、201~203ページ)。梨々花はしばしば、楽観的な葉月の振る舞いに対して頬を膨らませるようなこともあるものの(最終楽章前編、203ページ)、基本的には同じ役職のパートナーとして素直な関わりを見せている。対する葉月もまた、一見マイペースなようで聡明な梨々花を一目置きながら、「りりりん」という呼び名のもとに信頼をにじませるようになっている。
関連イラスト
冬制服&カーディガン
夏制服&カーディガン
パレード衣装(サンライズフェスティバル)
関連動画
『リズと青い鳥』ShortPV5 先輩大好き梨々花編(2018年5月)