鈴木さつき
すずきさつき
北宇治高校の女子生徒で、主人公の黄前久美子のひとつ下の代にあたる新1年生。吹奏楽部に所属し、低音パートでチューバを担当している。
ノリのいい無邪気な性格の持ち主で、ちょこまかとした人懐っこい振る舞いのもとに加藤葉月をはじめとする低音パートの先輩たちとも打ち解けている。
同じパートの1年生である鈴木美玲とはかつて同じ小学校に通っており、当時の周囲からは「W鈴木」「さっちゃんみっちゃん」というコンビ名で呼ばれていた。北宇治高校の吹奏楽部で美玲と偶然の再会を果たしたさつきは昔のように彼女と仲良くなろうと画策するものの、昔の様子と一変して冷たい態度をとる美玲から距離を置かれてしまう。それでも彼女との仲を深めることを諦めきれないさつきは、彼女に接する機会をうかがいながら日々の練習活動に勤しむことになる。
容姿
くるんと毛先の丸まったツインテールをポンポンのついたヘアゴムで縛った、幼さの残る顔立ちをした小柄な女子生徒(第二楽章前編、57ページ、短編集2巻、123ページ、最終楽章前編、34ページ、108ページ)。その身長は2年生の先輩である川島緑輝よりほんの少し高い程度であり、いつも自身の体躯よりもひと回りほど大きなカーディガンやジャージを着用している。(最終楽章後編、95ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』公式ファンブック、30ページ、50ページ)
また、彼女は子供っぽい印象に似合わしい舌っ足らずな声音やぴょこぴょこと飛び跳ねる活発性の持ち主でもあり、その時々に応じてはにかんだりしょぼくれたりする彼女の振る舞いは、見る者の愛着や同情心をくすぐるような魅力を秘めている。(短編集2巻、129ページ、193~194ページ、最終楽章前編、140ページ、327ページ)
なお、彼女は小柄な体格ゆえに体力は多いほうではなく、とりわけサンライズフェスティバルに向けたパレード練習では、スーザフォンを背負っての歩き練習に悪戦苦闘する様子が登場している。(第二楽章前編、185ページ、最終楽章前編、140~141ページ)
性格
ノリのいい元気いっぱいな振る舞いのもとに誰に対しても分け隔てなく接する、楽観的で無邪気な性格の持ち主(第二楽章前編、56ページ、59ページ、短編集2巻、192ページ)。その特質を見た先輩の緑輝や同級生の久石奏たちからは「人懐っこい小型犬」「距離感の近い小型犬」というような印象を持たれている。(第二楽章前編、101~102ページ)
彼女の悪意のない素直な心根から紡がれる言葉はどこまでもまっすぐなものであり、プライドの高い同級生の美玲からはわずらわしく思われているものの、先輩の葉月をはじめとする低音パートの主だった面々からは好意的な目で迎えられている(第二楽章前編、164~165ページ)。また、普段はポジティブな能天気さが目立っているものの、人の心の動きに敏感で友達想いな一面も秘めており、コミュニケーションを拒否する美玲に遠慮してしまうような繊細さや、自身よりも先輩の葉月がコンクールメンバーに選ばれてほしいと願うなどといった優しさも垣間見せている。(短編集2巻、194ページ、最終楽章前編、53ページ、最終楽章後編、95ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』公式ファンブック、50ページ)
なお、彼女はしばしば持ち前のノリのよさを暴走させることがあり、「低音パートのメンバー全員をツインテールにする」という突発的な企画が立ち上がった際には3年生の先輩である長瀬梨子に対して臆面(おくめん)なく近づいていったり、照れ隠しで荒ぶる中川夏紀を葉月と一緒にあおってチョップを喰らうなど、勢いに任せた悪乗りを披露している。(短編集2巻、126~127ページ)
東中学校の吹奏楽部で3年間チューバを担当してきた楽器経験者(第二楽章前編、57ページ、最終楽章前編、34ページ)。北宇治高校の吹奏楽部に入部した際にもチューバを第一志望に掲げており、葉月をはじめとする低音パートの面々から好意的に迎えられている。(第二楽章前編、79ページ、最終楽章前編、38ページ)
さつきのチューバの実力に関しては、葉月や久美子といった部の仲間たちが認めるほどの腕前を有しているものの(最終楽章前編、102ページ、145ページ、150ページ)、吹奏楽部の強豪校・南中学校の出身である美玲のレベルには及ばない。彼女はその技量の差を埋めるために、部活終了後も自主的に残って練習に打ち込むことを常としている(第二楽章前編、139ページ、179ページ)。しかし、練習そのものに対する意気込みは高いものの、細かい部分の詰め込みについてはどうしても甘さが出てしまうため、しばしば美玲から練習内容に関する指摘を受けてもいる。(短編集2巻、266ページ、短編集3巻、183ページ)
高校1年生時
東中学校の吹奏楽部で経験を積んださつきは、北宇治高校に進学してからも吹奏楽部でチューバを演奏することを希望し、同部の低音パートの新たなメンバーとなる。そこで彼女は、持ち前の誰とでも仲良くなれる人懐っこい性格を全面的に押し出しながら、明るく元気な振る舞いのもとに活動に取り組んだり、わからないところを素直に質問するなどしており、低音パートの先輩たちのみならずさまざまな楽器の部員たちと交友を深めている(第二楽章前編、121ページ、139ページ、短編集3巻、13〜14ページ)。しかしながら、彼女はかつての幼馴染である美玲のほか、本心を見せない奏や月永求といった低音パートの同級生たちと思うように仲を進展させることができず、「ほんまはもっと低音の一年生同士で仲良くなりたい」というような想いをたびたび口にしている。(第二楽章前編、130~131ページ)
美玲がサンライズフェスティバルの練習時(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサンライズフェスティバルの当日)に癇癪(かんしゃく)を起こし、一時は低音パートの結束も危ぶまれたものの、その後彼女が自身の誤解を解いて反省したことにより、仲直りを申し出されたさつきは美玲とかつてのような親しい関係を結ぶことに成功している(第二楽章前編、206~207ページ)。この和解以降、さつきは美玲のほかに奏とも顔を合わせながら昼食をとったりするなど、低音パートのメンバー同士で和やかな交わりを見せるようになっている。(短編集2巻、123ページ)
吹奏楽コンクールへの挑戦においては、3年生の後藤卓也と長瀬梨子、卓越した技量を持つ美玲がA編成部門のメンバーに選ばれたために、さつきは2年生の葉月とともにB編成部門のメンバー(劇場版『誓いのフィナーレ』ではサポートメンバー)として活動することになる。A編成部門のメンバーが練習に取り組むなか、彼女はデパートで行われる演奏会に出演したりするなど別行動が増えるようになるものの(第二楽章後編、258ページ)、それと同時に関西大会(支部大会)の本番を迎える仲間たちに対してエールを送るような熱い気持ちもしっかりと抱いている。(第二楽章後編、311~313ページ)
代替わり以降~高校2年生時
黄前久美子を部長とする新体制が発足してから間もなく行われたアンサンブルコンテスト部内予選では、さつきはトロンボーンパートの同級生に誘われる形で金管八重奏のメンバーに加わり、『高貴なる葡萄酒を讃えて』の第5楽章に挑戦することになる。曲を決めた当初は、彼女はメンバーたちの実力と曲の難度の差に不安を覚えていたり、奏や美玲たちの所属するグループのレベルの高さを例に挙げながら「うちらが本選に出場するのはハイパーな奇跡が起こらない限り難しい」などと明かしていたものの、同時にこの部内予選を自身のスキルアップの機会と捉えて「頑張れば、絶対に吹けない曲ではない」と前向きに考えるなど、あくなき向上心のもとに挑戦しようとする様子も見せている。(短編集2巻、191~192ページ、194ページ)
2年生に進級して以降は、さつきは低音パートの新たなメンバーとなった新1年生の針谷佳穂や釜屋すずめ、上石弥生たちに対して、音程のコントロールをはじめとする演奏指導を施している(最終楽章前編、273ページ、最終楽章後編、28ページ、TVアニメ版3期6話)。彼女から指導を受けるすずめや弥生たちも、普段のおちゃらけた振る舞いを据え置くようにして語られる的確なアドバイスを指して「頼りになる」といった感心を寄せている。(最終楽章前編、273~274ページ)
また、低音パートの新1年生3人と、彼女たちと仲のいいクラリネットパートの義井沙里が何も言わずに部活を突然休んだ際には、さつきは「事件ですよ、絶対に事件!」とわあわあと腕を振って騒いだり、しょんぼりと眉尻を下げながら深く心配する様子を見せている(最終楽章前編、198~200ページ、209ページ)。これに際した同級生の剣崎梨々花は、サンライズフェスティバルに向けた練習のなかで何人もの1年生たちが追いつめられていた現状と重ね合わせながら「多分、何かしら思うところがあったんでしょうねぇ」とさつきと1年生たちを取り巻く環境に思いをいたしている。(最終楽章前編、217ページ)
鈴木美玲
低音パートでチューバを担当している同級生。1年生。
さつきは美玲のことを「みっちゃん」と呼んでおり、対する美玲は「さつき」と呼んでいる。
かつて一緒の小学校に通っており、クラスでは名字が同じという理由から互いに席が近くなることが多かった。そのため、当時の先生を含めた周囲からは「W鈴木」というコンビ名で呼ばれていたほか、当人たちも「とにかくめっちゃ仲良しやってんな!」と明かすほどの親しい交わりのもとに過ごしていた(第二楽章前編、59ページ)。中学校に進学して一度は疎遠になるものの、北宇治高校に進学後、吹奏楽部の体験入部期間に偶然の再会を果たすことになる。しかし、再会を喜ぶさつきとは対照的に、美玲は当初から不快な面持ちのもとにあからさまに彼女を突き放しており、かつてのように仲良くなりたいさつきは空回りをしたり美玲の心を逆(さか)なでてしまったりと、思うように仲を深められずにいた。(第二楽章前編、97ページ、162~165ページ)
美玲がサンライズフェスティバルの際に癇癪を起こし、その反省のもとに仲直りを申し出るようになってからは、二人は入部当初の険悪さをいっさい感じさせない和やかな交わりを見せている。かつてのように気兼ねなく美玲と接するさつきは、根拠に基づいた確かな知見を披露する彼女に「はえー、すごい、さすがみっちゃん」と尊敬の眼差しを向けたり、良好な部内関係を構築するために取り入れられた「大好きのハグ(大好きだよゲーム)」を一緒に行うなどしており、とりわけ「大好きのハグ」では、「みっちゃんは、めっちゃ努力家で、カッコいい! 運動もできるし全部カッコいい。うち、みっちゃんのこと大好き!」と彼女への好意を余すところなく伝えている。(第二楽章前編、206~207ページ、259~261ページ、映画『リズと青い鳥』)
互いに2年生に進級して新年度を迎えてからも、「さっちゃんみっちゃん」と呼ばれるコンビぶりは相変わらずであり、さつきを想って物事を考える美玲の優しさに際して無邪気に喜んだり、照れ隠しで怒られることを予期して神妙な面持ちで嬉しさをこらえるなどといった様子を見て取ることができる(最終楽章前編、34ページ、141~142ページ、274ページ)。また、あがた祭りを控えた折に「だってうち、みっちゃんと一緒にいたいんやもん」と言いながら上目づかいに美玲を誘ったり、お盆休みのプールでさつきのために歩く速さを落としてくれた彼女ににっかり笑いながら甘えるなど、スキンシップ的な仲のよさを見せる場面もしばしば登場している。(最終楽章前編、284ページ、最終楽章後編、62~63ページ、短編集3巻、17ページ、23〜24ページ、185ページ)
加藤葉月
低音パートでチューバを担当しているひとつ上の先輩。2年生。
さつきは葉月のことを「葉月先輩」と呼んでおり、対する葉月は「さっちゃん」と呼んでいる。
根明な性格の持ち主であるさつきと葉月は相性がよく、体験入部期間の際に出会ってすぐ意気投合している。また、互いに出身中学校が同じであったことも相まって、中学当時の教師のモノマネといった内輪ネタも交わしている。(第二楽章前編、57ページ)
二人はその後もしばしばスキンシップを含めたノリのいいふざけ合いを披露したり、部内の休憩時間にくだらない雑談に興じたりと、部内活動の始終を通して愉快な先輩後輩の関係を続けている(第二楽章前編、162ページ、207ページ、短編集2巻、31ページ、最終楽章前編、303ページ)。同時に、1年生時のコンクールシーズンで互いにA編成部門のメンバーから外れて一緒に活動していたこともあり、2年生時のオーディションでは先輩の葉月がAメンバーに選ばれた際に自分のことのように喜んでいる。(第二楽章後編、258ページ、311~312ページ、最終楽章前編、327ページ、最終楽章後編、95ページ)
久石奏
低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。1年生。
さつきは奏のことを「奏ちゃん」(TVシリーズでは「かなぴー」)と呼んでおり、対する奏は「さつき」と呼んでいる。
作品のストーリーが久美子の視点から描かれる都合上、さつきと奏が仲を深めているシーンはあまり多く出てこないものの、休日練習の昼休みでは一緒に昼食を食べている様子が登場している。(短編集2巻、123ページ)
また、さつきは奏がときおり見せる上質な休日の一端に際して「奏ちゃんの家、いつかは行ってみたいなー! お城に住んでそう」というような無邪気な思いを明かしている。(短編集3巻、16ページ)
釜屋すずめ
低音パートでチューバを担当しているひとつ下の後輩。新1年生。
さつきはすずめのことを「すずめちゃん」と呼んでおり、対するすずめは「さっちゃん先輩」と呼んでいる。
中学時代からチューバを経験しているさつきは、高校から楽器を始めたすずめに対して一人前の奏者として育てようとする意識を向けながら指導にあたっている(最終楽章前編、155ページ、271ページ、最終楽章後編、28ページ)。吹奏楽コンクールのメンバーを決めるためのオーディションでは、姉の釜屋つばめに対する強烈な執着心を原動力として練習に励んだすずめにA編成部門のメンバーの座を取られる場面もあったものの、当年度のオーディションが各大会ごとに実施する方式であることや、さつき自身の他者の実力を素直に称賛する性格、そして当人たちの明るい振る舞いなどが重なったために先輩後輩同士のトラブルに発展することはなく、「うちだってみっちゃんと同じ舞台に出たい」という意欲のもとにすずめのことをライバルと認め、一緒に練習に励むようになっている。(最終楽章後編、30ページ、94~98ページ、125ページ、TVアニメ版3期8話)
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