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プロフィール

名前滝昇
誕生日8月23日
身長184cm
星座乙女座
血液型A型
担当楽器トロンボーン(音大生時代)
好きな色黒、青
趣味神社仏閣巡り
特技ホルントロンボーンは上手に吹ける
好きなものコーヒー抹茶漬物八つ橋
嫌いなもの黒酢、生八つ橋
CV櫻井孝宏

概要

北宇治高校に新しく赴任してきた教師。吹奏楽部顧問(正顧問)と同部の指揮者を務めることになる。

年齢は34歳(原作1巻、51ページ)。人当たりのいい爽やかなルックスによって女子生徒たちから高い人気を集めているものの、その一方で妥協を許さない卓越した指導者としての才能も持ち合わせている。

生徒の自主性を重んじる」ことをモットーに掲げており、吹奏楽部の部員たちと初めて顔合わせをした際に「吹奏楽コンクールの全国大会を目指すか、それとも皆で楽しく過ごす部にするか」というふたつの異なる方針を部員たちに委ねている。部員たちの多数決によって決まった「全国大会を目指す」という方針を受け取った滝は、その方針に基づいた部内改革によって波乱を巻き起こしつつも、吹奏楽部全体と部員たちのそれぞれに確かな実力を身につけさせ、彼らを全国大会の舞台へと導いていくことになる。

人物

容姿

180センチを超えるスラリとした体躯と柔和な印象を与える端正な顔立ちを持ち合わせた、爽やかなルックスを惜しげもなく振りまく黒髪の男性教師(原作1巻、51ページ、原作2巻、60ページ)。また、TVアニメ版ではナイロール(ハーフリム)の眼鏡をかけている。

つねに穏やかな微笑みを絶やさず、落ち着いた声音と柔らかな物腰のもとに誰に対しても平等に接する滝の振る舞いは、校内の女子生徒や他校の吹奏楽部員たちから「イケメン顧問」と称されるなど高い評判を得るものとなっている。(原作1巻、80ページ、立華編前編、169ページ、316~317ページ、327ページ、第二楽章前編、70ページ、219ページ)

普段の合奏指導などで部員たちの前に立つ際には、白シャツにカーディガンというラフな格好で現れているものの(原作2巻、58ページ、最終楽章前編、135ページ)、吹奏楽コンクールなどの公式な演奏の場においては黒色のタキシードに身を包み、凛々しい出で立ちを披露している。(原作1巻、309ページ、原作2巻、294ページ、第二楽章後編、317ページ)

性格

普段高校教師として仕事にあたる際は、その外見から受けるに相応しい穏やかで甘い面持ちのもとに周囲と接しているが(原作1巻、271ページ、短編集1巻、149ページ、最終楽章後編、192ページ)、ひとたび吹奏楽部の指揮者として壇上に上がれば、妥協を一切排して徹底的に完成形を突き詰める、卓越した指導者としての一面を現すことになる。(原作2巻、17ページ、第二楽章後編、27ページ)

その指導には、彼の生まれ持っての理屈的で不愛想な性格(短編集2巻、114ページ)が色濃く浮き出ており、そのような彼の本性を目の当たりにした吹奏楽部の部員たちは「もはや詐欺だ」と平素との豹変ぶりに辟易(へきえき)している。(第二楽章前編、70ページ)

なお、原作者の武田綾乃は、滝昇という人物を「技術に特化した魅力ある先生。生徒の扱いが下手で、顧問としてはまだまだ」と説明しているほか、吹奏楽部を率いていく顧問としても「生徒がついていきたくなるようなカリスマ性があり、核心をついた厳しい意見をズバッと言ってくれる人」という特質を持っていることを挙げている。(原作公式ガイドブック、193ページ)

その他

  • 担任のクラスは2年5組。また、教師としては音楽の科目を教えており、生徒たちからは「当たり授業」として高い人気を集めている。(原作1巻、51ページ、80ページ)
  • コーヒーが好きで、しばしば橙色マグカップでコーヒーをたしなむ姿が登場している。ミルク砂糖の入ったものが好みであるが、仕事や作業等で起きていなければいけないときには眠気覚ましとしてブラックコーヒーを飲むこともある。(原作1巻、270ページ、原作2巻、50ページ、原作3巻、194ページ、短編集1巻、151ページ)
  • 北宇治高校へは自家用車で通勤している(原作2巻、103ページ、原作3巻、50ページ)。TVアニメ版ではシトロエンアミ8を愛車としており、1期1話や2期6話などで彼の車を目にすることができる。その2期6話では、台風のなか外出していた久美子とたまたま顔を合わせた際に、彼女を助手席に乗せて家まで送り届けている(なお、原作では久美子は滝の車には乗らずにそのまま帰宅している)。TVシリーズ以外でも、特別編『アンサンブルコンテスト』作中の校内の職員駐車場と思われる場所にワンカット映っているほか、2024年には近畿3府県警察+日本損害保険協会近畿支部とのコラボによる自動車盗難防止啓発ポスターでも、車内に滝が乗っている状態で登場している。
  • 普段はそれほど感情的になることはないものの、部員に精神的に追い詰められていた時期に演奏で大きな音を出すための吸音目的で音楽室内に敷いた毛布が部員に片づけられ、その理由を尋ねてひどい回答をされた際には冷静さを失い、怒鳴らずとも強い口調で部員に怒りをあらわにし、すぐに毛布を戻すよう指示を出している(TVアニメ版1期10話)。

吹奏楽部への指導

概要

部員たちに対する演奏指導は基本的に音楽理論に基づいて行われており、全体演奏のなかの細かな歪みをつぶさに捉えて指摘し、ひとつずつ地道に修正していくことで確実に曲のクオリティを上げていく手法をとっている。(原作公式ガイドブック、169ページ、第二楽章前編、134ページ)

いかなる些細な音程やリズムの違いさえも聞き逃さず、全体と調和するレベルになるまで何度も同じ箇所を繰り返すその指導は、部員たちから「スパルタ」「粘着イケメン悪魔」などと恐れられているものであるが(原作1巻、104ページ、277ページ、最終楽章後編、40ページ)、それらの指導の成果によって、個人としても部全体としても見違えるほどの上達ぶりを見せるようになっている(原作1巻、133ページ、216ページ)。どんなに厳しい指摘を受けたとしてもそれが必ず上達に繋がると知った部員たちは滝の指導に対して強い信頼を置くようになり、そのような部員一人ひとりの想いが積み重なることにより、吹奏楽部の実力と結束力はより強固なものへと仕上がっていくことになる。(原作1巻、217ページ、原作2巻、285ページ)

また、単に部員たちに練習課題を課すだけではなく、自身も強豪校の演奏の研究をするなど指導に向けた研究に余念がなく、早朝から深夜まで1日のほとんどの時間をほぼ毎日吹奏楽部に捧げているような状況にある(原作2巻、127ページ、TVアニメ版1期12話、2期1話)。そのような顧問としての尽力ぶりを問われた際には、「確かに大変ですが、やりがいの多い仕事ですよ。皆さんと同じ夢を追いかけて、こうして毎日を過ごすのは楽しいですしね」と答えている。(原作2巻、128ページ、TVアニメ版2期2話)

なお、低音パートの2年生である中川夏紀は、就任後の初合奏から吹奏楽コンクール京都大会(府大会)に至る一連の活動のなかで見せた滝の鮮やかな指導力を「あの先生はわかってるんや、空気の作り方を」と語っており、音楽に関する知識や指導の際の強制力、部員たちへの信頼などを総合した彼のカリスマ性を高く評価している。(原作1巻、247~248ページ、最終楽章後編、307ページ)

就任1年目の活躍

産休に入った前年度までの顧問に代わる形で新たな正顧問に就任した滝は、部員との初めての顔合わせの際に自らのモットーである「生徒の自主性を重んじる」を挙げるとともに、吹奏楽コンクール全国大会への出場を目指して頑張る部活にするか、それとも皆でわいわい楽しむアットホームな部活にするかというふたつの異なる方針を部員たちに委ねた。しかし、決断を迫られた部員たちの多くは、滝の示す「全国大会出場」という言葉を単なる夢物語という認識でしか捉えておらず、結果として吹奏楽部はカッコいいスローガンに流されるような形で全国大会への出場を目標に定めることになる。(原作1巻、52~58ページ、TVアニメ版1期2話)

それから幾日後、吹奏楽部は顧問の滝と初めての合奏を行うことになる。物腰の柔らかな滝の第一印象から、主人公の黄前久美子をはじめとする部員たちの多くは、和やかで楽しい合奏が行われるのだろうという根拠のない確信を抱いていた(原作1巻、80ページ)。しかし、そのような面持ちのままずさんな演奏を披露した部員たちに、指導者である滝は手厳しい評価を下した。

なんですか? コレ」を皮切りとして語られる厳しい叱責に、それまで浮かれていた部員たちの意気はたちまちのうちに沈黙する。滝は部員たちの大多数がこれまでの練習に遊び半分に取り組んでいたことを鋭く指摘するとともに、「私の貴重な休日を無駄にしないでいただきたい」「次の合奏までに完成度が上がっていなければ、サンフェス(※サンライズフェスティバル)に出場する資格などない」と冷ややかな口調で釘を刺し、合奏練習を早々に切り上げて立ち去っていった。(原作1巻、80~89ページ、TVアニメ版1期3話)

その翌日以降、滝は各パートを訪れて巡回指導を行い、部員たちにソルフェージュ(歌唱法)や呼吸法をはじめとする徹底した基礎教育を施す。いままで自由に部活をやってきた部員たちは滝のスパルタ指導に反感を覚えつつも、同時に滝を見返すために必死になって練習に打ち込むようになる。その甲斐もあって、部員たちは翌週に行われた合奏で滝に「まあ、及第点でしょう」と認めてもらえるほどの実力を身につけることに成功している。しかし、滝にとってはこの成長もあくまで「部としてようやくスタート地点に立てた」だけに過ぎず、サンライズフェスティバルに向けた過密な部活のスケジュールや「皆さんが普段若さにかまけてドブに捨てている時間をかき集めれば、この程度の練習量は余裕でしょう」などといった言葉によって、これから先にある練習こそが本題であることを部員たちに示した。(原作1巻、94~108ページ、TVアニメ版1期4話)

吹奏楽コンクールへの挑戦に先立ってメンバー選抜のためのオーディションを実施するなど、数々の改革によって部内にさまざまな波乱を引き起こしつつも、滝の指導によって着実に部員たちは実力とやる気を身につけていき、北宇治高校吹奏楽部は吹奏楽コンクール京都大会(府大会)において金賞を受賞、さらに関西大会(支部大会)の出場団体のうちの一校に選出されることになる。きたる関西大会に向けて、滝はさらなる実力の向上と自身の専門範囲外の穴埋めを図るべく、音大在籍時代の知り合いである橋本真博新山聡美をそれぞれパーカッション(打楽器)木管楽器の外部指導員として迎え入れる。あわせて、夏休みを利用して行われた夏期強化合宿の機会を活用して「十回通し」のような強度の高い練習法を取り入れたり、橋本・新山の各コーチと協力しながら各セクションごとの緻密(ちみつ)な指導を行うなどして、ひと月ほどの短期間で部員たちの技術と表現力を大いに向上させている。

そして盤石の体制のもと迎えた関西大会の本番(TVアニメ版2期5話)では、百回に一回起こるかどうかの”奇跡の演奏”を見事な手腕でまとめ上げ、北宇治高校吹奏楽部を栄えある吹奏楽コンクール全国大会へと導いている。

全国大会に向けた練習のなか、副部長である田中あすかが受験を理由に退部を迫られた際には、部としての支柱を失って気の抜けた演奏をする部員たちを一喝するとともに、「合奏するたびに下手になる」という負のスパイラルを回避するために、その場で合奏練習を切り上げるという選択をとっている(原作3巻、74~78ページ、TVアニメ版2期7話)。なお、滝はあすかの退部騒動とそれに端を発した部全体の集中力の低下について、部員たちに対してだけではなく指導者としての自身に対しても不甲斐なさを感じており(原作3巻、78ページ)、そのような彼と部全体の状況を察したコーチの橋本からは「ここが正念場やで」という励ましの言葉を贈られている。(原作3巻、168ページ)

あすかが母親を説得して無事に復帰を果たすと、橋本・新山の各コーチとともに最後の追い込みをかけ、10月末に開催される全国大会に向けて部員たちを牽引する。しかし、全国大会に向けた練習期間のなかで副部長かつ部の支柱を担っていたあすかが不在になったために生起した部内の士気の下落の影響、そして大阪東照高校や明静工科高校、九州の清良女子高校などに代表される”全国常勝”の雄との実力の隔たりもあり、部全体の意気込みとは裏腹に北宇治高校吹奏楽部は全国大会において銅賞を受賞することになる。(原作3巻、359ページ、TVアニメ版2期12話)

しかし、部長の小笠原晴香や副部長のあすかが閉会式後のスピーチで語った言葉に表れているように、滝の就任からわずか半年間で全国大会のステージに立った北宇治高校吹奏楽部の部員たちは、”強豪校の仲間入り”という自負を胸にさらなる高みを越えようとする想いを、それぞれがしっかりと抱くほどに成長を果たしている。(原作3巻、364ページ)

就任2年目の活躍

吉川・中川体制のもと迎えた新年度においても、滝はふたたび自身のモットーに則る形で活動方針を部員たちに委ね、甘やかさず見放さずの絶妙な距離感のもとに見守っている(第二楽章前編、71~72ページ)。また、オーボエ担当の鎧塚みぞれフルート担当の傘木希美のふたりを当年度におけるトップ奏者として見定め、彼女たちのパートがメインに据えられている『リズと青い鳥』をコンクールの自由曲に選ぶなどといった戦略も立てている。(第二楽章後編、24ページ)

部のメインである上級生たちが滝の指導力を認めていることや、部長の吉川優子が優れた掌握術を発揮したことなどにより、前年度のような決定的な決裂を起こすこともなく、吹奏楽部は順調にコンクールシーズンを通過していった。しかし、夏の終わりに迎えた吹奏楽コンクール関西大会では、部員たちの滝に対する信頼が裏目に出る形で全国大会の選出枠にはあと一歩のところで及ばず、北宇治高校吹奏楽部の挑戦は「ダメ金」という形で断たれてしまうことになる。

3年生の引退に伴う代替わりによって黄前久美子を部長とする新体制が始まると、滝は先代の部長であった優子の構想を引き継がせる形で全日本アンサンブルコンテストへの出場に向けた部内予選を実施させている(短編集2巻、165ページ)。なお、滝の狙いはあくまで部員たちがアンサンブルコンテスト出場の枠をかけて技術の向上に努めるための環境を用意することにあり、コンテストそのものの結果については執着する様子は見せていない(短編集2巻、269ページ)。しかしそれでもなお、部内予選を勝ち上がったクラリネット四重奏のグループは卓越した個人技と完成度の高い全体像によって、最終的にアンサンブルコンテスト全国大会の銀賞という華々しい栄誉を手にするに至っている。(最終楽章前編、82ページ、334ページ)

就任3年目の活躍

久美子を部長とした「チーム黄前」体制の部が新年度を迎えるころになると、北宇治高校吹奏楽部は部の内外を問わず「強豪校」という揺るぎない評価のもとに見られるようになる(最終楽章前編、17ページ、48ページ)。そのような大きな注目を集めていることと、大阪府の”三強”や昨年現れたダークホース・龍聖学園高等部といった他校の存在を鑑みた滝は、部としての目標である”全国金賞”を達成するためにはどうすればいいのかを深く思案し、そのための試行錯誤をコンクールシーズンの終始を通して実施することになる。

具体的には、コンクール編成における低音部を増強するために、テクニックを備えた2年生の鈴木さつきの代わりに大音量が持ち味の初心者である釜屋すずめをA編成部門のメンバーに採用したり、チューバの本数を4人に増やすためにユーフォニアムの本数を2人に減らすなどといった人選や、全体演奏のクレッシェンドやアーティキュレーション(音の表情)のかけ方を「コンクール受け」するような方向に持っていく音楽づくりの面などがあり、それらの施策の随所に「いまの北宇治のベスト」を創るために自身の好みとコンクールへの迎合のあいだでふらついている彼の迷いを見てとることができる。(最終楽章前編、335~336ページ、最終楽章後編、148ページ)

吹奏楽コンクールに向けたオーディションや合奏練習などを通して滝のそれらの施策を目の当たりにした部員たちは、滝が確たる根拠を明かさなかったことを受けて「人数の帳尻合わせで優秀な部員をB編成に送るなんてありえない」「最後の思い出作りのためにソロの担当を交代させたんじゃないか」などという憤りや疑念を抱くようになり、結果として部内の水面下に不和や対立を生じることになってしまう。(最終楽章前編、329~331ページ、最終楽章後編、150~152ページ、156~157ページ、164ページ、177~180ページ、TVアニメ版3期6話、3期9話)

滝千尋との関係

概要

滝のかつての妻であった女性教師。物語の5年前に亡くなっている。(原作2巻、206ページ)

優しげな風貌と性格を併せ持つ小柄な女性で、彼女の若かりしころの写真を見た久美子は「中世古香織に似た柔らかな雰囲気の人」と感想をこぼしている(原作3巻、188ページ、短編集2巻、112ページ)。彼女は運動が好きで元気にあふれる振る舞いを見せつつも、周囲を放っておけない面倒見のよさも兼ね備えており、音大生時代にはひとりで抱え込みがちな同級生の滝や同じサークルの後輩であった新山たちを事あるごとに支えていた。(原作3巻、197ページ、短編集2巻、112ページ、117ページ)

千尋は、現在外部指導員として北宇治高校吹奏楽部の指導にあたっている橋本と同じく、「黄金時代」と呼ばれていた十数年前の同部の卒業生でもある(原作3巻、194~195ページ)。当時の部を指導していた滝の父親、滝透に強い憧れを抱いていた彼女は、自身も彼のような顧問になって吹奏楽部を全国大会へと導き、そこで金賞を獲得してみせるというまっすぐな夢を抱いており、それを叶えるために音楽教師への道を歩んでいくことになる。(原作3巻、195~196ページ、198ページ)

千尋との離別と再起

千尋は吹奏楽部の顧問を務めていた当時、自身の優しい性格ゆえに思うような指導ができず、夫である滝に理想と現実のギャップに悩む姿を見せることもしばしばあった(原作3巻、196~197ページ)。しかしながら、そのような日々は長くは続かず、彼女はある日何の前触れも見せないまま病床に伏し、医師から余命を宣告されることになる。突然の妻の危篤(きとく)に直面した滝は、これまで受け持っていた顧問の仕事などをすべて投げ出し、学校での仕事が終わるとすぐさま病院に駆けつけるなど、妻と寄り添う時間をできる限り増やそうと努めている。妻が臨終する瞬間まで無心で繰り返したそれらの日々について、滝は「本当に、あっという間でした」という言葉で振り返っている。(原作3巻、197ページ)

最愛の妻を亡くして悲嘆(ひたん)にくれる滝は、在りし日の妻を思い出す「音楽」のすべてを遠ざけ、ひとりきりで塞ぎ込む日々を送るようになる(原作2巻、205~206ページ)。しかし、妻の死から数年後、音楽教師として北宇治高校への転勤が決まったある日、滝のもとに自身の父親である滝透が訪れ、かつて自身が指導していた同校の吹奏楽部の顧問を引き受けてほしいと頼み込んだ。滝は当初決断をためらっていたが、不意に沸き立った「いつまでも塞ぎ込んでいたら妻に怒られてしまう」という想いに駆られるようにして、北宇治高校の吹奏楽部の顧問になることを決断している(原作3巻、198~199ページ)。そして、正式に北宇治高校吹奏楽部の正顧問に就任し、部員たちの決めた「全国大会を目指す」という方針を受け取ってからは、かつての妻が抱いていた「顧問として吹奏楽部を全国大会に導き、金賞を勝ち取ってみせる」という夢を引き継ぐ形で部員たちの指導にあたっている。(原作3巻、198ページ、最終楽章後編、195ページ)

また、滝は千尋の命日には、彼女の夫であったことを示す銀の指輪をその日だけはめているほか、生前の彼女が好きだったイタリアンホワイトの花束を墓前に添えることを毎年の行いとしている。「今日は、特別なんですよ」と在りし日の妻に想いをいたす滝の言葉からは、過去を懐かしむ想いとともに、たったひとりの女性を愛し続ける彼の一途さを垣間見ることができる。(原作3巻、53ページ、200~201ページ)

その他の主要キャラクターとの関係

滝透

滝の父親であり、十数年前の北宇治高校吹奏楽部の顧問を務めていた教師である。

現在の年齢は63歳(原作公式ガイドブック、230ページ)。彼は熱血的な人柄と卓越した指導力により、当時の吹奏楽部を吹奏楽コンクール関西大会の常連校レベルにまで押し上げ(原作2巻、284ページ)、年によっては全国大会にまで駒を進めることもあった。また、彼が指導していた当時の吹奏楽部員のなかには、橋本や滝昇の妻のように同校を卒業してから音楽大学に進み、プロの音楽家や音楽教師として活躍する者も出てきている。

彼の指導力は音楽界に広く知れ渡っているようで、プロのトランペット奏者である高坂麗奈の父親とも知り合いであり、彼とは頻繁に家に招かれて酒を酌み交わしながら愚痴をこぼすほどの仲であった(原作2巻、207ページ、短編集1巻、235~236ページ)。また、現在の副顧問である松本美知恵は彼の在籍時から吹奏楽部に携わっており(TVアニメ版1期10話)、彼の部員への指導とそれによって築き上げられた吹奏楽部の黄金時代を目にしてきている。

定年退職を迎えた現在では、趣味の山登りを満喫しながら地域の市民楽団の指揮をしているようである。(原作3巻、194ページ)

彼が現役だった当時は、部活の指導につきっきりだったために家庭を顧みることはなく、父親が構ってくれないことを拗ねていた少年時代の滝昇は「吹奏楽部なんか絶対入るもんか」と彼の庇護(ひご)下から離れるようにして学外の楽団に入っていたほか、父親からの直接指導を拒否するなどといった反抗的な様子も見せていた(原作3巻、194~195ページ、短編集1巻、236ページ、最終楽章前編、178~179ページ)。一方の父親である透もまた、たびたび「息子が懐いてくれない」というような愚痴を麗奈の父親にこぼしたりしている。(短編集1巻、236ページ)

そののち、音楽教師となった息子の昇が北宇治高校に転勤することが決まった際には、透は同校の校長からの頼みを引き受ける形で、昇に「吹奏楽部の顧問になってほしい」という話を持ちかけている(原作3巻、198ページ)。その当時、妻を亡くして無気力になっていた昇は、妻の遺した想いに駆られるようにして顧問を引き受けているものの、それと同時に自身の父親が黄金時代を築き上げた吹奏楽部を任せられたことにも運命の巡り合わせを感じており、父親に対して「少しうれしかった」という喜びを抱いている。(原作1巻、274ページ)

橋本真博

プロのパーカッション奏者として活躍している、滝の音大生時代の同級生。

滝は橋本のことを「橋本先生」と呼んでおり、対する橋本は「滝クン」と呼んでいる。

二人は音楽大学に在籍し、同大学のオーケストラサークルに所属していたころからの顔馴染みの間柄であり、滝はこれまで橋本による騒々しい好意に振り回されながらも、信頼を基とした気の置けない付き合いを続けてきている。(原作2巻、184ページ、205ページ、原作3巻、193ページ、第二楽章後編、168ページ)

滝が北宇治高校吹奏楽部の正顧問に就いてからは、関西大会に挑戦する同部のレベルアップを図るために橋本を外部指導員として招き入れており、部員たちの指導を任せるかたわら互いに他愛もない雑談も繰り広げている(原作2巻、61ページ、302ページ)。滝は就任2年目以降も、橋本に引き続きコンクールシーズンにおける演奏指導を依頼しており、指導の合間に挟まれる橋本のジョークと滝の容赦ないツッコミは、部の夏の風物詩として定着化している。(劇場版『誓いのフィナーレ』公式ファンブック、35ページ)

また、就任2年目のコンクールへの挑戦が関西大会で終わってしまった際には、滝は橋本から「残るのは結果だけか? コンクールで上を目指すことはプラスな面ももちろん多いけれど、それだけに固執させるのは大人のエゴだ」という持論を明かされており、翌年度以降の滝の指導にもその影響が現れ出るようになっている。(最終楽章後編、321~322ページ)

新山聡美

プロのフルート奏者として活躍している、滝の音大生時代の後輩。

滝は新山のことを「新山先生」と呼んでおり、対する新山は「滝先生」と呼んでいる。

二人は橋本と同じく、音楽大学のオーケストラサークルに所属していたころからの付き合いであるほか、新山は滝のかつての妻であった千尋とも当時から親しく交わる間柄であった。(短編集2巻「郷愁の夢」)

現在では、滝は新山に対して吹奏楽部の木管楽器の部員たちのレベルアップを図るために外部指導員の仕事を依頼しており、二人は部員たちをともに鍛えるかたわら、互いに過去を懐かしむような気安い雰囲気も垣間見せている。(最終楽章後編、168~169ページ、347ページ)

関連タグ

響け!ユーフォニアム

吹奏楽部 顧問 指揮者

松本美知恵 - 吹奏楽部の副顧問。年上の同僚にあたる。

橋本真博 - パーカッション(打楽器)の指導を専門に行う外部の指導者。滝とは音大生時代からの旧知の仲。

新山聡美 - 木管楽器の指導を専門に行う外部の指導者。滝とは音大生時代の先輩・後輩の関係にあたる。

高坂麗奈 - 吹奏楽部員の1年生。滝のことを「すごい先生」と評している。

御幸一也 - 中の人、および眼鏡キャラクターつながり。奇しくも派生作品の吹奏楽部で指揮者とユーフォニアムを担当している。

オスカー・ウェブスター - 外見が酷似しているうえに中の人の姓が滝。

コメント

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    『響け!ユーフォニアム』シリーズ二次創作連載小説「或る、フルート吹きの青春」第11話です。 SUB TITLE SONG ARTISTS:ASIAN KANG-FU GENERATION 京都府大会、それもまたドラマ。 いいね、感想、コメント等お待ちしています。
  • 100字刻みの短編集

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    Twitterのタグ「#いいねx100字でSSを書く」で決まった字数と頂いたお題で書いた短編です。
  • イタリアンホワイト

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    またまた懲りもせず新山聡美先生と滝先生のお話です この世界では新山先生は独身で なんと今回は滝先生とお付き合い始めてます 外ではしっかりしていそうな女の人が実は日常だらしないと いいなっていう妄想に基づいて書かれたお話です あと滝先生の奥様の名前は勝手に「里美」(さとみ)さんにしてます 「聡美」先生と音が同じでこの後同じ音のために ややこしくなるお話が書ければいいなという伏線であったりなかったり
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  • Ogni nuovo viaggio

    Folata d'autunno

    Folata d'autunno「秋の突風」です 久美子三年生アニメが始まるまで待ちきれず、脳内妄想を煮立たせてます お目汚しですが、よろしければ・・・・
  • 響け!ユーフォニアムSS(高3編)

    募る想い

    久美子たちが高校三年生の秋、麗奈の滝先生への思いを中心とした全国大会前後のお話です。 ※原作三巻・短編集のネタバレを含みます。ご注意ください。 このシリーズでは、基本的には久美子と秀一を中心に書いていますが、時々、麗奈の滝ラブ描写も出てきます。 ・高1の冬 http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5621878 ・高2の秋 http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5927907 ・高3の初夏 http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6281217 もうすぐ2期開始ですね。立華編に続き、北宇治の本(含短編)も出るし、楽しみです。

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滝昇
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滝昇
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