プロフィール
名前 | 中世古香織 |
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誕生日 | 9月3日 |
身長 | 166cm |
星座 | 乙女座 |
血液型 | A型 |
担当楽器 | トランペット |
好きな色 | 白 |
趣味 | お菓子作り、あすかとカフェ巡り |
特技 | 茶道と華道を小さい頃から習っている |
好きなもの | スイーツ |
嫌いなもの | 虫、人混み |
CV | 茅原実里 |
概要
北宇治高校の3年生で、吹奏楽部に所属。トランペットを担当しており、同パートのリーダーと部内の会計係を務めている。
可憐な雰囲気を漂わせる整った容姿に加え、優しい性格や真面目に練習に打ち込む姿勢など、外も内も綺麗な先輩。部内では「みんなの憧れの先輩」(原作小説)や「吹奏楽部のマドンナ」(TVアニメ版)などと呼ばれており、”信者”を自称する吉川優子をはじめ、彼女のようになりたいと憧れを抱く加藤葉月や鎧塚みぞれなど、多くの部員たちから高い人望を集めている。
しかしながら、部内ではだらけきった姿勢で練習に取り組む先輩たちにコンクールメンバーの座を阻(はば)まれたり、新しく入ってきた1年生の高坂麗奈にソロパートを実力で奪い取られたりと、辛い境遇に立たされることも少なくない。ときには涙を見せることもある彼女だが、部内トップクラスの演奏技術と慈愛にあふれた人格のもとに、折れることなく精力的に日々の活動に取り組んでいる。
人物
容姿
庇護欲をかき立てるような柔和で儚(はかな)げな印象の女子生徒で、部内の男子生徒からは副部長の田中あすかと並んで告白するのもはばかられるほどの美人と目されている(原作1巻、33~34ページ)。また、原作小説ではさらさらとした黒髪(原作1巻、33ページ)、コミカライズ版ではウェーブがかったロングヘア、そしてTVアニメ版ではショートヘアに泣きぼくろと、それぞれ異なる特徴で描かれている。
彼女は170センチを超えるあすかほどではないが背は高く、スタイルも良好である。パレード衣装や水着姿であすかと並んだ際には、そばに居合わせた黄前久美子をして「並ぶと絵になる二人」「ひとつの芸術作品みたいだ」などと言わせしめている。(原作1巻、117ページ、原作2巻、138ページ)
なお、柔らかな線を描く頬や柔らかそうな太ももの持ち主である彼女は、同級生のあすかから「香織の血とか美味しそうやん。なんかさ、首とか見てると、がぶっと噛みつきたくならん?」といった印象を持たれているほか(原作3巻、215ページ、217ページ、241ページ)、TVアニメ版のシリーズ演出を担当している山田尚子も、香織の持つ肉感と身長の絶妙なバランスとボリューム感を指して「色っぽい」とコメントを残している。(TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、15ページ)
性格
おっとりとお嬢様然とした性格の持ち主であり、基本的に争いごとを好むことはない(『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、15ページ)。しかしながら、吹奏楽コンクール京都大会(府大会)への出場に先立って行われたオーディションにおいて、自由曲のソロパートの座を最後まで諦めずに麗奈との一騎打ちを申し出たことなどに見て取れるように、優しさとともに確固とした意志の強さも持ち合わせている。(原作1巻、287~288ページ、短編集2巻、95ページ)
部活動に対しては真面目かつ熱心に取り組んでおり、天才肌の同級生であるあすかに憧れつつも、彼女とは対照的に地道に努力を積み重ねるタイプである。(短編集2巻、40ページ、TVアニメ版1期オフィシャルファンブック、43ページ)
もっとも、香織自身はこれまで培ってきた功徳(くどく)などから集める影響力を積極的に行使しようとはせず、むしろ、他人の自身に対する評価に関しては無頓着なところがある。「吹奏楽部のマドンナ」という肩書きを持ちつつも「マドンナだって、芋が好きなの」と意に介さず嬉々として焼き芋を頬張ったり、北宇治高校の文化祭ではうさぎの着ぐるみに身を包んでノリノリで宣伝活動を行ったりと、他者の目を気にしないマイペースな振る舞いを垣間見せている。 (短編集1巻、188〜189ページ、196ページ、TVアニメ版1期7話)
演奏技術
担当楽器であるトランペットの腕前はなかなかのもので、高校生にして”プロ級”とも噂される1年生の高坂麗奈には及ばないものの、原作小説におけるソロパートの再オーディションでの演奏シーンでは「欠点が見当たらないキラキラとまばゆい完璧な演奏」と表現されるなど、高校生としては充分に上手い(原作1巻、295ページ)。吹奏楽コンクール京都大会の終了後に、顧問の滝昇と副顧問の松本美知恵が交わしていた会話においても、香織の実力は「田中あすかとともに強豪校の生徒たちにも引けを取らない」という高い評価がなされている。(TVアニメ版2期1話)
トランペットに対する想いは強く、周りの部員たちがだらけていても真面目に練習に取り組んでいたり、麗奈との再オーディションにおいて明白な実力差があるにもかかわらず自身のベストを尽くして挑もうとするなど、持ち前の意志の強さに基づいた高潔な姿勢を見せている(原作1巻、285〜288ページ、原作2巻、150ページ)。また、TVアニメ版1期11話で登場した吉川優子の回想シーンのなかでは、香織の演奏を聴いた優子から「先輩はトランペットが上手なんですね」と語りかけられた際に、香織は「上手じゃなくて、好きなの」と微笑みながら答えている。
彼女の使用するトランペットはマイ楽器(私物)であり、自身の祖母から受け継いだものである。(『響け!ユーフォニアム』DVD&BD7巻ブックレット、4ページ)
モデルとなった楽器は、YAMAHA YTR-850。さまざまな音楽ジャンルの奏者から高い評価を得ている高品質なカスタムモデルである。 (『「響け!ユーフォニアム」北宇治高校吹奏楽部 体験ブック』、8ページ)
経歴
高校1年生時~高校2年生時
香織は滝昇が顧問に就任する前の、腐敗した雰囲気が蔓延(まんえん)していたころから熱心に練習を重ねていた部員のひとりであり、易(やす)きに流されず後悔のない選択を積み重ねてきている。(短編集2巻、40ページ)
彼女は1年生のときに吹奏楽部に入部した当初、「学校生活は部活だけじゃない」としてだらけきった雰囲気もある程度は許容していたものの、あからさまに上下関係を振りかざす先輩たちに居心地の悪さを感じるとともに、「来年、もしすごくやる気のある子が入ってきたら、私はその子たちに胸を張れるのか不安になる」と、吹奏楽コンクールでも散々な結果に終わった部の現状とそこに所属する自身に対して懸念を抱いていた。(短編集2巻、44~45ページ)
2年生に進級して部が新年度を迎え、傘木希美や吉川優子をはじめとする新たな1年生部員が入ってくるようになると、香織は先輩として積極的に下級生のことを気にかけたり、だらけた部内の雰囲気に流されずに一心に練習に取り組むなど、模範的な先輩としての活躍ぶりを見せている(夏紀編、68〜74ページ)。その彼女の姿勢は、ほとんどの1年生部員たちから憧れのもとに見られるものであったものの、反対に3年生の先輩たちからは「いい子ちゃん」と疎(うと)まれる対象になっていた。(短編集1巻、169ページ、夏紀編、62〜63ページ)
当時の北宇治高校吹奏楽部は学年が絶対的な価値を有しており、吹奏楽コンクールA編成部門の出場メンバーも上級生から順番に決めていく制度になっていた。そのため、人数の多いトランペットパートの所属である香織は、優秀な実力を持っているにもかかわらず上級生に活躍の場を取られるようになってしまっている(原作2巻、150ページ、夏紀編、75ページ)。このような部内の現状は、香織を慕う「やる気のある1年生グループ」と現体制との対立を決定的なものにしてしまい、両者のあいだに立つ香織は3年生の先輩に「1年生を無視するのはやめてください」と頼み込むなど、部内の環境調整に奔走することになる。しかしながら、学年が絶対の当時の部において彼女の声に聞く耳を持つ先輩はおらず、結局状況を改善できないまま多くの1年生部員たちが自主的に退部するに至っている。(夏紀編、79〜80ページ、TVアニメ版1期11話)
高校3年生進級
3年生に進級し、小笠原晴香と田中あすかのツートップによる新年度が始まると、香織はトランペットパートのリーダーと吹奏楽部の会計係を兼務するようになる。そのほか、部長である晴香の相談役になったり、管楽器担当の新入部員に対して腹式呼吸のコツを教えたりするなど、部の活動を陰日向に支えている様子も見ることができる。(TVアニメ版1期3話、1期7話)
彼女がリーダーを務めているトランペットパートは、滝昇が顧問として部の舵取りをする前からしっかりとパート練習を行なっており、パートリーダーである香織自身が率先して練習に励むことによって、部内全体がだらけているなかでもパート内の規律と後輩たちのモチベーション(意欲)を維持することに成功している(原作1巻、74〜75ページ、TVアニメ版1期1話)。加えて、彼女はパートリーダーとしての演奏指導以外にも、本番前に緊張で固まった後輩に「深呼吸して」と気遣うなど、持ち前の優しさと経験に裏打ちされた頼れる先輩としての一面も見せている。(TVアニメ版1期5話)
そして、そのようなパートリーダーとしての指導力や演奏者としての部内トップクラスの実力、3年間の活動を通して地道に積み重ねてきた功徳などによって、彼女は部内において「「香織先輩」その名を聞いて、異を唱えられる人間などこの部にいるはずがない」と言わせしめるほどの大きな影響力を持つに至っている。(原作3巻、180ページ)
オーディション〜吹奏楽コンクール京都大会
北宇治高校吹奏楽部のコンクール自由曲には、トランペット(原作小説ではコルネット)のソロという大きな見せ場が盛り込まれており、香織はソロパートの座を手にすることを望みながらオーディションに向けた練習に取り組んでいる(TVアニメ版1期6話)。しかしながら、オーディションの結果、ソロパートはより高い実力を誇る1年生の高坂麗奈が担当することになり、練習熱心で人望も厚い3年生の香織がソリストに選ばれなかった事実は、優子をはじめとする多くの部員たちの不満を募らせてしまう。そして、優子と麗奈の対立によって顕在化した自由曲のソロパートの座をめぐる問題は、吹奏楽コンクール京都大会(府大会)を控えた部のなかに色濃い不和を生じさせ、顧問と部員の双方が懸念を抱えるような事態にまでなっている。(原作1巻、278ページ、284ページ、TVアニメ版1期9話~1期10話)
この対立問題の当事者である香織は、すでにソロパートの座から落とされているにもかかわらず、「諦めきれない、納得したい」という一心から、たったひとりでソロパートの練習を続けていた(原作1巻、287~288ページ、TVアニメ版1期10話)。そんな折、部内に生じていた不和を重く見た顧問の滝の判断により、部員全員で決定する公開方式の再オーディションが提案される。これをまたとない好機ととらえた香織は率先して参加を希望し、自由曲のソロパートの担当者は再オーディションをもって正式に決められることになった。(TVアニメ版1期10話)
(なお、原作小説ではコンクール前日のホール練習において、香織の直訴によって特別に再オーディションが行われる形となっている。※原作1巻、293ページ)
そして迎えた再オーディションの本番において、香織はこれまでの努力のすべてをつぎ込んだ「欠点が何ひとつ見当たらない、完璧な演奏」を披露する(原作1巻、295ページ)。しかし、その直後に奏でられた麗奈の演奏は、香織のそれを遥かに上回るほどの表現力をもって部員たちを圧倒し、彼女との実力差を明確に示しうるものであった。
ふたりの演奏が終わったのち、顧問の滝は再オーディションの希望者である香織に「中世古さん、あなたがソロを吹きますか?」と問いかける。その言葉を受けた香織は、数秒の沈黙ののちに「吹かないです………吹けないです」と明確に否定し、ソロパートは麗奈が吹くべきであることを部員全員の見守る前で宣言した。(原作1巻、297ページ、TVアニメ版1期11話)
香織が再オーディションを志望したのは、単に個別式のオーディションによる結果に不満があった部員たちに対して自身と麗奈の演奏を比べさせることで納得してもらおうという狙いがあったのみならず、香織自身が麗奈とのあいだに生じていた絶対的な実力差を自覚しつつも、トランペットが好きであるがゆえにソロパートの座を諦めきれなかったこと、そしてトランペットが好きであるからこそ、麗奈との圧倒的な実力差によって自身の心を折ってもらうことを望んでいたからであった(原作1巻、298ページ、原作公式ガイドブック、213ページ)。すべてを終えて納得をした香織がソロパートの座を麗奈に託したことにより、ソロパートの対立問題は幕を閉じることになった。
吹奏楽コンクール関西大会以降
吹奏楽コンクール京都大会において、北宇治高校吹奏楽部は見事京都府代表校のうちの1校に選ばれ、関西大会(支部大会)へと駒を進めている。しかしながら、それからひと月後に臨んだ関西大会の当日には、本番直前の舞台袖において”全国常勝”を誇る明静工科高校の圧巻の演奏を前にしてしまい、北宇治高校吹奏楽部の面々はかつてないプレッシャーに見舞われることになる。香織もまたそのような部員のひとりであり、彼女はこの本番を自身にとっての最後の舞台と心に決め、後輩たちに対して「これからも部のこと、よろしくね」と自身が引退したあとの吹奏楽部を託そうとするような覚悟を決めている(原作2巻、293ページ)。しかし、そんな香織の姿に耐えかねた後輩の優子は、香織の言葉を遮ったうえで「私たちが目指しているのは全国です。私たちは香織先輩と一緒に全国に行くんです」と彼女を鼓舞し、その言葉に背中を押された香織もまた「行きましょう、みんなで全国へ!」と声高に叫び、パートメンバーと周りの部員たちを強くまとめ上げている。(TVアニメ版2期5話)
それから数日後、吹奏楽コンクール全国大会への出場を控えた北宇治高校吹奏楽部に、副部長のあすかが母親から退部を迫られるという騒動が巻き起こる。この事件に際して、あすかの一番の親友である香織はすがりつくような強い心配を彼女に寄せているものの、対するあすかが頑なに本心を見せないことから、香織は事あるごとにもどかしい思いを抱いている。(原作3巻、94ページ、214ページ、275〜276ページ)
そののち、全国大会の本番が差し迫ったことで顧問の滝が2年生の中川夏紀をあすかの代理として全国大会に出す可能性を明らかにすると、香織は夏紀や久美子をはじめとする複数の部員たちと協力して、あすかの母親を懐柔してあすかの部活復帰を実現させようとする「あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦」を実行に移している(原作3巻、179~182ページ、TVアニメ版1期9話)。また、「あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦」の当日には、あすかと並んでそつなく下校するなかで作戦の実行者である久美子に直接茶菓子を渡し、その成功を彼女に委ねている。(原作3巻、215〜216ページ)
引退後~卒業式
吹奏楽コンクール全国大会の終了とともに部活を引退した香織は、一転して受験勉強に取り組むかたわら、代替わりした吹奏楽部にもときおり顔を出している。12月には、あすかや晴香たちとともに「受験勉強の息抜き」と称して部の様子を見に訪れ、定期演奏会に向けて活動している後輩たちと話を交えている(原作公式ガイドブック、41~56ページ)。また、翌年の2月に行われた同演奏会の本番では、香織は演奏者としてではなくボランティアとして参加しており、進行の手伝いをこなすことで現役部員たちへの力添えを行なっている。(原作公式ガイドブック、106~107ページ)
同月の下旬に開催された卒部会では、1年間の活動を振り返る写真の上映会において、夏合宿時に部屋着姿であくびをしている優子の写真が登場した際に恥ずかしがる彼女から目を覆われている。その後も、香織は3年生部員のみによる特別演奏に参加したほか、在校生部員による『三日月の舞』の演奏を聴いた際には、目に涙を浮かべながら拍手を送っている。(TVアニメ版2期13話)
3月になって卒業式を迎えた香織は、式後の在校生との懇談において、胸に顔をうずめて泣きついてくる優子の頭を優しく撫でながら「部長でしょ。しっかりしなきゃ……」という励ましの言葉を語りかけている(TVアニメ版2期13話) 。また、彼女はすでに北宇治高校を卒業している身でありながら、同月に控えた立華高校との合同演奏会にも演奏者として特別に参加しており、在校生たちに加わる形で本番に向けて練習を重ねている。(原作公式ガイドブック、122ページ、136ページ、168ページ)
卒業後
高校を卒業した香織は、京都府内にある看護学校に進学し、看護師の資格取得を目指して勉強に励んでいる。もともと彼女には看護師として働いている叔母がおり、その影響を受けて「私も誰かを助けるような仕事をしたい」という明確な目標を打ち立て、自身の進路を定めた形となっている。(短編集2巻、52ページ、95ページ、最終楽章後編、297ページ、夏紀編、211ページ)
また、彼女は高校を卒業したことを契機として、新たにこれまで憧れていたルームシェアを始めており、自身の親友であるあすかとともに二人暮らしを送っている。二人は京都府京都市左京区(TVシリーズでは上京区)の出町柳駅を最寄り駅とする学生街の一角にあるマンションに部屋を借り、それぞれの部屋を持ちながら生活費を出し合ったり買い出しをしたりと、互いに助け合いながら仲睦(むつ)まじく暮らしている。(最終楽章後編、292~293ページ、295ページ、300~302ページ、TVアニメ版3期8話、3期10話)
看護学校で学ぶ香織は、ときおりOG(卒業生)として北宇治高校吹奏楽部の応援にも駆けつけており、吹奏楽コンクール関西大会といった大舞台に際して彼らにエールを送っている。あわせて、在学当時から好評だった彼女の麗しい印象は高校を卒業してからも健在であり、彼女を初めて目にした新1年生たちさえもたちまちのうちに見惚(みと)れさせている。(第二楽章後編、313ページ、316ページ、夏紀編、212〜213ページ)
田中あすかとの関係
概要
吹奏楽部の副部長と低音パートのリーダーを兼務している同級生。3年生。
香織はあすかのことを「あすか」と呼んでおり、対するあすかは「香織」と呼んでいる。
互いに名前で呼び合う親しい関係にあり、吹奏楽部における活動はもちろんのこと、あがた祭りやお盆休みのプールといったプライベートな時間においてもしばしば一緒に遊びに出かける様子が登場している(TVアニメ版1期8話、2期2話) 。また、香織はたびたびあすかの家を遊びに訪れており、あすかの誕生日におそろいのペアグラスを渡したり、あすかの母親の好物に関する情報を知っているなど、ほかの部員たちとは違うレベルの近しい関係を見てとることができる。(原作3巻、181~182ページ、220ページ、TVアニメ版2期9話)
香織とあすかが二人きりの際に見せるやり取りは、そばに居合わせた久美子をして「甘ったるい会話」「見てはいけないものを見てしまった」と感じ取るほどの意味深な空気を明確に漂わせており、久美子も彼女たち二人の関係性を探ることは「危険な一線を越えそう」として控えるようにしている。(原作1巻、264〜265ページ、原作3巻、218ページ、原作公式ガイドブック、48~49ページ、54ページ、短編集2巻、99ページ、最終楽章後編、305ページ)
香織が語るあすか像
生来の可憐な容貌と優しい性格の持ち主である香織は、自分自身が「他者から愛される」タイプの人間であることを知っており、自身に親切にしてくれる周りの人たちに対して心からの誠意で答え、愛することを常としていた。しかしながら、北宇治高校に進学してあすかと出会った香織は、これまで出会ってきたどの人間とも違う「特別な存在」の輝きを前にして、彼女という存在に強く惹かれることになる。あすかは、香織がこれまで接してきた人々のような「無条件の親愛」を与えるような人間ではないものの、それでも彼女の放つ「特別」な輝きに心を奪われた香織は「私、ここまでほかの誰かと仲良くなりたいって思ったことなかったの。一生で、多分あすかだけ」として、親愛以上のものをあすかから欲するために彼女のそばにいることを願い、彼女を独占することにささやかな優越感を覚えるようになっている。(原作3巻、217〜218ページ、短編集2巻、41ページ、48~49ページ、51ページ)
余談だが、香織の中の人は、TVアニメ版のWebラジオ(『響け!ユーフォラジオ2』第13回 2016年12月12日配信分)において「あすかと香織の関係は男と女の関係」という解釈を明かしている。また、TVアニメ版の公式設定においても「あすかへの想いは友情以上のものがある」という記述がなされている。(『響け!ユーフォニアム』DVD&BD7巻ブックレット、4ページ)
晴香に語ったあすかへの想い
サックスパートの同級生である斎藤葵がコンクールシーズン前に退部した折に、失意に沈んだ部長の晴香を励ますために彼女の家を訪れた香織は、話の一環としてあすかの話題を持ち出している。香織はそのなかで「演奏者として、あそこまで切り捨てて演奏に集中できたらって思っちゃう」と、ストイックに演奏に打ち込むあすかの姿を「カッコいい」という憧れのもとに語っている。(TVアニメ版1期7話)
また、吹奏楽コンクール京都大会の前に行われた再オーディションの当日、晴香から「どうしてあすかにこだわるの?」と問われた際には、香織は「よく分からないけど、なんか、見透かされてるような気がするんだよね。私が思ってること、何でも。だから、あすかを驚かせたい。あすかが思ってる私の一歩先を、本物の私が行きたい」と答え、胸の内に秘めているあすかへの熱意を明かしている。(TVアニメ版1期11話)
高校卒業後
北宇治高校を卒業する際に、香織は昔から憧れていたルームシェアを新たに始めることを決め、その際にあすかを一緒に生活するパートナーとして誘っている。もとより、あすかの飄々(ひょうひょう)とした性格をよく知っている香織は、彼女を逃すまいとして「返事、ずっと待ってる。断るにしても、絶対に返事をください。というか、返事がなかったら直接聞きに行くからね」という何重もの包囲網のようなアプローチを畳みかけている。(短編集2巻、52ページ、最終楽章後編、300〜301ページ)
念願かなってあすかとのルームシェアを始めた香織は、彼女と一緒に生活を送るなかで「買ったものを放置しないの」と呆れと愛おしさをにじませながら彼女をたしなめたり、二人そろっての外出の際におそろいのゴールドリングを指にはめたりするなど、装いと心持ちの双方においてパートナーとしての寄り添いを見せている(第二楽章後編、315ページ、最終楽章後編、301〜305ページ)。あわせて、今の二人暮らしのパートナーであるあすかとの馴れ初めを振り返って、「やっぱり、あすかは私にとって特別。あすかにとって、私がそうでなくてもね」と彼女への想いを改めて口にするような一幕も登場している。(最終楽章後編、299〜300ページ)
その他の主要キャラクターとの関係
吉川優子
トランペットパートに所属しているひとつ下の後輩。2年生。
香織は優子のことを「優子ちゃん」と呼んでおり、対する優子は「香織先輩」と呼んでいる。
香織が2年生のとき、優子を含む「やる気のある1年生のグループ」は当時の3年生部員たちと衝突を起こしており、香織はその際に上級生から嫌がらせを受けて悲しんでいる優子を慰めたり、退部すべきかどうかを迷っていた彼女に「部活を続けようよ」と声をかけて部内に引き留めたりしている(原作2巻、212ページ、短編集1巻、169ページ、夏紀編、103ページ)。それ以来、香織は優子から熱烈に慕われるようになっており、しばしば彼女からの称賛に照れたり、勢いに押されて対応に困ったりするような一幕を見せている。(原作1巻、117ページ、181〜182ページ、252〜255ページ、263ページ)
コンクールシーズンの終わりに伴って2年生を主体とした新体制が始まるようになると、吹奏楽部を引退した香織は新部長になった優子の活躍ぶりを耳にして「よかった、安心した」と笑みをこぼしている(原作公式ガイドブック、48ページ)。また、先代の副部長であったあすかが優子を新たな部長に指名したことについて、その理由を香織の前で明かした際にも、香織は「優子ちゃんは優しい子だと思う」と、彼女のカリスマ性の奥底には友達思いの優しさが秘められていることを告げている。(短編集2巻、98ページ)
高坂麗奈
トランペットパートに所属しているふたつ下の後輩。1年生。
香織は麗奈のことを「麗奈ちゃん」(原作小説)「高坂さん」(TVアニメ版)と呼んでおり、対する麗奈は「香織先輩」と呼んでいる。
香織は新入部員の楽器決めの際に麗奈と初めて顔を合わせており、麗奈のトランペットの試し吹きを聴いただけで彼女の実力の高さを察し、気圧されたような思いを実感している(原作1巻、47ページ)。そののち、部が吹奏楽コンクールに向けてオーディションを企画するようになると、香織は麗奈とのあいだにそびえる圧倒的な実力差を自覚しつつも、パートリーダーを受け持つ最高学年であるという立場上のプレッシャーや、ひとりのトランペット吹きとしての純粋な憧れに背中を押される形で、ソロパートの座を巡って彼女と競い合うことになる(原作1巻、182ページ、252ページ、255ページ、286〜288ページ)。2度にわたるオーディションを経て、香織はそれでも麗奈に勝てずに悔しい思いを抱いたものの、彼女は麗奈と向き合って「ソロは、高坂さんが吹くべきだと思います」という賛辞を送るとともに、自身が抱いているトランペットへの矜持(きょうじ)もあわせて託している。(原作1巻、297〜298ページ)
そののち、北宇治高校吹奏楽部が吹奏楽コンクールの関西大会や全国大会といった晴れ舞台に進出するにあたり、香織はその奇跡のような快進撃の立役者になった麗奈に対して感謝の気持ちを表し、彼女の頑張りを労るようになっている(原作2巻、293ページ、原作3巻、原作3巻、360~361ページ)。また、自身の卒業を控えた2月の卒部会において、在校生部員がコンクール自由曲『三日月の舞』の演奏を披露した際には、香織は中間部のトランペットソロを吹く麗奈と互いに目くばせを交わしている。(TVアニメ版2期13話)
香織は北宇治高校を卒業してからも、久美子のような後輩に会うたびに麗奈のことを思い返しており、孤高だった彼女がいまでも吹奏楽部での活動を支障なく送れているのは支えてくれる友達がいるからということを認識して「麗奈ちゃん、黄前さんと一緒にいられてうれしいだろうね」と思いをいたす様子が登場している。(最終楽章後編、299ページ)
小笠原晴香
吹奏楽部の部長とサックスパートのリーダーを兼務している同級生。3年生。
香織は晴香のことを「晴香」と呼んでおり、対する晴香は「香織」と呼んでいる。
原作小説の本編(原作1巻~3巻)においては、ふたりの関わりについての記述はほとんど見ることができないものの、TVアニメ版では部長とそれを支えるよき相談相手という関係を見ることができる。アニメオリジナルのものとして追加された香織と晴香のやり取りは、副部長のあすかを交えた3人組による部活動のオンオフを問わない交遊のみならず、波乱な吹奏楽部の運営に気を揉む部長の晴香に寄り添って励ますような、長い時間をともに過ごした同級生同士の絆と信頼が垣間見れるものとなっている。(TVアニメ版1期3話、1期7話、1期11話)
(また、短編集2巻所収の『だけど、あのとき』と『未来を見つめて』には、香織と晴香が3年間をともに過ごした仲間として互いを振り返る描写が登場している。※同、39ページ、92ページ)
高校を卒業して新生活を始めるようになってからも、部屋の一角には晴香と一緒に写った記念写真が飾られており、香織にとって彼女と過ごした高校生活はよい思い出となっている様子がうかがえる。(最終楽章後編、296ページ)
黄前久美子
低音パートでユーフォニアムを担当しているふたつ下の後輩。1年生。
香織は久美子のことを「黄前さん」と呼んでおり、対する久美子は「香織先輩」と呼んでいる。
所属するパートや学年が異なるため、久美子が入部してきた当初は親密に関わるような様子はそれほど多くなかったものの、吹奏楽コンクールへの挑戦を経ていくうちに次第に互いの面識を深めるようになっている(原作2巻、293~294ページ、短編集1巻、188〜189ページ)。とりわけ、全国大会前にあすかが退部の危機に直面した際には、香織はあすかの直属の後輩である久美子に「あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦」への協力を頼んでおり、実行役を引き受けてくれた彼女に熱い応援の気持ちを送っている。(原作3巻、212〜217ページ)
香織は久美子とともに行ったあすかの部活復帰のための取り組みを通して、復帰を諦めていたあすかの心を動かした久美子の想いの強さに感心し、解決のきっかけを作ってくれた彼女のことを「あすかを倒した後輩」として一目置くようになっている。(最終楽章後編、309ページ)
中川夏紀
低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ下の後輩。2年生。
香織は夏紀のことを「中川さん」「夏紀ちゃん」と呼んでおり、対する夏紀は「香織先輩」と呼んでいる。
香織が2年生だった当時の5月に、部活の方針について思いにふけっていた夏紀に声をかけたのが、ふたりが関わるきっかけとなっている。香織は楽器初心者である夏紀に対して、「部の方針の違いだけで楽器を辞めてしまうのはもったいない」というような励ましの言葉を送ったり、吹奏楽コンクールに向けた意気込みを説くなどして、彼女のなかに強い印象を残している。(夏紀編、68〜74ページ)
香織が3年生のときに起こったあすかの退部騒動の際には、香織はあすかの直属の後輩である夏紀と密に接し、彼女があすかの代行として全国大会に出る可能性や、それを回避するための「あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦」の実施について話を重ねている。(原作3巻、179〜183ページ)
トランペットパートのメンバー一覧
関連イラスト
冬制服
夏制服
パレード衣装(サンライズフェスティバル)
水着姿
着ぐるみ姿(北宇治高校文化祭)
ワンピース姿
関連タグ
吉川優子 - トランペットパートのひとつ下の後輩。2年生。かなり好かれている。
加部友恵 - トランペットパートのひとつ下の後輩。2年生。コンクールのオーディションには落選する。
高坂麗奈 - トランペットパートのふたつ下の後輩。1年生。コンクールのオーディションでソロパートをかけて争っている。
吉沢秋子 - トランペットパートのふたつ下の後輩。1年生。コンクールのオーディションには落選する。
小笠原晴香 - サックスパートに所属している同級生。3年生。吹奏楽部の部長。
田中あすか - 低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。3年生。吹奏楽部の副部長。
沢田樹里 - ホルンパートのリーダーを担当している同級生。3年生。
野口ヒデリ - トロンボーンパートのリーダーを担当している同級生。3年生。
あすかおり - 田中あすかとのカップリング(コンビ)タグ。
はるかおり - 小笠原晴香とのカップリング(コンビ)タグ。