プロフィール
概要
北宇治高校の女子生徒で、主人公の黄前久美子のふたつ下の代にあたる新1年生。吹奏楽部に所属し、低音パートでチューバを担当している。
頭の上で結んだバンダナがトレードマークの快活な女子生徒で、高校から吹奏楽部を始めた初心者でもある。
彼女はもともとは南中学校の出身であり、北宇治高校に進学した折に自身の親友である釜屋すずめの希望に乗っかり、同じく親友の義井沙里や針谷佳穂たちとともに吹奏楽部を始めている。そうして同部の低音パートの新たなメンバーになった彼女は、チューバ担当の先輩である加藤葉月や鈴木美玲、鈴木さつきたちに迎えられながら、自身の親友たちとともに日々の練習に勤しむことになる。
人物
容姿
長い髪を頭の後ろでお団子にまとめ、バンダナを頭の上できゅっと結んだ、感情豊かな雰囲気の活発な女子生徒(最終楽章前編、56〜57ページ、90ページ、110ページ、146ページ、237ページ)。彼女のトレードマークであるバンダナは、日によって赤や黄色、ペイズリー柄といったさまざまなバリエーションを見せているものの(最終楽章前編、125ページ)、吹奏楽コンクールなどの公式な演奏の場ではバンダナを外し、お団子をほどいてポニーテールに仕立て上げている。(最終楽章後編、17ページ)
また、彼女のくっきりとした目鼻立ちは、日に焼けた肌やニタリと上がった口角などと相まって、一見すると威圧的な印象を与えているように見える。しかしながら、年相応の丸みを帯びた頬がその近づきにくさをうまく打ち消し、結果として人懐っこいような可愛らしさに仕上がっている(最終楽章前編、56〜57ページ、64ページ、最終楽章後編、356ページ)。低音パートの3年生である川島緑輝は、そのような雰囲気を漂わせる弥生のことを「ちょっとツンツンした雰囲気」と見るとともに「頭に黄色いのがついてるペンギンみたいだ」というような形で評している。(最終楽章前編、173ページ)
性格
小洒落た外見から受ける印象どおりの、率直で元気いっぱいな性格の持ち主。低音パートの先輩たちの前で名乗り口上じみた自己紹介を披露したり、大仰(おおぎょう)な仕草で身をのけぞらせたりするなど、普段の立ち居振る舞いから彼女自身の威勢のよさや純粋さを見て取ることができる。(最終楽章前編、56〜57ページ、109ページ、282ページ、最終楽章後編、17〜18ページ、短編集3巻、8ページ、24ページ、53ページ)
また、彼女は元運動部の出身であることから、しばしば「根性だけはあるって褒められるタイプです」とガッツを燃やしたり、素直に従うべきところではたたずまいを正すような協調性を見せることもある。(最終楽章前編、57ページ、101ページ、173ページ、230ページ)
なお、TVシリーズで弥生の声をあてている松田彩音は、設定資料や実際の収録を通して見た弥生の印象について、「大阪のおばちゃんっぽいノリ」というような、持ち前の強い心持ちのもとに周囲に明るいパワーを振りまくキャラクターであると明かしている。あわせて、ほかの新1年生役のキャストについても、弥生は天性のお騒がせキャラであるすずめとは異なる「面白い常識人」というポジションを担っており、周囲を見て考えた上で笑いを取りに行くような平和主義的かつ聡(さと)い一面を持ち合わせていると語っている。(参考記事)
その他
- 彼女の運動神経は抜群であり、体育の授業ではすずめと並んで大活躍を見せている。その反面、勉強については苦手で、北宇治高校に進学できたのも沙里をはじめとする友人たちから受験勉強を教えてもらったことによるものである。(最終楽章前編、56ページ、146ページ、短編集3巻、50ページ)
- 趣味はクレープ作り。彼女が小学校6年生のころにドはまりし、一時は毎週家でクレープパーティーを開いていた。彼女はそれ以来、沙里の実家の寺(神社)のお祭りの催し物を手伝った際に余った具材でジャンボクレープを焼き上げることを毎年の行いとしているほか、「大学生になったらクレープ屋でバイトしようと思ってんねん」と将来への期待も膨らませている。(短編集3巻、52〜54ページ)
- 家には姉がおり、しょっちゅうお菓子の取り合いといったしょうもないことで喧嘩を繰り広げている。一人っ子である佳穂からはそのような日常生活を羨ましがられているものの、弥生自身は「えー、いらんいらん。うっさいだけやで」と顔をしかめている。(最終楽章前編、147ページ)
演奏技術
弥生は高校から吹奏楽部を始めた完全な初心者であり、自身の親友である沙里の勧めで低音パートを紹介されたのち、後日の楽器決めにおいてじゃんけんに負けたことでチューバを担当することになる。(最終楽章前編、86ページ)
沙里から吹奏楽部への入部を勧められた当初は、弥生は木管楽器と金管楽器の違いはおろか吹奏楽における楽器の編成もまったくわかっておらず、沙里に対して「うちはバイオリンなんて弾けへん」と大騒ぎするような一幕も見せている(最終楽章前編、66ページ、73ページ)。しかしながら、実際に低音パートに配属されてチューバを練習するようになって以降は、同じ楽器の先輩である美玲から学術的な手ほどきを受けることで、技術を向上させるための確かな知識を得るようになっている。(最終楽章前編、107ページ)
また、チューバの演奏についても、彼女は入部した当初はマウスピースの鳴らし方の試行錯誤といった初歩的な段階から始め、サンライズフェスティバルでのパレード演奏ではさっそく先輩たちと並んでスーザフォンを担いだ行進演奏に参加している(最終楽章前編、107〜108ページ、167ページ、236ページ)。続くコンクールシーズンでは、初心者ということもあってA編成部門のメンバーに選出されることはなかったものの、吹奏楽部の副顧問である松本美知恵や3年生の先輩である葉月から演奏指導を受け、すずめや佳穂といった親友たちとともにめきめきと実力を向上させるに至っている。(最終楽章後編、17ページ、251〜252ページ)
弥生が演奏しているチューバのモデル(型番)は、YAMAHA YBB-641Ⅱ(「『響け!ユーフォニアム』×ヤマハ スペシャルサイト」内の紹介)。学校の備品であるロータリー式のチューバで、先年度の卒業生である後藤卓也と長瀬梨子が使っていたものをすずめとともに受け継いだ形となっている。
経歴
南中学校でそれなりのテニス部員として活動していた弥生は、自身の親友である沙里、すずめ、佳穂と一緒に北宇治高校へと進学する。彼女は同校の1年生になったのち、すずめの勧めで吹奏楽部を見学し、仲良しの4人組でそろって同部に入ることを決めている。(最終楽章前編、57ページ、86ページ、146ページ、短編集3巻、50ページ)
同部の低音パートの一員となった弥生は、賑やかな先輩たちに囲まれるなかで着実に練習に励んでいるほか、あがた祭りが近づいた際にはトランペットパートにいる同級生をうらやましがる形で「低音もパート全員であがた祭りに行きませんか?」という提案を低音パートに持ちかけている。(最終楽章前編、282ページ)
コンクールシーズンでは、オーディションによる編成分けを経てB編成部門のメンバーとして練習に励み、副顧問の美知恵に率いられる形で吹奏楽コンクールB部門の本番を経験している。そこで初めての本番を経験した弥生は、吹奏楽部ならではの達成感を噛み締めながら「本番って、超気持ちいいっすね」という純粋な喜びをあらわにし、歯をむき出しにして笑っている。(最終楽章後編、17〜18ページ)
また、彼女は練習の合間に設けられたお盆休みにおいても、仲良しの同級生4人組で一緒にプールに遊びに出かけており、どことなく統一感を感じさせる水着姿を居合わせた先輩たちに披露している。(最終楽章後編、63ページ)
主要キャラクターとの関係
釜屋すずめ
低音パートでチューバを担当している同級生。1年生。
弥生はすずめのことを「すずめ」と呼んでおり、対するすずめは「弥生」と呼んでいる。
二人は互いに保育園のころから親交があり、小学生のころには互いに元気があることも相まって、しょっちゅう喧嘩を起こしては「ゼッコーや!」と啖呵(たんか)を切るような一幕を見せている(短編集3巻、49ページ)。しかしながら、その後も交わりは続き、高校生になった現在では旧交のよしみで一緒に吹奏楽部に入部し、同じパートのメンバーになっている。
普段の弥生はすずめの発するしょうもないギャグを「誰から言われとるねん」とあしらうなど、二人で漫才じみたやり取りを繰り広げている(最終楽章前編、110〜111ページ、259ページ)。また、弥生は、すずめが姉の釜屋つばめを溺愛していることをよく知っており、彼女が姉のことを口にするたびに「相変わらず、すずめはお姉ちゃんのことが好きやなぁ」と肩をすくめている。(最終楽章前編、64ページ、147ページ)
義井沙里
クラリネットパートに所属している同級生。1年生。
弥生は沙里のことを「サリー」と呼んでおり、対する沙里は「弥生」と呼んでいる。
互いに保育園のころから親交があり、弥生は沙里に受験勉強を手伝ってもらう形で北宇治高校への進学を果たしている(短編集3巻、49ページ)。そろって高校1年生になったのち、仲良しの4人組で吹奏楽部の見学に訪れることになった際には、弥生は沙里の勧めで低音パートを紹介され、同部に入ることを決めている。(最終楽章前編、65ページ)
沙里の真面目一辺倒な人柄をよく知っている弥生は、彼女のことを頼りにしつつも心配も寄せており、彼女が根詰めすぎて体調を崩してしまった際には部活の練習よりも彼女の見舞いを優先するといった強い友情を見せている。(最終楽章前編、209ページ)
針谷佳穂
低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。1年生。
弥生は佳穂のことを「佳穂」と呼んでおり、対する佳穂は「弥生」と呼んでいる。
弥生と佳穂もまた、すずめや沙里と同じく保育園時代からの親交がある幼馴染であり、高校に進学後もそのよしみで吹奏楽部に入部し、同じパートのメンバーになっている。弥生はしばしば、佳穂のほんわかした笑い上戸な一面に対してツッコミを入れており、周りが白けるなかひとりだけ笑う彼女を「ちょっと佳穂、笑いすぎ」とたしなめたりと、すずめに対するものとはまた異なる対応を見せている。(最終楽章前編、111ページ)
加藤葉月
低音パートでチューバを担当しているふたつ上の先輩。3年生。
弥生は葉月のことを「葉月先輩」と呼んでおり、対する葉月は「弥生ちゃん」と呼んでいる。
弥生は入部以降、明るく気前のいい葉月に対して好感を抱いており、自身の譜面に指番号を書いてもらうようねだったり、自身の悩みを共感してくれたことに表情をぱっと明るくしたりと、彼女との相性のよさを随所にうかがわせている。(最終楽章前編、110ページ、最終楽章後編、125ページ)
鈴木美玲
低音パートでチューバを担当しているひとつ上の先輩。3年生。
弥生は美玲のことを「みっちゃん先輩」と呼んでいる。
弥生は入部当初から、優れた演奏技術と豊富な知識を併せ持つ美玲に対して一目置いており、彼女の演奏を「みっちゃん先輩マジ上手い」と素直に称賛したり、彼女から演奏上の心構えを告げられた際には気を引き締めて返事をしている(最終楽章前編、145ページ、274ページ)。また、美玲とさつきが普段から仲良くしている様子を見ている弥生は、「さっちゃん先輩とみっちゃん先輩って、なんか仲良しやんな」というような感想を漏らしたりしている。(最終楽章後編、63ページ)
鈴木さつき
低音パートでチューバを担当しているひとつ上の先輩。2年生。
弥生はさつきのことを「さっちゃん先輩」と呼んでおり、対するさつきは「弥生ちゃん」と呼んでいる。
弥生はさつきに対して、普段の彼女がちょこまかとした賑やかな振る舞いをしつつも、こと演奏に関しては真面目に取り組んでいることを知り、「普段はおちゃらけているけど頼りになる」というような感心を覚えている。(最終楽章前編、273ページ、最終楽章後編、28ページ)
黄前久美子
低音パートでユーフォニアムを担当しているふたつ上の先輩。3年生。
弥生は久美子のことを「久美子先輩」と呼んでおり、対する久美子は「弥生ちゃん」と呼んでいる。
沙里に連れられて初めて吹奏楽部の見学に行った折に、部長である久美子が対応してくれたのが顔合わせのきっかけとなっている。弥生はそれ以降、困りごとが起きたときや自身の嬉しさを伝えたいときに久美子のもとを訪ねており、そこから弥生が久美子のことを「頼れる部長」として信頼している様子をうかがうことができる。(最終楽章前編、236ページ、最終楽章後編、17ページ)
黒江真由
低音パートでユーフォニアムを担当しているふたつ上の先輩。3年生。
弥生は真由のことを「真由先輩」(TVシリーズでは「ママ先輩」)と呼んでいる。
低音パートの同じメンバーとして、弥生はたびたび真由と関わりを持っており、弥生は真由の優しい手立てに際して「さすが真由先輩、お母さんみたいです」「真由先輩優しいから大好きです」というような強い好感を寄せている。(最終楽章前編、237ページ、TVアニメ版3期4話)
月永求
低音パートでコントラバスを担当しているひとつ上の先輩。2年生。
弥生は求のことを「求先輩」と呼んでいる。
弥生と求は低音パートの同じメンバーであるものの、求が他者との交流を拒(こば)む気質であることから、ほかの先輩たちと比べるとあまり仲は深まっていない。そのようななかでも、弥生は低音パートのメンバー同士として「求先輩もどうですか? 一緒に」というような声かけを行なっている。(最終楽章前編、284〜285ページ)
また、求が3年生の先輩である緑輝のことを想って真剣に何かに打ち込んでいたり、彼女から頭を撫でられてなすがままにされている様子を目の当たりにした際には、弥生は「何を見せられとるんや」などとあからさまに頬を引きつらせている。(最終楽章前編、303ページ、短編集3巻、21ページ)
関連動画
TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』キャラクターPV 針谷佳穂&上石弥生&義井沙里 ver.(2024年3月)
関連タグ
釜屋すずめ - チューバを担当している同級生。お調子者の新1年生。
義井沙里 - クラリネットを担当している同級生。しっかり者の新1年生。
針谷佳穂 - ユーフォニアムを担当している同級生。笑い上戸な新1年生。
加藤葉月 - チューバを担当しているふたつ上の先輩。副パートリーダーの3年生。
鈴木美玲 - チューバを担当しているひとつ上の先輩。クールで長身な2年生。
鈴木さつき - チューバを担当しているひとつ上の先輩。小柄で明るい2年生。
黄前久美子 - ユーフォニアムを担当しているふたつ上の先輩。吹奏楽部の部長を務める3年生。
黒江真由 - ユーフォニアムを担当しているふたつ上の先輩。優しい雰囲気の3年生。
新南中カルテット - 釜屋すずめ、針谷佳穂、義井沙里とのカルテット(4人組)タグ。