概要
ワールドトレードセンター(以下「WTC」)は、オフィスビルやホテルといった大小7つのビル群によって構成された巨大商業センター。設計は日系人のミノル・ヤマサキ氏。
中心施設である110階建ての「ツインタワー」が特に有名で北タワー(1WTC)と南タワー(2WTC)に分かれており、北タワーの最長部は528mに及ぶ。
2001年のテロで崩壊するまで、ニューヨークで最も高いビルだった。
建設と完成
WTCが建設される以前の敷地には「ラジオ・ロウ」という電気部品を扱う電気街のようなエリアが1920年代から存在していた。1950年代末になるとに一度は頓挫していたロウアー・マンハッタンの再開発を行うこととなり、WTCがそのメインプロジェクトとして計画された。
当初はブルックリン側のイースト川沿いに建設される予定であったが、最終的にニュージャージー州側のハドソン川沿いとなり、1966年に起工式が行われた。
1972年に北タワー、1973年に南タワーがそれぞれ完成した。
開業当時は、同じニューヨークにあるエンパイアステートビルを抜いて世界一高いビルとなったものの、その期間は短く翌1974年に完成したシカゴのシアーズタワー(現ウィリスタワー)にその座を奪われている。
当初はツインタワーの威圧感から評価は不評であり、テナントもあまり入らず空室が目立ったが、1980年代には米国経済のみならず世界経済を担う存在となり最盛期にはビル全体で5万人が勤務。
上層部には展望台やレストランも併設され、一日で20万人もの来訪者が訪れるランドマークとなり、ニューヨークを舞台にした映像作品に必ずと言っていいほど登場するシンボルでもあった。
テロ事件
WTCはその重要度と知名度から皮肉にも2度のテロ事件の標的となっている。
- 1993年2月26日「世界貿易センター爆破事件」
反米テロリストが爆発物を満載したトラックを北タワーの地下駐車場で爆発させた事件。駐車場のフロアが構造的ダメージを受けるほどだった。6人が死亡、1042人が負傷した。
- 2001年9月11日「アメリカ同時多発テロ事件」
反米テロ組織「アルカイダ」が引き起こしたテロ事件。ハイジャックされた旅客機4機のうち2機がニューヨークに向かいツインタワーに激突。南タワーと北タワーの順に崩落し、2749人が犠牲となった。他のWTC施設も半壊または全壊となり、ツインタワーを中核とするWTCは完成から30年足らずで姿を消した。
詳しい被害は外部リンクや9.11の記事を参照。
再建計画
2002年に瓦礫の撤去と遺体の捜索が終了。跡地は「グランド・ゼロ(爆心地)」と呼ばれるようになった。新WTCの再建に向けたコンペが行われ、最終的にポーランド系アメリカ人のダニエル・リベスキンド氏の案が選ばれた。
旧WTCの中核であったツインタワー跡地は慰霊の広場やテロ事件に関する記念館となり、それ以外の敷地に新たな超高層ビルや地下鉄駅などの施設が再建されている。2012年には建設中の1WTCの高さがエンパイアステートビルを抜いてニューヨークで最も高いビルとなり、2014年に541.3mで完成した。
当初は2010年代に再建を終えるはずであったが、テロ犠牲者の遺骨が発見されて工事を中断することが度々あっただけでなく、大幅な計画の変更やリーマンショックや新型コロナウイルス感染拡大などの影響も重なり遅延しており、テロから20年以上経った現在も工事が続いている。
全敷地の完成はビル建設も含めると2020年代後半までずれ込んでおり、最終的には2028年頃の予定となっている。以前と同じく1〜7の数字を冠するビル群で構成されるが、「6」だけは何故か欠番となっている。
2014年に完成した1WTC
在りし日のWTCツインタワー
過去にはブラックビスケッツがMVをニューヨークで撮影、背景にツインタワーが映り込むだけでなく南タワー屋上で踊る貴重な姿を見ることが出来る。
余談
日本一高い電波塔である東京スカイツリーは634m。ツインタワーの方が少し低いものの、スカイツリーが二本並んでいるようなものであり、その存在感は圧倒的であった。セミツインタワー構造とも言える東京都庁(第一本庁舎)が半分以下の243.4mなので、その威容が想像できるだろうか。
関連タグ
・東武ワールドスクウェア - 崩壊前のWTCツインタワーのミニチュアがある。実物の崩壊後に撤去するか検討されたが、在りし日の姿として現在まで展示を継続している。