概要
特撮テレビドラマ『超光戦士シャンゼリオン』(1996年)への参加の際に用いたもので、この名義での脚本執筆も2023年現在、同作の第30話「ヒーローの先生!」の一本のみにとどまっている。
名義の由来となったのは、アメリカ出身のプロ野球選手であるケン・モッカ。選手歴の末期にあたる1982年~1985年の間、中日ドラゴンズに在籍し同球団の優勝に貢献したことでも知られており、同球団のファンである荒川がその名を捩る形で別名義として用いたのが「木下健」という訳である。
参加の経緯
荒川もとい木下の『シャンゼリオン』への参加については、前々から「脚本家が一人では大丈夫か」という番組関係者からの懸念(※)が背景にあってのことで、当初から「助っ人」として複数の脚本家に台本を送ったりプロット作業を進めたりなど、サブライター参加に向けての下準備も進められていたという。
他方で、同作が井上ワールドともいうべき様相を呈していたことから、井上が手直しを入れることになっても揉めることのない、即ち井上と仲の良い脚本家でないといけないという事情もあり、最終的に木下と荒木憲一(第31話「羊とパイと現金と」を執筆)の2人に絞られたという経緯がある。
もっとも、木下らサブライターを参加させる当初の目的であった「助っ人を入れて一息つこう」という点については、木下らが手掛けた2話分についても監修(クレジット上では「構成」と表記)を手掛けねばならなかったこともあり、そこまで楽にはならなかったとも後に語られている。
(※ この当時、井上がテレビドラマの脚本を連続して手掛けたのは6本が最高記録であり、それを超えての連続執筆を強いることに周囲から不安の声があったことを、同作プロデューサーの白倉伸一郎と武部直美が、番組公式サイトの対談にて明らかにしている)
ヒーローの先生
木下が手掛けた第30話は、「不真面目なヒーロー」であるシャンゼリオンこと涼村暁を、ヒーローオタクの闇生物ゴハットが「更生」させるべく悪戦苦闘する様を描いたエピソードであり、ディープな層にも受けが良かったことが後に語られているが、一方で白倉はこのエピソードについて同作のそれまでの傾向とは異なり、「ヒーローを茶化しているように見えてその実肯定している」と分析しており、それゆえに(作り手である自分達とは異なり)ヒーロー物に対する屈折のない人にとっては素直に楽しめるだろうし、その方が健全だと思うとも評している。
ちなみに、このヒーローオタクという発想自体は井上にもあったようで、「ヒーローオタクのダークザイドが、ホントにヒーローとして祭りあげられる」というこちらの構想は、後に形を変えて別のエピソード(第33話「サバじゃねぇ!2」)にて結実している。
関連タグ
シャンゼリオンという名の日々/再興編(番組公式サイトの対談のアーカイブ)