概要
「聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話」外伝の13~14巻に登場。本編には登場しないゲストキャラである。
牡羊座のシオンより250年前に戦っていた牡羊座の黄金聖闘士。スターダストレボリューションならびにスターライトエクスティンクションの(元祖)使い手でもある。
「外伝」16巻巻末のデータによると、4月19日生まれ。血液型B型。身長187センチ体重89キロ。褐色がかった肌と整った眉目を持つ美丈夫。作中では厳しい表情に描かれることが多いが、戦友たちに対して微笑む顔はあどけなく穏やかで、元来は気の優しい性格であることが覗える。
髪はおそらく金色の長髪。だが聖闘士星矢世界によくある、しなやかに風になびくような髪質ではなく、どことなく羊を連想させるモフモフした独特のヘアスタイルをしている(どうやってカットするんだろう…?)。
若き日の祭壇星座のハクレイと教皇セージ兄弟とは、親友関係だった。しかし、16世紀生まれと推定される彼らと全く異なり、おそらく20世紀終盤から21世紀初頭ごろの未来世界の人間で、その時代、牡羊座の黄金聖闘士として冥王ハーデスとの聖戦に挑みながら、アテナ軍の(何らかの理由…おそらくタナトスとヒュプノスの双子神の猛威による)完全敗北に直面し、何人かの部下とともにわずかに生き残った聖闘士である。
大敗後、時を司る大神クロノスの神力で部下たちと共に過去へとタイムスリップさせられ、セージ、ハクレイ兄弟の時代にやってきた(元の時代は、星矢達が生きていた時代とは異なる平行世界のようである)。
クロノスが彼を過去へ飛ばした理由は、アヴニールが過去の世界に現われることによって、その後継者となるシオンが、高い能力を持つ人材として育成されることを期待したからである。そのシオンが教皇となることで、またさらに後世の時代に「神殺しのペガサス」である星矢を出現させ、未来世界に訪れる滅亡を回避させるのが最終目的であった。いかにも時を司る神らしい遠大な計画だが、アヴニールはいわば神の身勝手によって運命を弄ばれてしまったことになる。(さらにこの一件には、もっとややこしい奴も暗躍している。)
上記の事情により、過去の世界では「死に損ねた男」を自称している。元の時代の聖戦において、冥王ハーデスにむざむざアテナならびに教皇を殺されながら、黄金聖闘士である自分が生き残ってしまったことに深い心の傷を抱えており、そのためか過去に飛ばされてからの戦いぶりはハクレイが見かねるほど命知らずで、冥王軍の真っ只中に単身切り込むなど、まるで死にたがっているかのように無謀な行動ばかりしていた。
だが冥王軍の殲滅に命を懸ける姿勢が、次第に戦友たちからの信頼を勝ち取っていき、最初は出自の怪しさから彼を警戒していたハクレイ・セージ兄弟とも、最終的には打ち解けた関係になった。元の時代で経験した悲劇も、双子兄弟には詳細に打ち明けたようである。
元の時代で仕えた(おそらくまだかなり年少だった)アテナに対し、聖闘士として以上の(兄から妹へのそれのような?)愛情があったようで、冥王ハーデスによって処刑された彼女の首級を抱いて、雨に打たれながら絶叫する悲痛な場面がある。(教皇も共に斬首されているのだが、そっちはまるっきり無視しているあたり、わりと現金というかアテナへの強い偏愛を感じさせる。)
満身創痍のまま、わけもわからず過去に飛ばされてなお、冥王軍と戦い続けた理由も「アテナ様の無念を晴らしたい」だった(それを過去のアテナの前で言ってしまっているのはどうかと思うが…)。
忠誠を捧げたアテナに似た(同じ女神の化身なのだから当たり前なのだが)面影を持つ、過去世界の(やや年長の)アテナとも心を交わしており、最期は彼女を庇って戦死を遂げたようである。
「牡羊座(アリエス)の黄金聖闘士は、十二宮第一宮の守護者として、一番初めに盾となって死ぬべき」という信念の持ち主で、この姿勢は後継者のシオンやムウにも引き継がれ、彼らの生き様に影響を与えていく。
ハクレイならびにセージに看取られて死去したのち、その遺骸は彼らの故郷ジャミール地方の一角に葬られた。これはジャミール一族に、今は滅んでしまったムー大陸由来の高度文明が伝わっていると聞いたアヴニールが、それによって再び時を超え、元の時代に帰ることを願ったからである。
彼のたどった人生が、悲しみと苦難の連続であったことを知る兄弟は、その魂が未来へ帰れたかどうかを案じていたが、そもそもアヴニールが過去に現われた時点で未来はだいぶ改変されているはずで、彼が生まれた世界それ自体が消滅している可能性が高い。アヴニール自身も生前、「仮に未来を変えられたとしても、(本当に再会したかった)元の時代のアテナにはもう会えないだろう」と予感していた。
残酷な神の思惑によって弄ばれながらも毅然と生きた誇り高い戦士にして、愛した女神と隔てられる孤独に苦しめられた悲劇の男でもあった。
なおアヴニールを元の時代で苦しめた双子神タナトスとヒュプノスは、過去の時代でも猛威を振い、ハクレイ・セージ兄弟の同志たちを多く死に至らしめた。この怨念はさらに二百数十年後の次の聖戦に持ち越され、双子神は兄弟それぞれの命と引き換えに封印されることとなる。
またアヴニールの死後、その魂を彼の部下たちの運命もろとも玩弄した神もどきの男も、聖戦のさなか双子座のアスプロスに倒され、最終的に教皇となったシオンとアテナの制裁を受けて消滅した。
下記の技は2つとも後世の牡羊座に伝わっており、結果論ではあるが、多くの聖戦を牡羊座の聖闘士が生き抜くための術を伝えたと言えるかも知れない。
技:スターライトエクスティンクション、スターダストレボリューション(聖衣に残っていた記憶としてシオンとともに放った)
関連タグ
蟹座のセージ 祭壇星座のハクレイ … アヴニールが飛ばされた過去世界で巡り会った戦友
牡羊座のシオン … アヴニールの後継者
牡羊座のゲートガード … アヴニールが未来から召喚される前にいた牡羊座の黄金聖闘士。叛乱事件を起こして誅殺されたが、表向きは「戦死」とされている。
タナトス&ヒュプノス … 冥王ハーデスに仕える双子の神。それぞれ「死」と「眠り」を司る。幾度かの聖戦のたびに出現し、その都度アテナ軍を大いに苦しめた。アヴニールの時代に至って、ついに地上世界を滅ぼすことに成功したようである。
天魁星(てんかいせい)メフィストフェレスの杳馬 … 過去へ飛ばされたアヴニールを利用しようと企む冥闘士。