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ラプラス事件の編集履歴

2023-07-14 16:03:50 バージョン

ラプラス事件

らぷらすじけん

『機動戦士ガンダムUC』に登場するテロ事件。本作のプロローグとなる重要な事件である。

概要

機動戦士ガンダムUC』本編にて明かされた、宇宙世紀0001年1月1日に発生したテロ事件。

地球連邦政府の首相官邸が置かれている宇宙ステーション「ラプラス」が、西暦から宇宙世紀への改暦セレモニー中にテロリストによって爆破され、連邦初代首相のリカルド・マーセナス首相ら政府首脳陣を始めとした大勢の人間が命を落とした。その後の宇宙世紀の歴史に暗い影を落とすこととなった事件である。


経緯

西暦から宇宙世紀への改暦以前、人類は急激な人口の増加、環境破壊、資源枯渇といった地球規模の問題を多く抱えていた。それらの問題解決のために、人類は宇宙移民計画を実行に移し、その政策推進機関として人類規模の初の統一政権である「地球連邦政府」が発足した。


しかし政治的・経済的等多くの理由から連邦政府の発足には反対意見も多く、それらの勢力によって地球各地で少なくない紛争が勃発した。紛争を引き起こした勢力は分離主義者」と呼ばれて断罪され、連邦政府の軍事力で容赦なく叩き潰されていった。

前身機関発足から50年あまりが経過した後、地球外居住施設として実用段階のスペースコロニー建造に成功した連邦政府は、宇宙移民開始を持って西暦から宇宙世紀への改暦を取り決めた。


かくして西暦最後の年の12月31日、地球の低軌道上に位置し、地球連邦政府首相官邸が置かれている宇宙ステーション「ラプラス」にて改暦セレモニーが執り行われる事となり、地球連邦初代首相であるリカルド・マーセナスを始めとした各国代表が参加し、1月1日へと切り替わると同時に改暦を宣言。新しい時代の憲章である宇宙世紀憲章を発表する予定であった。

しかし改暦へのカウントダウン終了後、宇宙世紀0001年改暦と同時にラプラスは突如大爆発を起こし瓦解。リカルド首相や各国代表、官邸職員、マスコミ、周辺を警備していた連邦軍艦隊を巻き込み多くの犠牲者を出してしまった。


事件後の対応

事件の後、死亡したリカルド首相に代わる新政権を直ちに発足させた地球連邦政府は、この事件を分離主義派によるテロであると断定し、「リメンバー・ラプラス」を合言葉に反政府勢力への徹底的な弾圧に乗り出した。

テロを画策した分離主義組織はそれを支援する国家共々、連邦軍の強大な軍事力で徹底的に叩き潰された。この闘争は宇宙世紀0022年に連邦政府が「地球上の紛争の全ての消滅」を宣言するまで続けられ、結果的に国家的基盤をゆるぎないものとし、宇宙世紀に移行した世界は地球連邦という統一政府の下に統べられるという歴史的なパラダイムシフトを推進させた。しかしこうして確立された体制は官僚主義への傾倒により政府体制の腐敗を招くこととなり、ティターンズの台頭、ジオニズムコスモ貴族主義等反地球連邦主義を生むことになる。


事件後のあまりの手際の良さにより、テロはリベラルだったリカルド・マーセナス政権の転覆を狙った連邦政府内の極右派による陰謀ではないかとまことしやかにささやかれていたが、一般大衆は只のありきたりな陰謀論として信用せず、概ね連邦政府のテロ対策を支持していた。


真相

しかし後になって、やはりこの事件は自作自演であったことが明らかとなった。

この事件の首謀者はリカルド首相の息子で、後に地球連邦政府第3代首相となるジョルジュ・マーセナスを筆頭とした保守派勢力で、

  • リカルドや彼と近しい各国代表を暗殺する
  • 分離主義派にテロ実行の濡れ衣を着せて弾圧する
  • そうして連邦の権限を強める

という三つの目的を達成する、いわば一石三鳥の陰謀であった。

『ガンダムUC』ではこの事実が、リカルドとジョルジュの子孫にあたるリディ・マーセナスとその父ローナンの心を苦しめることになった。


爆発の原因とラプラスの箱

事件によって崩壊することとなるラプラスは、上下に展開する銀盤型巨大ミラーブロックが中央で回転するドーナツ型居住ブロックを挟み込む形で構成されている「スタンフォード・トーラス型(以下トーラス型)」と呼ばれる宇宙ステーションであった。ちなみにこのタイプの宇宙ステーションは実際に現実世界において、スペースコロニーの設計案の一つとして公表されたものである。

トーラス型の設計において居住ブロックに太陽光を送り込むミラーブロックは一つ当たり千枚にも及ぶ凹面鏡の集合体であり、制御プログラムによって居住ブロック内に気象変化を細やかに再現することが出来る。セレモニーではこの凹面鏡を動かして太陽光を反射し、夜の大気層に「Good bye,AD Hello,UC!」という文字を描くというパフォーマンスが行われる手はずとなっていた。


しかし凹面鏡の稼働は指定のプログラムにより全体が揃ったパターンでしか行えない仕組みになっていた為、このパフォーマンスを行うためには、各凹面鏡個別制御装置に角度変更プログラムを直接インストールするしかなかった。この作業を依頼された電機メーカーの作業員を装ってラプラスに侵入したテロリスト(実際は暗殺者)達は、この凹面鏡の角度を地球ではなくラプラスの構造部の一点に向けるように操作されるようにプログラムをインストールしていたのである。

こうしてインストールされたプログラムに従い、ミラーブロックによって反射された太陽光はその一点_居住ブロックの一画にある環境システムにつながる水の循環パイプに向けて高温の熱線となって収束する。熱線が収束された循環パイプの内部の水は瞬時に沸騰し、急膨張した水蒸気の圧力で循環パイプは破裂する。これに連動して居住ブロックの気圧も上昇すると、やがて水蒸気から分離した水素ガスの影響で水素爆発が発生。爆発によって居住ブロックは内側から崩壊した上、噴出した水素爆発の流れはミラーブロックの凹面鏡を粉砕して居住ブロックとミラーブロックをつなぐメインシャフトをも捻じ曲げ、周辺で警護していた多数の連邦軍サラミス級宇宙警備艇を巻き込みながらラプラスを崩壊させたのだった。


凹面鏡の角度を変更した暗殺者たちはラプラス崩壊を見届けた後、ラプラス宙域からの脱出を試みたが、小石程度の大きさのスペースデブリが燃料パイプに命中し足止めを喰らってしまった。

この時、当時17歳で貧困から報酬目当てでこの作戦に参加したサイアム・ビストが確認の為船外活動を行おうと外に出た直後、作業艇が爆発。サイアムは宇宙に吹き飛ばされてしまった。この爆発は、暗殺をテロリストの仕業にしたい地球連邦保守派による口封じであった。


命綱が途切れ、死の恐怖におびえるサイアムはスペースコロニーが地球の引力に引かれて落下していく幻を見るが、天文学的な偶然から自分の体と相対速度が同じだったラプラスの残骸の中に地球の光を反射して輝く箱状の物体、ラプラスの箱と遭遇することとなる。

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