宇宙服
うちゅうふく
概要
宇宙飛行士が宇宙空間で生命を維持し、安全に動くために配慮された服のこと。
「服」と言いつつもその構造はあまりに大掛かりであり、「小型の宇宙船」と形容されることもある。
主に宇宙船の中で利用する船内服と、宇宙船の外で利用する船外服の2種類に分類されている。
宇宙服には身長制限が設けられており、船外服を装着する場合はサイズの関係で165cm以上の身長が求められる。
宇宙服には宇宙空間の真空状態や宇宙塵などから守る役割がある他、宇宙空間でも快適に活動できるように酸素の供給と二酸化炭素の除去、体温の調節機能、外部との通信機能など無数の機能が搭載されている。
なお宇宙服を着ずに生身で宇宙空間に飛び出した場合、わずか数秒後に意識を失い、およそ2分ほどで全身の臓器から酸素が喪失し死に至る。また宇宙空間には太陽から飛んでくる大量の宇宙線(高エネルギーの放射線)が飛び交っている為、これを生身の状態で受けると人体に深刻なダメージをもたらす。
余談だが、宇宙服の値段は1着約10億5000万円と言われている。そのうち生命維持装置だけで約9億5000万円も費やされている。
力学的加圧スーツ
現行の宇宙服のように耐圧服の内側に気圧を加えるのではなく、服の素材が直接体を締め付けて圧力を加える方式。「バイオスーツ」などとも呼ばれる。
上述した宇宙服はスーツの中に「エヴェレストの頂上程度の」空気が入っており、飛行士は出る際プレブリージングと呼ばれる工程を踏む。
ただの布に気圧をかけると風船のようにパンパンに膨らんでしまってろくに動けないため、宇宙服は気圧に耐える強固なフレームが必要となり、重い上に動きにくい。また加圧にも時間がかかる。
しかしながらバイオスーツであれば圧倒的に軽量であり、可動域も広く生身と大差ない感触で動ける、まさに宇宙"服"……になってくれればいいのだが、これがなかなかに難しかった。
全身を強く締め付けるということは関節部も締め付けられるということである。フィクションでよく見られるように雑に真空パックにすると、大リーグボール養成ギプスのように体の動きがガチガチに固定されてしまう。
しかしながら近年、3次元的に繊維を編み込む技術の確立により、部位ごとにシームレスに圧力の方向を調整することが可能になり、実現に大きく近づいている。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/kinmirai-technology-kenbunroku-126/
フィクションにおける宇宙服
フィクションにおける宇宙服はデフォルメ化されたコスチュームが多く、ヘルメットまたは特殊スーツのみを身に着けた軽装であったり、レオタードのようなぴっちりスーツであったりと現実とかけ離れた宇宙服が多く見られる。
ぴっちりの言い訳として
- ロケットのコックピットは空間を節約しないといけない また
- 宇宙空間へ出る場合 人間の肺は外部の一気圧に反応して動いているので、気圧がある程度下がると「空気があるのに呼吸ができなくなる」為、空気の無いところでは胸部へ人為的なストレスを懸ける必要がある。
というものがあげられる。
そもそも宇宙服を着なくても生身で活動するようなキャラクターも大勢いるのでこまけぇこたぁいいんだよ!!
関連項目
U-2 SR-71:宇宙に出ない偵察機なのだが高高度という過酷な環境を飛行する航空機のため、パイロットは宇宙服に等しいスーツ(与圧服という。プレッシャースーツも一般名詞だけどPIXIVでは『ストラトス・フォー』の専門用語の呼称になっとる)を着ている。
外部リンク
- 今日は宇宙の日!「宇宙服」を描いたイラスト特集 - pixivision(2016年9月12日)
- 無重力への旅装。宇宙服を描いたイラスト特集 - pixivision(2022年6月18日)
- 機能を追求したフォルム。宇宙服のイラスト特集 - pixivision(2023年7月12日)