概要
昔話のひとつ。
体と茶釜が一体化した狸と善良な若者との友情を描くお話である。
物語
昔々ある山寺に、古道具集めが好きな和尚さんと、弟子の小僧さんが住んでいた。
和尚さんが古い[[茶釜]を手に入れて帰ってくるが、茶釜がとても汚れていたので小僧さんに磨くよう言いつける。小僧さんが茶釜を丁寧にたわしで磨くが茶釜が痛がったので和尚さんに報告する。今度は茶釜でお湯を沸かそうとするが何も茶釜が喋らなかったので、「修行が足りないからだ!」と小僧さんを叱りつける。しかし沸騰したところで茶釜が動き出したので和尚さんも気味悪がってしまう。
そこへ、古道具屋の若者が寺の近くを通りかかったので、和尚さんは古道具屋に頼んで茶釜を買い取ってもらうことにした。久しぶりの収穫に大喜びした古道具屋が売れたお金で尾頭つきの魚を買って食べようとしたところ、魚が無くなってしまった。運の無さを嘆いていると、「魚を食べたのは自分です」と狸が姿を現す。狸は茶釜に化けたが元に戻れなくなってしまったことを打ち明ける。
狸は自分を売って金にしてほしいと言うのだが、結局は思わぬ出来事に巻き込まれて古道具屋の元へ帰っていく。
優しい古道具屋は、「貧乏だけど、元に戻れるようになるまではここにいなさい」と受け入れる。感激した狸は恩返しに見世物小屋を開いて芸をする提案をしたため、若者はその話に乗って見世物小屋を開くと、見事なまでに大繁盛となった。
こうして若者は、大金持ちになるのだった
余談
一部伝承では、若者が大金持ちになった後、狸は病にかかって死んでしまい、それを悲しんだ若者が茶釜の状態になった狸の亡骸を和尚に頼んで供養してもらうという悲しい結末が描かれている。しかし、かちかち山やさるかに合戦の様な殺傷描写がないためか、今でもその結末が描かれているバージョンも出ている。
罠にかかったりお腹を空かせたりと困った狸が、冒頭で和尚さんや若者に助けられるという場合もある
群馬県の館林市にある茂林寺に分福茶釜のモチーフになった茶釜が安置されている。
ウニの仲間の一種にも、この名がつけられている。
関連作品
- 鬼灯の冷徹:守鶴と白蔵主の弟子。『かちかち山』の狸に恩師であるお婆さんを殺された事から狸そのものに恨みを持つ兎の芥子に攻撃される役どころで登場することが多い。まさに風評被害である。
- NARUTO:『尾獣』の一体である『守鶴』のモチーフとなっている。(守鶴の最初の人柱力の名前も分福という名の僧侶)
- モンスターハンターライズ:同作に登場する小型モンスター:ブンブジナのモチーフとなっている。
- 太閤立志伝Ⅴ:ゲーム中にて「価値5の茶器」として登場。所持しているだけで魅力+8の効果。
- 桃太郎伝説:換金用アイテムとして登場。フィールドマップに落ちているのだがゲーム中ではその存在すら匂わせない程の完全ノーヒント。その分それに見合う20000両という高額で売れる。
- 太陽戦隊サンバルカン:第41話に分福茶釜をモチーフにした怪人・チャガマモンガーが登場。
- 仮面ライダーギーツ:登場するライダーの1人・仮面ライダータイクーンはタヌキモチーフだが、変身者の住所に「東京都文武区石刻2-15-44ガーデン石刻203号室」と分福茶釜を意識したような地名がある。