ノゴーン・ベキ
のごーんべき
概要
序盤でアディエル・ジャミーン父子の関係者として登場。
その実は世界的なテロ組織「テント」の創設者。組織のルールに違反する者は日本刀で容赦なく斬り捨てるといった、冷酷な描写が目立ったが…
亡くなったと思われた乃木憂助の父親・卓である事が、テントの幹部アリの証言で発覚。組織のマークが乃木家の家紋と瓜二つであることも同時期に野崎守により突き止められた。
その後テントに寝返った憂助がDNA鑑定を要請し、結果は「99.999%」。改めて実の親子であることが確定した。
それでも裏切りを否とするベキは憂助をテントに迎えることを渋っていたが、彼がある施設での不正を暴いた折に何かを察し、ノコルと同じ最高幹部待遇の白のベールを纏わせテントの一員に加えた。
経歴とテントの真実
卓はそもそも(野崎と同じ)公安部外事課の一員であり、諜報活動も兼ねて日本での記録を抹消され、バルカに送り込まれていた。
内乱によって荒廃した土地に草木を植え、一面の緑に変えた卓はモンゴル語で「緑の魔術師」と言う意味を持つ「ノゴーン・ベキ」の名を貰い、神様のように慕われ、崇められた。更に息子の憂助にも恵まれ、充実した日々を過ごす。
しかしその幸せも束の間、再びバルカで内乱が起き、卓はスパイの容疑を掛けられて家族と共に逃亡する事に。その過程で憂助を誘拐され、更に妻・明美を失う。自身は一味の下っ端であったバトラカ(後にテント最高幹部の一人となる)に助けられるも、失意のどん底に突き落とされた。
しかし憔悴していた時、ある少年兵から遺弟として当時生まれたてのノコルを託され、そこに生きる希望を見出す。
元々公安の人間なので銃の扱いには長けており、彼はスパイである事実をバトラカに明かしつつ、それ持って再び現れたゲリラを掃討。これ以降集落の皆に銃の扱い方など「自分達の手で平穏を守る」手立てを教えていく。
更に付近の集落から依頼を受ける形でゲリラを倒し、遠征していく中で孤児の存在を意識。「バルカの子供たちを救う」決意へと変化し、(孤児たちの寄り場になることを願った命名として)テントの設立へと至る。
すなわちテントの実態は、テロなどの非合法活動を請け負いつつ、その多額の報酬で子どもたちを救うための団体であり、上層部はベキ、バトラカを除けば殆どがベキの養護の下で育った子供達。尋問の際アリは「偉大な指導者」であると同時に「我が父」としていたが、その言に嘘偽りは無かったのである。
もっともアディエルのような、テントに入らない選択も勿論受け入れており、ベキは結婚祝いに自分の元々住んでいた家をプレゼントした。つまり序盤で憂助が看病を受けたアディエル宅は、彼の生家だったのである。またジャミーンの無事には、幹部の皆が一様に安堵の表情を見せていた。
表向きには会社を設立し、その業務内(やベキ名義の報酬)で児童養護施設を多数運営。組織の間では、半ば暗号のような形で日本語が教育されている。
更にバトラカを代表にして民間軍事会社を経営、その中で極めて優秀な者をテントのテロ実行要員としてスカウトしている。
とはいえその性質上、実はかなりテロに消極的であり(憂助は「テロよりその他の仕事の方が多い」と述回しており、その他犠牲者が最小限になるよう実行の日時をシミュレートし調整する、何より日本への攻撃依頼は全て断るなど)、極力血を流さず活動資金が手に入るならばそちらの方を優先する。劇中では憂助がテロの代わりに信用取引で金を増やすことを提案した際、ベキはあまり躊躇う事無く資金を準備した(ノコルは憂助への嫉妬もあり渋っていたが)。
裏切りに極めて敏感なのは、卓がかつて退避のヘリが目前まで来ておきながら去った≒送り出した日本国に裏切られた事に由来する。とはいえ流石に子供達の面前で切り捨てる訳にもいかないため、前述の養護施設で不正を働いた責任者は財貨没収・国外追放の処分にされた。
憂助の手助けで逃亡したアリに関しては、(母や娘を人質に取られてなお)ギリギリまで秘密を守ろうとした忠誠心を認められ、それに免じて見逃されている。
『テントの最終標的地が日本』とされていた事についても、「裏切られた事実から尾びれが付いたのでは」とベキは推測。更に40年以上を孤児救済に費やしたことでそちらへの怒りも限りなく薄れていることを明かし、「私が祖国を攻撃する訳がない」と断じている。