演:堺雅人
概要
ドラマ「VIVANT」の主人公。
丸菱商事・エネルギー事業部2課課長であり、バルカ共和国で行われている太陽エネルギープラント事業担当。超のつく生真面目な人物だが、気弱かつヘタレな性格。
バルカに1億ドルを誤送金したという疑いを社の上層部から付けられ、事件の収拾をつけるためにバルカに向かうも、現地のテロリストに「VIVANT(ヴィヴァン)」なる存在と間違われてしまい、更に国家やテロ組織が絡むほどの大きな渦に巻き込まれていく。
過去の凄惨な経験により別人格を生み出しており、乃木もそれを自覚している。
別人格のことを「F(エフ)」と呼んでおり、「F」とはよく会話をしているが、当然周りには見えないため独り言のように見られてしまう。なおFの人格が現れる際には強い頭痛に襲われる(後述の記憶障害による影響もあると思われる)。
公安エリートの野崎守からは自身が(間違われたのでは無く本当に)「VIVANT=別班」なのではと疑われている。
独身で、両親は既に亡くなっており、兄弟もいない。
毎晩過去と思われる悪夢にうなされており、幼少期に両親がテロリストらしき集団に襲撃され、同世代の子ども達と共に監禁されていたような描写がある。
このためか子供に対する情はかなり厚く、特に恩義のあるジャミーンに対しては手術費を集めるクラウドファンディングに対し1470万円(それまでに色々貯金していた模様)をひっそりと、だが躊躇うことなく支援していた。
しかし、主治医の柚木薫に会食の場でバレてしまった。「F」からは彼女らの親子のような絆を、家族を失った自身と照らし合わせて羨んでおり、また自身も愛情を持ってその仲に入りたいのではと指摘されている。
プロフィール
生年月日:1981年1月25日
父:乃木卓(本籍地:島根県出雲町 1955年8月15日生まれ)
母:乃木明美(本籍地:東京都小金井市 1957年10月31日生まれ)
1984年 バルカにて両親と死別、テロリスト(より詳細には人身売買のブローカー)に囚われていたところを戦場ジャーナリストにより救出される。
記憶障害により自分の名前を忘れていたため、京都府舞鶴市の児童養護施設「丹後つばさ園」で「丹後隼人」(演:櫻井海音)と名付けられて生活(名字は児童養護施設の「丹後」から、名前は「丹後つばさ園」の園長らが話し合いの末に決定)。
1999年6月 留学先のアメリカにてRongaly Military High School 卒業(ロンガリーミリタリーハイスクール、特殊な軍事学校、主席)
大学入学の直前に偶然実家が判明、名を「乃木憂助」に戻す。
2003年6月 コロンビア大学教養学部経済学科卒業
2006年3月 東京大学大学院経済学研究科経済専攻修士課程修了
2006年4月 丸菱商事入社
別班としての側面
山本「別班はずば抜けて優秀な超エリート集団のはず…」
「同期の出世レースからも脱落したトロいお前が、別班なんかになれるわけないだろ!!」
乃木「出世?そんなモンしたら任務に差し支える。別班は海外飛び回ってなんぼなんだよ」
「この美しき我が国を汚すものは、何人たりとも許さない」
「命に従い、お前(山本)を排除する」
その正体は政府にも隠された自衛隊諜報組織「別班」の工作員。
児童養護施設にていじめに遭った際、別人格として形成された「F」から「強くなれ」「アメリカにあるというミリタリースクールに行けば強くなれるはず」「そのために沢山勉強して奨学金を得ろ」と諭されたことで、猛勉強の末に留学してミリタリースクールへと入校する。
その後、コロンビア大学に在学中、あのアメリカ同時多発テロ事件が発生。学友たちが家族を守りたい思いで軍隊へ入っていくのを目の当たりにし、「自分も何かを守りたい」という一心のままに日本へ帰国、自衛隊へ入隊した過去を持つ。在籍中も優秀な成績を修め心理戦防護課程へと進み、別班所属となる。この時点で自衛隊における経歴は抹消された。
プロフィールにある通りミリタリースクールを首席で卒業した経歴は別班所属後もなお発揮されており、バルカへ渡った当初(第1話)を振り返っても
- 書類を落としたふりをしてアリ(取引先の社長でテロ組織「テント」の関係者)の机に盗聴器を仕掛ける。
- アリのスマホから情報を抜き取って複製した他、位置情報を掴むため、パームの要領でわざとスマホを落とさせてすり替えて戻す。(本人曰く「一度手品で見ただけ」と称していながら完璧に成し遂げている)
- 公安現地エージェントのドラムに盗聴器を仕掛けられたこともしっかり把握していた(10g以内の誤差で1kgまで手で重さを量ることが出来るという特技を持つため)
- 凄まじい射撃精度により、野崎の発砲とほぼ同時に足に隠していた銃を引き抜いて発砲、起爆装置を握っているテロリストの手に命中させる。
といった行動を残している。これらは後に、野崎とバルカ警察のチンギスの合同捜査が行われた事でようやく明らかとなった。
特に射撃に関しては、一瞬で引き抜いた拳銃を驚異的な早さで照準し、相手が反応する間も与えずに発砲する凄まじい早撃ちを見せる。しかも、2人以上の敵の眉間を正確に撃ち抜いたり、4人以上の相手に急所を避けて撃ち抜く、といった芸当すら一瞬のうちに成し遂げてしまう。
一方でその二重人格があってか、公安エリートの野崎にすら殆ど気取らせず、正体に勘づいてなお「乃木はレベルが低すぎる」と半ば信じられない素振りを見せていた。第8話で行われた知能テストにより、IQ137であることも判明している。
見出し冒頭のセリフは彼のモットーでもあるらしく、山本のような国を汚す者に対しては自殺に見せかけた消去、ひいては幼い娘をはじめその家族すら平然と殺害し(たように見せかけ)脅迫するなど、悪魔の如き所業も躊躇なく実行に移す。
しかし自身の経験からか、たとえ敵相手でも「守るべきもの」があった場合実際に手に掛けることはしない性状。前述のアリには(国を裏切った山本と違いあくまで組織に殉じていただけというのもあり)家族を処刑したかのような真似をしたことを謝罪、殺したように見せた家族を引き合せた上で逃亡のバックアップまで行っている(そのお陰でアリから礼として新たな情報も得られた)。
上記の乃木の発砲で、彼が別班であることが確定的となったため野崎は帰国。彼のルーツである舞鶴や島根に赴いて、上記のプロフィールが明らかになっていく。
また、ミリタリースクール時代の仲の友人がCIAに居り、第1話で乃木を手助けしていた。乃木が別班であることを友人が把握しているかは不明。
ノゴーン・ベキとの関係
テントのリーダーであるノゴーン・ベキは実父「乃木卓」(のぎ すぐる)である。
任務中もベキが父親である可能性が極めて高いことは、別班にも明かしている。
しかし、あくまでテントの実態を解明するという任務を最優先事項にしており、日本に危害を加えるようであればたとえベキであろうと殺害も辞さない覚悟であった(ベキもまた私情によりテントに取り入り、別班を裏切ったとあれば容赦なく粛清するつもりだった模様)。
余談
- 第8話で乃木自身が明かした別班への配属過程は概ね書籍によるリークと一致するが、一部異なる部分もある(リークでは「心理戦防護過程」を主席で修了し、かつ更に基準を満たした者が別班配属となる、とされるが、ドラマでは防護過程の面接後、即時別班配属と見れる描写になっている)。
- おそらくドラマ的なわかりやすさを重視する等の事情で、意図的に濁してあると思われる。
- また、CGで明らかに若返っている堺氏が見られるのもこのシーン。
関連タグ
半沢直樹:中の人繋がり兼中の人ネタその1。放映時点でちょうど10年前(と3年前)に放映されていた同じ日曜劇場の主人公で、悪事を働いた相手は完膚なきまでに叩きのめす苛烈な性格の持ち主。乃木は爆破事件後に帰国した際に社内監査員に陰湿な攻撃を喰らうも、見事潔白を証明した後衆目の前で(「F」により)倍返しもかくやといった口撃で彼を縮こませた。
テント潜入以後、信用取引の一件や最終回のシーンはどう見ても2020年版第1部を彷彿とさせる。メタな話をすると監督も同じなので、セルフオマージュと捉えるべきだろう。
伊達一義:中の人繋がり兼中の人ネタその2。ジョーカー許されざる捜査官の主人公で、普段は「仏の伊達さん」と呼ばれるほど穏やかで物腰の低い性格だが、犯人に逆上されて襲われるなどのヘマをする少々ヘタレな一面も。その一方で、法の網を掻い潜って生活する犯人達に怒りの鉄鑓を下す制裁者の顔を持つ(こちらは殺人ではなく、犯人を麻酔銃で眠らせた後に何処かの孤島へ連れていき、そこにある私設刑務所で被害者達と同じ苦しみを生涯与え続けると言うもの)。乃木が悪魔化した際の顔が「伊達さんみたい」と言う声も。