別班
べっぱん
別班とはヒューミントなど諜報任務を行うとされている、いわゆる諜報機関。報じられた情報では日本の陸上自衛隊、または陸自を管理する陸上幕僚監部(陸幕)に所属するとされる非公然・非公式部隊である。
公式にはこの組織の存在は否定されており、日本政府も存在を認めていない。
正式名称
時代ごとに正式名称が異なるが、現在の正式名称は「陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部情報1班特別勤務班」。「別班」は「特別勤務班」を略称したもの。
正式名称は所属部署の異動とともに変化する。設立当初は陸幕の第二部が別班を直轄していたが、後に第二部の下の情報1班が別班の連絡担当となり、その後の組織改編で第二部が調査部へと改編、さらなる組織改編で運用支援・情報部となり、現在は指揮通信システム・情報部へと別班が移管されたため、
- 陸上幕僚監部第二部特別勤務班(設置当初)
- 陸上幕僚監部第二部情報1班特別勤務班
- 陸上幕僚監部調査部情報1班特別勤務班
- 陸上幕僚監部運用支援・情報部情報1班特別勤務班
- 陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部情報1班特別勤務班(現在)
といったように時代ごとに異なる。大抵「情報1班」の呼称は省かれるほか、基本的には運用支援・情報部時代かつ、特別勤務班を略称した「陸上幕僚監部運用支援情報部別班」の名が正式名称とされることが多い。
英称はDefence Intelligence Team(直訳:防衛情報部隊)で、頭文字をとってDITと略される。
任務と部隊内容
上記のように、別班の任務はヒューミント(人的情報)による諜報活動である。別班員は身分を偽装し、海外に作られたダミーの民間会社に潜伏し、海外にてスパイ活動を行う。または仮想敵国の現地住民や、海外を往来する商社員や記者などに資金を渡して情報収集を依頼し、仮想敵国の情報を集める。その活動は内閣総理大臣や防衛庁長官(現防衛大臣)にも知らされず、無断で行われていたらしい。
組織規模は不明だが、一時期は20人程度の隊員が所属していた。指揮官は一等陸佐(外国の大佐クラス、以前は中佐クラスの二等陸佐だった)が担い、班員は幹部自衛官で心理戦防護課程の修了者または首席の修了者から、さらに選抜された者たちで構成されている。心防課程は大日本帝国陸軍のスパイ養成所だった陸軍中野学校の元教官らが開講したものである。
創設の経緯は諸説あるものの、朝鮮戦争終結により在日米軍の大半を米国本土へ引き上げることになったアメリカ軍が、極東での情報戦力の低下を危惧し、日本に要請して設立した日米合同の非公然情報部隊が源流と言われる。この情報部隊には上記の中野学校の元教官らも集められていた。
2024年現在、別班はすでに組織として消滅したとも言われている。が、逆に現在も存在しているという報道や、名前を変えて存続しているという報道もあり、真相は謎。活動に関しても、情報収集のために多額の資金を投じていたとする話と、資金は投じていたが公安警察と比較すると寂しいほど少額だったとする話が混在しており真相不明。初期は少額だったが、後に多額になっていったという話もある。
非公式部隊
上記のように、公式にはこの組織の存在は否定されており、日本政府も存在を認めていない。しかし、報道を通じてこの組織に関する情報がしばしば流通している。
因みにイギリスでも1994年になるまでMI6の存在を認めていなかった事が知られている。日本でも警視庁が1995年まで特殊部隊SATの存在を秘匿していたように、存在を秘密にしていた部隊が後になって公表された事例もある。将来、別班もその存在が認められる日が来るのかもしれない。
なお、陸上自衛隊には似たような部隊として「現地情報隊」がある。この部隊は陸自に必要な情報を集める中央情報隊の隷下部隊で、ヒューミントを行う情報科部隊として2007年に創設された。ヒューミントを行うという点では別班と似ているが、別班との最大の違いとして公式に存在している(もっとも別班より知名度が低いが……)。
別班と現地情報隊は任務内容がダブっているが、関係性は不明。ただし現地情報隊が非公然活動をしているといった情報はない。非公開で本当はやっているかもしれないが。
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