概要
TCG『カードファイト!!ヴァンガードブースターパック「究極超越」で登場した、グレード3のアクアフォースに属するユニット。
公式設定
海軍“アクアフォース”の初代元帥。クレイの全海を支配した、歴戦の古強者。神々の戦「大災厄」の直前、海軍の全面降伏を要求してきた「ギーゼ」に単身で挑み、これに敗北。以来、その圧倒的な力に心酔し、ギーゼの言動すべてを肯定している。
大災厄での敗戦後に封じられたが、「ガスティール」の手引きによって解き放たれた。解放された後、共に復活を遂げた直属の大部隊「旧世軍」を率いて海軍の特殊部隊「蒼波」を制圧。自らを「蒼波元帥」と称し、残存兵を取り込みながら蒼波を拡大していった。
本来の姿は「メイルストローム」をも軽く超える史上最大の巨大海竜。元の巨体では、体を動かすだけでも周囲に被害を及ぼしてしまうため、普段はアクアロイドの器に意識を移して活動している。
ユニットとしての性能
旧シリーズ(プレミアムスタンダード)版
多くのグレード3と同様のパワー11000で、能力は自動能力が二つ。
一つはライドフェイズの開始時、カウンターブラストを1枚払うことで、「蒼波」を含むユニットをスペリオルコールし、そのパワーを+2000した上で1枚ドローするもの。
タイミングの都合上、ヴァレオスにライドしてから次のターンまで待つ必要があるが、単純にアドバンテージを稼げる優秀な能力である。
超越に依存せずに使用可能な能力であり、仮に相手がグレード2止めで超越を阻害してきてもこちらの能力で攻め手を増やすことが出来る。
もう一つは「蒼波」を含むGユニットに超越した時に発動する、いわゆるストライドスキルで、「蒼波」を含むカードをソウルブラストすることで相手のヴァンガードのパワーを11000で固定し、ガーディアンのシールド値加算以外でのパワー増加を禁止するという強烈なもの。
ヴァンガードにおいて、ユニットのパワーはとにかく上がりやすい。またプレミアムスタンダードであっても、ヴァンガードの多くはクロスライドで11000ラインを易々と超過するため、基礎パワーラインの低いアクアフォースは連続攻撃が不発に終わりやすい。
のだが、ヴァレオスのこのスキルを使えば、相手のヴァンガードのパワーを強制的に11000で固定し、ガードによる一時的な増加以外でのパワー変動を封じるため、格段にアタックが通しやすくなるのである。
しかもコストは「蒼波」を含むソウル1枚のみという驚きの軽さ。
相手からすれば連続攻撃に対する解答を全て粉砕され、攻撃されればそれだけ手札とインターセプトを消耗することを強いられる。要件の都合上「蒼波」デッキに限られるものの、アド稼ぎが苦手なクランはこいつとぶつかった時点でゲームエンドまで持ち込まれることもあり得る。
新ルール(Vスタンダード)版
並行世界のクレイを舞台としたこちらのルールでも登場。
パワー12000。
超越や双闘、キーワード能力の大半が撤廃され、やや簡略化したルールに合わせてか、カード名を要求する用件はなくなり、能力も3つに増加。
一つ目はストライドスキルを改変した起動能力で、カウンターブラストとソウルブラストを1枚ずつ払い、相手ヴァンガードのパワーを-5000するもの。この時それがグレード3以上であれば、シールド加算以外でのパワー変動を禁止する。
能動的に使えるようになったがコストにカウンターブラストが要求されているため、乱発はしづらい。パワー変動封じまで狙うなら最初からヴァレオスにライドするよりも、他のグレード3で戦線を維持してからの方がいいだろう。
なお、厳密にいうと「ガーディアンによるシールド値の増加以外ではパワーが増えなくなる」効果なのでクイックシールドやガーディアンシールドなどのブリッツオーダーによるパワー増加も封じられる。
二つ目はアニメのヴァレオスが切り札にしていた「絶海のゼロスドラゴン メギド」の能力を受け継いだもので、手札から「蒼波元帥 ヴァレオス」を捨てることで配置されているマーカーを全て除外し、ドロップゾーンから5枚までスペリオルコールするという強烈なもの。
アクセル・マーカーも全てなくなってしまうが、メガコロニーの暗黒繭マーカーなども消えるため一長一短か。
三つ目はアタック後、リアガード2体の位置を交換するもので、これもメギドの能力と同じ。
いずれも1ターンに1回の制限がついているため、本家メギド程の怒涛の連続攻撃は不可能。それでも単純にアタック回数が1回増えるだけでも十分だろう。
この能力の真価はリアガードを左右に移動できるというもの。本来は前列後列の交代しかできないところを左右への移動でフォローできるため、ブースト役を移動させて次のターンに備える、残しておきたい前列を後列と入れ替えて置くなど防御的にも使える。
ただし欠点としてイマジナリーギフトアイコンを持っていないため、アクアフォースのアクセルマーカーを得ることはできない。他のユニットでマーカーを得ることは当然できるが、2番目の効果を使う時に除外してしまうためとことん噛み合わせが悪い。
アニメにおいて
CV:竹内良太
「お前にはわからないだろう……ギーゼ様の素晴らしさが。その時私は悟った……縋るべきものは、目の前の絶対的存在なのだ。ギーゼ様の力の前では全てが無に帰す。従う以外の道はない。ギーゼ様が破滅をお望みなら、その意に従うのみ」
設定上は海津ルウガが使用するユニットで、彼の分身に当たるが、「ヴァンガードG Z」においてはディフライダーとなったヴァレオス本人が敵として登場。
惑星クレイ最強の海軍・アクアフォースの初代「元帥」であり、その正体はクレイ史上最大のデカさを持つ海竜。
あまりのデカさに、動くだけで大災害を起こしてしまうため、代わりの体として壮年の男の姿をしたアクアロイドを用意し、そこに自分の意識と力を移し替えて行動している。
劇中では破壊の竜神ギーゼを信奉し、その復活を目指す「使徒」の一員として活動しており、メンバーの中でもリーダー格の日比野アルテ/邪神司教ガスティールからもギーゼに対する忠誠心を評価され、強い信頼を寄せられていた。
またヴァレオスの方もガスティールを「猊下」と呼んで一目置いており、彼がクレイに送還された後もそれは変わっていない。
もっとも「使徒」の面々は、この二人以外だと、
- 二人に並ぶ最古参ながら、最終的にギーゼをも滅ぼしてクレイを支配しようとしているゲイリ・クート/百害女王ダークフェイス・グレドーラ
- グレドーラ第一でありギーゼのことは究極的にはどうでもいい若水ソウスケ/威圧怪王ダークフェイス・アルキデス
- 外から引き入れた傭兵である渕高サオリ/炎熱猟兵ダムジット
- 自分の楽しみが最優先の星崎ノア/星輝兵カオスブレイカー・ドラゴン
と面重腹背の連中ばっかりであり、ガスティールが手放しで信頼できるのがヴァレオスしかいなかったという事情もあるのだろうが(ちなみにこの中だと一番仕事をしたのがカオスブレイカーだったりする)……。
「G Z」序盤で綺場家を襲撃し、いきなり剣で斬りかかりリアルファイトを挑んだ。
この時は結局失敗し、ファイトに持ち込むと、綺場シオンをゼロスドラゴンの力で下すと共に、光輝の剣フィデスを破壊した(ちなみにファイトの直前に武器としてのフィデスを素手で掴んで案の定怪我をしており、包帯を巻いているといういささか間抜けな一面を見せている)。
さらにギーゼをディフライドさせる器を選定すべく、明日川タイヨウを下してレリクスに転移させている。
その後はディフライドに失敗したクラレットソード・ドラゴンに代わる、「極天のゼロスドラゴン ウルティマ」の担い手となるユナイテッドサンクチュアリのクランデッキの使い手を捜索していたが、結果が出る前にガスティールが敗れて強制送還されてしまったため、彼に代わり使徒のリーダーとして動くことになる。
それから程なくして東海林カズマが偶発的にギーゼの器となり、ウルティマの覚醒に成功したことで、図らずも使徒としての目的を達成。
「東海林カズマを器とし、ギーゼ様のディフライドは成った。だがこれは、ユニットがこの地に来るためのディフライドとは違う。神の降臨、受肉だ!」
「儀式は惑星クレイとこの星を繋ぐ運命の法則、ヴァンガードファイトによって完遂される。勝利により、ギーゼ様は真にこの地に降りられるのだ!」
「期せずして、東海林カズマがシャドウパラディンの使い手だったゆえ可能なこと。そして、その東海林カズマは図らずもギーゼ様の器となった! 何たる偶然……何たる必然……! まぎれもなく世界は滅びを望んでいる!」
宿願を前にテンションが上がったのか、これ以降物凄い顔芸を見せるようになる。
その後、使徒を追っていたシオンとハイメを足止めし始末すべく彼らを待ち伏せ、ファイトを挑む。
戦いの中、ヴァレオスがなぜギーゼの使徒となったのかが語られる。
元々ヴァレオスはアクアフォースを率いてクレイの海の治安維持に当たっていたが、メサイアとギーゼの戦いである「第一次弐神戦争」の勃発後程なく、ギーゼがメガラニカを襲撃してきたため単独で迎撃に出るも、破壊神の圧倒的な力の前に敗北を喫し右目を失う重傷を負う。
「そうだ……あの時オレは知った。圧倒的力を……絶対的存在を」
「恐怖……怒り……悲しみ……嘆き……そして、絶望と喪失が支配した……どうすればいい? 何もできなかった……ただ、目の前にあるものに震えた……」
「縋るべきものは、目の前の絶対的存在なのだ……」
「ならば縋ればいい! そうだ……そう思った瞬間、全ては喜びに変わったのだァ!! アーッハハハハ……ギーゼ様ァァァーッ!!」
「全てをギーゼ様に委ねるのだァァ! そうすれば一切から解放される……全てが消えるのだァ!!」
「恐れるなァ! 受け入れろォ! 滅びと言う名の圧倒的救い、喜びが、お前を満たすのだァァァ!!」
自身の力に絶対の自信を持ち、ゆえに掲げた「絶対正義」を打ち砕かれたヴァレオスは、想像を絶する恐怖と無力感、絶望の前に心を打ち砕かれ、そこから逃れたいあまりにギーゼに縋りつき、そのしもべとなることで己を保ったのである。
結局その後、ギーゼは「聖剣フィデス」の使い手を筆頭に立ち上がったロイヤルパラディンの反撃を機に劣勢となり、ヴァレオスはこれを阻止すべく立ちはだかったもののフィデスの前に屈し、封印されてしまう。
この結果統制を失ったアクアフォースは総崩れとなり、制海権を失ったことでメサイア勢力の集結が始まる。
地上ではグレドーラが率いていたメガコロニーの軍勢が猛攻をかけていたが、集結した戦力により押し返されて後退・潜伏を余儀なくされ、戦力の大半を失ったギーゼはそのままメサイアに押し切られ敗北を喫する。
使徒の中で唯一メサイアの裁きを受けたヴァレオスは魂の浄化を施されるが、己の敗北が引き金でギーゼを封印されたことに対する罪悪感、そしてギーゼへの忠誠心によってこれを耐え抜き、使徒としての己を守り抜いて姿を消した。
その後、本格的に正義の軍として再編されたアクアフォースを急襲、「蒼波」軍を制圧・掌握して己の指揮下に加え、ディフライドによって地球に襲来した……というのが過去のいきさつである。
のだが、ここに来てのヴァレオス最大の失敗はシオンを迎え撃ったことそのものであった。
シオンはクロノの仲間たちの中で唯一ディフライダーへの勝利経験がなく、また怨敵の武器である聖剣フィデスも実体から破壊しているため、既に用済みであった。
だが、それゆえに彼を侮り、慢心したヴァレオスは、ゼロスドラゴンすらしのぐほどに成長していたシオンの力を見誤り、復活した「不滅の聖剣 フィデス」の前に完全敗北。
ゼロスドラゴンを用いて敗北したことでディフライドが外されるが、それでも最後の力でシオンを抹殺しフィデスを破壊しようと、壁にかかっていた剣で斬りかかる。
しかし、シオンを殺す寸前で完全にディフライドが解けてしまい失敗。霊体のままシオンに迫るが、抗えずクレイに送還された。
その後どうなったのかは不明だが、小説版では帰還直後、シオンとのファイトの結果を見て待ち構えていたアルトマイルと遭遇し、フィデスの一撃で敗北。
戦争終盤、レリクスにおいてギーゼのもとにガスティール共々復活、アルトマイルに猛攻をかけるが、加勢に現れた「嵐の覇者 サヴァス」と「蒼嵐竜 メイルストローム」の参戦でひっくり返され、最後はフィデスの一撃でアクアロイドの核を砕かれる。
それでも諦めず、海竜としての真の姿を現し全てを抹殺しようと試みるが、アルトマイルに抑え込まれ、聖剣フィデスと道連れになる形で消滅、死亡した。
同時に復活したガスティールも「閻魔忍竜 シラヌイ“慚愧”」の前に討ち取られ、これを以てギーゼの使徒は全滅することになった(グレドーラ&ダークフェイスは離反)。
2011年版との関わり
ヴァレオス自身は「G NEXT」からの登場だが、実はその存在は2011年版・アジアサーキット編におけるアクアフォース絡みの騒動に大きく関わっている。
弐神戦争の終結後、ヴァレオスがギーゼに与した責任をアクアフォース全体が負わされ時空の狭間に封印される=クレイの歴史から消され、認識されなくなるという重刑を受けている。
のだが、これは運命の修正力により、地球におけるアクアフォースの先導者・蒼龍の民に波及。結果的に「虚無」の介在もあって蒼龍レオンの暴走を招き、さらにその「異常なまでの正義への執着」を伝染させることで、彼の分身である「蒼嵐竜 メイルストローム」を「蒼嵐覇龍 グローリー・メイルストローム」に変貌させている。
つまるところレオンやチェン姉妹ら「蒼龍の民」が衰退し、非常の手段に出てまで復興を目指さざるを得なくなった原因がこの男なのである。
関連ユニット
決意の激流 ヴァレオス・リヴァイブ
プレミアムコレクション2019で新たに登場したヴァレオスの新たな姿で、Gユニット。
能力は自動能力一つで、アタック時にカウンターブラストとGブラストを1枚ずつ払うことで、表のGゾーンの数だけ手札からスペリオルコールしつつその数だけドローし、さらに表のGゾーンが2枚以上であれば、相手のヴァンガードのパワーを11000で固定するもの。
通常のヴァレオスの能力をそのまま強化したようなものであり、相手がグレード3であればヴァレオスにライドした直後にこちらに超越できる。
「蒼波」の名称がなくなったためそちらのサポートには対応しないが、代わりにアクアフォース全般でヴァレオスのスキルを使用できるため、主に「蒼波」以外のデッキで活躍するだろう。
フレーバーテキストの「かつての咎を決意に変えて、絶対正義が蘇る。」という内容、Gユニットがユニット達の未来の可能性の顕現であることを考えると、これは「復活したヴァレオスが使徒を離反し、正道に立ち返った」という未来の姿だと思われる。
自身の直下である「蒼波」にとらわれずアクアフォース全体で使用できる汎用性はそれを反映しているのだろう。
もしかするとギーゼを前に彼と共闘する道もあったのかもしれないが、今となっては過去の話である。