Firefox
ふぁいあふぉっくす
FirefoxとはMozillaによりオープンソースで開発されているWEBブラウザ。
バージョン5.0から高速リリースサイクルに移行した。
概要
Mozillaが開発するブラウザで、Netscape系タブブラウザの後継。
かつてInternetExplorer一強の時代に挑み、タブ機能や豊富な拡張機能によって、そのシェアを大きく崩したことで知られる。
しかし2010年代には大資本をバックにしたGoogleChrome(ないしオープンソース版のChromium)の登場により、かなりシェアを減らしている。
Chromeが採用しているBlinkレンダリングエンジン一強のブラウザ界隈において、FirefoxはGeckoレンダリングエンジンをデフォルトとして使用している(safariはWebkitだが、Blinkのフォーク先でもある)。
最終的にIEがサポート終了に伴い消滅した事で、今や非Chromiumなブラウザとしては(Firefox系列が)唯一の存在となっている。
ちなみにModzillaにはGoogleも出資しており、競合対象にしてサポート関係という複雑な状況が築かれている(Geckoブラウザが消滅すると、独占禁止法抵触の危険があるためと推測される)。
クロスプラットフォームなのでMacOS、UNIX系、Linuxディストリビューション、AndroidなどさまざまなOS上で動作する。
とくにLinuxディストリビューションではFirefoxまたはFirefoxのソースコードを改装した別ブラウザがデフォルトになっていることが多い(メーラーもMozilla提供のThunderbirdが搭載されている事が少なくない)。
またChromeで言うGoogleアカウントに匹敵するFirefox Syncもあり、各デバイスでブックマークやパスワードなどを共有出来る。
略称は「Fx」「fx」が推奨されるが日本国内では直訳の「火狐」が一般的。これはデフォルトアイコンの意匠になっている地球を取り巻く炎を纏ったような赤狐からきている。
しかし、firefoxの本来の意味は「レッサーパンダ」である。デザイナーによると、レッサーパンダを指すことは知っていたのだが比較的マイナーな動物だったこともあってイメージが沸かず、日本の狐の絵にいいのがあったのでそれを参考にロゴを描いたとのこと。なのでこれは勘違いとかではなくわざと狐にしている。
ちなみにMozilla Japan(現・WebDINO Japan)が制作したマスコットキャラの名前はフォクすけである。(Mozillaのマスコットは、赤いティラノサウルス)
「Quantum」以降の特徴
当記事では「Quantum」以前の情報も多いため、ここに記述。
長所
- Chromiumベースのブラウザは拡張機能(アドオン)を追加していくと動作が重くなっていくという欠点がある(後述通りこれは「Quantum」以前のFirefoxも抱えていた問題だった)が、こちらはほぼ独自規格によるリニューアルに伴いそこまで重くならない。拡張機能(アドオン)導入前提での立ち上げの速さは歴然である。
- Portableによる持ち運びが手軽。ChromiumベースのPortableブラウザはクラウドデータを維持できない事が多く(まともに出来るのはOperaくらい)、特にGoogle Chromeはほぼ初期状態同然に戻されてしまうため使い物にならない。Firefoxは「Firefox Sync」と連動の維持がかなり強く、ほぼそのままの状態で稼働できる。
- スマホカメラでQRコードですぐに「Firefox Sync」を同期可能。これは他の一部ブラウザにもある機能だが、FirefoxはQRコードの読み込みスピードがとても速い。なお、同期にQRコードに依存しない場合は紐づけしたメールアドレスに送信されたパスコードを入力する必要がある。
- Android版もアドオンが使用可能※。この拡張機能が使えるという一点を取っても、原則拡張機能に対応していないChromeに大きく勝る。
- PC版でも他のブラウザでは広告ブロッカー関係で締め付けが強まっており、「ublock Origin(オープンソースの広告ブロックアドオン、任意のマイフィルターを導入することで広告だけでなくウェブサイトの気に入らない部分を消去したりもできる)」などを愛用している人はFirefoxをお勧めする。
- 他のブラウザの初期設定時にありがちな、(通信量稼ぎの)あなたへのおすすめ系ニュースが無い。最近は炎上狙いのクソニュースも増えているため、それらを見なくて済むのは地味にメリットである。
※Quantum当初はFirefoxの認めたごく少数のアドオンしか使えなかったが、2023年12月より対応の完了した複数のアドオン導入が解禁されている。
短所
- 拡張機能(アドオン)が独自規格のため、Chromium用の拡張機能や旧Firofoxの拡張機能の遺産は利用できない。Quantumに移行してかなり経つため大抵のものは補完されているものの、近年偏向的な記事の取り上げが目立つYahoo!ニュース用に利用者が急増している「Y!News Excluder」などが使えないのはFirefoxには劣勢になっている。
- レンダリングエンジンが独自のものであるため、まれに正常に動かない場合がある。
- 自動更新が入るとスペックによっては重い。更新頻度も多いため、パソコンが異様に重くなった→仕方なくFirefoxを終了→Firefoxを更新していますとなるのは日常茶飯事。このため一応手動更新に変更することも可能だが、知らない間に自動更新設定に戻っていることも…
- Android版の画像保存場所にSDカードを指定できない。SDカード内のファイルを見ると一応ダウンロード用ファイルは作られているようだが、今のところSDカードに指定する方法が存在しない。このため、SDカードへの移動の手順が必要になる。
リリースチャンネルと非公式ビルド
公式ビルド
Firefox正式版
安定版。普通はコレがインストールされる。
リリースサイクルは6週間。
Firefox Focus/Firefox Klar(ドイツ語圏での呼称)
あらゆるトラッキング要素を排除し、プライバシー保護を掲げたモバイル向けバージョン。
常時プライベートモードであり、ブラウザ自体のロック機能も搭載。上級者向け。
Firefox Beta
安定化前のベータ版。正式版+1。
基本的にNightlyで加えられた変更へ安定性や互換性の修正が行われている。
その為正式版よりも若干不安定なものの、普段使いにはさして問題ない。
リリースサイクルは1週間。
Developer Edition(Aurora)
開発者向けのブラウザで様々なツールが提供されている。
セキュリティー要件が緩かったりする以外は基本的にはBeta版に準ずる。
なおAndroid版は存在しない。リリースサイクルは1週間。
Nightly
ベータ版より先にリリースされるアルファ版。正式版+2。
開発中の新機能の追加が行われているが、その分かなり不安定。
基本人柱になりたい新し物好きかゴリゴリのデバッガー向け。
リリースサイクルは毎日。
Nightlyとは毎晩ソースコードをビルドすることに由来する。
Firefox 64bit版
2015年12月、Firefox 43のリリースに併せて正式に提供された。
32bit版と比べ処理速度が2倍になり限界メモリ量も増える。
非公式ビルド
Mozillaの関与していない派生カスタム版で、基本有志が開発している。
Pale moon
直訳で「冷たい月」。派生のGoannaエンジンを使用。
わりと有名なカスタムビルド。64bit版あり。
Android版もあったが、Ver30以後はパソコン版に一本化している。
バージョンがオリジナルより進んでいないが内部は同じ。
Waterfox classic
直訳で「水狐」
64bitの改造版でレガシーアドオンを使用可能。
ただし開発が鈍重で整備が遅い。
通常版はFirefox 102esrを、クラシック版ではFirefox 56をベースに開発が続けられている。
Cyberfox
直訳で「電子の狐」(ただしアイコンに狐はいない)
64bit版ありで黒をベースにした見た目がカッコイイ。
それ以外はかつてのWaterfoxとほとんど同じ。唯一の違いは更新速度が早いということ。
残念ながら2018年6月に公開されたCyberfox v52.9.1を最後に更新終了。
公式サイトも閉鎖されており、早急な他ブラウザへの乗り換えを推奨する。
Fennec F-Droid
Android版専用。本家Firefoxからオープンソースでないコードを抜いて再コンパイルされた、プライバシー重視のブラウザ。
よりプライバシーに厳格な「Mull」というブラウザもある。
Iceraven
Android版専用。Quantum移行後アドオンが少数しか使えなかった時代に、より多数のアドオンを使用可能にした派生ブラウザ。
拡張機能(アドオン)
他のブラウザでは到底真似のできない豊富な拡張機能(アドオン)をウリにしていた。有名なものはGoogleChromeにも移植され猛追を受けていたものの、そのソフトウェア遺産という点では歴史の長いFirefoxが圧倒していた。特にハッカー文化が生きていた2000年代に作られたものは、有志の探究心で作られていたために信頼性が高いものが多く、スパイウェア騒動が度々起こるChorme拡張機能より安心できるものだった。
しかし、当時のFirefoxはChromeに対して拡張機能を多く付けていくと重くなるという欠点があった。耐えかねた開発陣は旧来のFirefoxの廃止を決定。2017年11月14日に「Firefox Quantum」と名付けられたFirefox 57がリリースされ、Chrome系と同じWebExtensionsに移行し、旧式の拡張機能は使用できなくなった。現在は移行もかなり進んだが、当初は代替の拡張機能が不足しておりこれでFirefoxを見限った人も多く出るなど混乱した。
現在はChromeの新たな拡張機能仕様「Manifest V3」への反発の結果、柔軟な対応を見せたFirefoxへの再評価も進んでいる。
旧来の拡張機能が使いたい人はWaterfox ClassicかPale moonを使おう。
著名な拡張機能一覧
以下の情報には、古いものもあるので注意
使って当然!なアドオン
ublock Origin
下記のAdblockと同レベルの、優秀な広告ブロック機能を持つアドオン。
Adblockとは選択式になるが、上述の通りAndroid版との連動運用も出来る他、マルウェアを配布するサイトに接続するのを防ぐこともできる。メモリ使用量も少なめ。
作者は他の資本からの誘導を防ぐため、寄付すら一切受け付けていないという徹底ぶり。
注意点として、マイフィルターをGoogleドライブなどのクラウドに保存していると読み込みが中断するため、前もってSDカードに保存したファイルから引き継ぎを行う必要がある(ちなみに「KiwiBrowser」だとドライブからでも直接読み込める)。
Adblock Plus
広告ブロックの先駆け。激うざバナー広告やYoutubeなどの動画広告をほとんど非表示にできる。
不要なサーバーアクセスを減らすことでインターネット全体の無駄なトラフィックを減らすことができるが、専有メモリが多い。
現在は日本語圏のフィルタ更新がされていないため非推奨とされる。
Ghostery
ウェブページ上の「見えない」ウェブを見つけ、トラッカーやウェブバグ、ピクセル、そしてビーコンなどを検出し動作をブロックする。
リンク切れ
Adblock Plusの拡張。
強力だが場合によって過剰なフィルタリスト。
Adblock Plusの拡張。全手動で自作フィルタを作成できる。
なお、Firefox 57以降に対応していないので要確認。
swfをHTML5で動作するように変換する。
非常に重いが、ブラウザエンジンでswfが動作するようになる。
ただしまだ完全にflash playerと同じ動作をするわけではない。
いずれShumwayはFirefoxに内蔵される予定になっている。
あると手放せなくなるアドオン
TWP-Translate Web Pages
ブラウザの言語を検知してまるごと翻訳してくれる。Chromeのデフォルト機能と違いYandexやDeepLも使用できたりサイトごとに翻訳設定を編集できるのが強み。
近年は日本のマスコミの偏向報道が過激・露骨化しているのもあり、ニューヨーク・タイムズやBBCなどの英字ニュースサイトで日本人が「日本で報道されない日本の社会問題」を知るのに一躍買っている。
FastStream
YouTubeなどの動画サイトにて、デフォルトのプレイヤーからバッファリングを最小限に抑えたものに置き換えるアドオン。uBlock Origin開発陣の一人から「(近年厳しさを増す)YouTube広告ブロックの別解」として紹介された。
著作権の都合上、DRM保護されたコンテンツ(おそらくNetFlixなど)では機能しないため注意。
Twitter UI Customizer
近年改悪激しいTwitterのUIを改変(して元に戻したりする)アドオン。
元々は色を変えたりするだけのものだったが、情勢の変化に伴いかなりの項目が追加された。あまりに多すぎて分かりづらくなったためか目的別のテンプレートも完備。
似たアドオンにControl Panel for Twitterがあり、こちらは機能面に特化したものとなっている。
Youtubeフィルタ
Youtubeの検索結果から設定したブロックワードの動画を除外するアドオン。
現YouTubeはYoutuberの問題の項目にもあるように検索妨害としてあらゆる話題に便乗してくる乞食Youtuberやその切り抜き動画が跋扈しており、広告料欲しさに手段を選ばなくなっているYoutube運営が抜本的な対策を行う意思も全く見られないため、自己防衛手段としてほぼ必須レベルのアドオンとなっている。
似たような運用をするアドオンに「Channel Blocker」がある。
URL Link
リンクの貼られていないURL(5chとかによくある、 ttp://www.pixiv.net/ のようなの)を開くことができる。
さらに、(かなりコツを要するが)メニューの編集とカスタマイズ次第により、ページ内で選択した文字列をキーワードに、特定のサイトでの検索までもできるようになる。
例:
- 「pixiv|http://www.pixiv.net/search.php?s_mode=s_tag&word=」で、pixiv内のキーワード検索(部分一致)ができるようになる。
- 「Wikipedia|http://ja.wikipedia.org/wiki/Special:Search?search=*&sourceid=mozilla-search」で、Wikipedia(日本語版)の記事が検索できる。
NightlyTesterTools
Nightlyビルドのテスターを支援するためのアドオン。ビルドIDや拡張機能のリストをまとめて出力することができる。
リンク切れ
Yahoo!、Googleなどの検索結果などが数ページにわたる場合、自動読み込みを行う。
pixivでも有効。
一部のブログでも有効だが、回線が貧弱だと落ちるかも。
AutoPagerize同様、サイトの検索結果やブログのページを先に読み込みを行う。
AutoPagerizeでの自動読み込みに対応していないサイトでも、AutoPagerなら対応できる可能性もある分一歩進んでいるともいえるが、「<div class="ads">○○</div>」といった、「クラス」の概念を理解できないと設定にかなり手こずるかも。
なお、バージョン36.0以降には対応していないようなので要確認。
Firefoxにマウスジェスチャーの機能を追加する。「進む」「戻る」「最小化」ボタンをクリックする手間が省けるだけでもかなりの効率化が図れる。
なお、Firefox 57と互換性がないので要確認。
あると便利なアドオン
Brief
RSSフィードの読み出しを行う。
Stylus
ウェブサイトのデザインには必須な痒いところに手が届くCSS編集用アドオン。
CSSの知識がなくても、専用のスタイルシートが数多く用意されているため扱いやすい。
実はかつて全く同じ機能を持っていた「Stylish」が名を轟かせていたが、作成者が突然機能を改悪し、さらに無断でユーザーデータを他社に提供していた事が問題になり利用者離れが続出した。そしてかつての「Stylish」の利便性を取り戻したい有志によって新たに「Stylus」が作られたという経緯を持つ。
ublacklist
検索エンジンから特定のドメインの候補を不可視化する。
廃止されてしまった「Personal Blocklist」の後継として使われることが多い。
ただし検索結果次第では全く機能しないこともあるため「導入しないよりかははるかにマシ」程度の信頼だと思ったほうがいい。
似た拡張機能にいかがでしたかブログをシューティングした「ゴシップサイトブロッカー」もあるが、こちらはublacklist以上に機能が不安定化しておりドメインブロッカーとしては脱落しつつある。
Advanced Profanity Filter
ウェブ上にある特定のワードを別の言葉に置き換えられるユニークなアドオン。
例えば「Firefox」→「火狐」に置き換えたフィルタを作れば、ウェブ上でFirefoxの文字は火狐に変換されて表示される。
「地雷」と感じるブロックワードが多いユーザー向け。
細かいことに五月蝿い人向けアドオン(残念ながら全てリンク切れ)
細かいCookie制御をする人向け
必要なドメインのCookieを保護して削除されないようにする
有効期限がセッション終了時のものを保持することはできない
なお、Firefox 57以降対応していないので要確認。
ブラウザがサイト(ドメイン)ごとに吐くリファラーを制御できる
吐かせない、偽装リファラーを吐かせる、カスタムリファラーを吐かせるなど強制制御できる
なお、Firefox 57以降対応していないので要確認。
ブラウザがサイト(ドメイン)ごとに吐くHTTP_USER_AGENTを制御できる
吐かせない、カスタムHTTP_USER_AGENTを吐かせるなど強制制御できる
なお、Firefox 57以降対応していないので要確認。
日本語があるもの・日本語がなくても支障が少ないもの
https://addons.mozilla.jp/firefox/extensions/
現存するアドオン全て
テーマ(Personas for Firefox)
Firefoxもchromeよろしく、ブラウザの着せ替えに対応している。
コチラから選んだ外観にFirefoxの見た目を変えられる。
例えば、見た目を初音ミクにしたりなんかいろいろできる。
関連タグ
InternetExplorer(IE)・GoogleChrome(Chrome)・Safari・Opera・Thunderbird
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