曖昧さ回避
- 首都や大都市のこと。日本で言うと東京を指す。
- アメリカのイリノイ州南部の都市の名前。
- 映画監督フリッツ・ラングが1927年に製作した映画のタイトル。
- 漫画家手塚治虫が制作した漫画、及びその映画。本記事ではこの作品について解説する。
メトロポリス
メトロポリスは手塚治虫が1949年に発表した漫画。2001年にはこれを原作にした映画が公開された。
概要
未来社会を舞台にしたSF漫画であり、発展しすぎた科学技術の力が人類に危機を及ぼす様を描いた作品である。急速な科学技術の発展は今まさに現実で起きている現象であり、それによって危惧されていることを見事にとらえている。
それを昭和の当時から描いたところが本作の評価すべき点の1つともいえる。特にこの作品は1949年(昭和24年)に発表されたものであり、手塚治虫の初期の作品に部類するのである。
劇場版では原作にない要素が加えられている。発展都市メトロポリスの様子をジャズ風の曲が展開しながら描いている。
物語
漫画版
科学の全盛期を迎えて大都市「メトロポリス」が近未来都市として発展をし続ける、突如太陽に無数の黒点が現れ始める事態が生じた。人造生命の研究をしていたロートン博士は黒点からの放射線の力で、人造タンパク質に生命が吹き溢れ始めたことに歓喜した。
しかし、秘密組織レッド党の党首レッド公に脅され、ロートン博士は凶悪な能力を持った人造人間を作ってしまう。悪用を恐れて、ロートン博士は事故と見せかけて研究所を火事にして逃亡し、人造人間をごく普通の人間として育てることにした。
数か月の時が経ち、レッド党に所在を見抜かれてロートン博士は殺されてしまうが、死ぬ間際に現場に居合わせた私立探偵のヒゲオヤジに人造人間を託した。
「ミッチイ」と名付けられた人造人間はヒゲオヤジの甥のケンイチの学校へと通わせることにしたが、素性を知るケンイチはミッチイを狙うレッド党との奮闘に巻き込まれることになるのであった。
劇場版
私立探偵のヒゲオヤジと甥のケンイチは、国際手配されているロートン博士を追い、人とロボットが共存する大都市「メトロポリス」へとやってきた。メトロポリスでは丁度、政治結社マルドゥク党の若手実力者であるレッド公による高層ビル「ジグラット」が完成し、繁栄のシンボルとされていた。
だが実際のメトロポリスは「共存」とは名ばかりで、ロボットたちが人に酷使されており、またロボットによって仕事を追われた労働者の人間が多くいる不平等な社会が広がっていた。
捜索の末、ケンイチとヒゲオヤジはロートン博士が潜伏している場所へと辿り着いた。しかしそこは既に何者かによって襲撃され、火事が起きていた。中に突入したケンイチはそこで1人の少女ティマを発見する。逃げ遅れたと思われるその少女は、記憶を無くしていたのか自分のことを含め何も覚えていなかった。彼女の正体は、レッド公の娘を元にした人造人間であり、レッド公が自らの権力を永遠のものにすることを目的に作られた。そうとは知らず彼女を助けたケンイチは、ティマを巡る争いに巻き込まれることになってしまう。
登場人物
- ケンイチ
ヒゲオヤジの甥。人造人間の少女を巡り、レッド公らと対立する。
オリジナルは『新宝島』のピート少年で、『鉄腕アトム』ではアトムの級友として登場している。
- ミッチイ
天使のように美しき容姿と悪魔のような力を併せ持つ人造人間。姿は少女にも少年にもなることが可能。
- ティマ
劇場版におけるミッチイの立ち位置にいるキャラ。名前と容姿はレッド公の死んだ娘がモデルとなっている。
- ヒゲオヤジ
ケンイチの伯父で、手塚治虫の作品でおなじみの私立探偵。
- レッド公
漫画版では強大な犯罪組織「レッド党」のリーダーで、劇場版ではメトロポリスで活動する自警団・政治結社「マルドゥク党」の設立者。
自らの野望のためにロートン博士に作らせた人造人間の力を利用する。
- ロートン博士
人造人間ミッチイ/ティマを作り上げた科学者。
- ロック
劇場版のみに登場するキャラクターでオリジナルは『少年探偵ロック・ホーム』のロック・ホーム。
レッド公が支援しているマルドゥーク党の若きリーダー。