曖昧さ回避
概要
広義では尾索(びさく)動物全般(ホヤ動物、被嚢動物)、狭義ではその中のホヤ綱に分類される種類を指して称する。
ナメクジウオ(頭索動物)や我々人間を含む脊椎動物と同様、脊索動物に属する動物であり、特徴として「脊索」という管状の保持器官を幼生時代の尻尾に持つ(オタマボヤ以外の種類は大人になると脊索を失う。ちなみにナメクジウオの場合は一生で全長に持ち、脊椎動物の場合は脊椎、つまり背骨に入れ替わる)。
また、体内でセルロースを合成できる唯一の動物である。
名前の由来はランプシェード(ほや)に形が似ているからだと言われている。漢字表記は「老海鼠」、「富也」、「保夜」、そして中国語由来の「海鞘」がある。
たまに「脊椎動物の祖先」と誤って紹介されているが、ナメクジウオ同様、あくまで脊索動物の共通祖先に起源する脊索という原始的な性質を保つだけで、ホヤもナメクジウオも脊椎動物と並んでそれぞれ独立に現世まで進化したグループである。
生態
全てが海洋生物であり、海水中の有機物を濾過して餌とする。子供は「オタマジャクシ型幼生」といい、名前の通りオタマジャクシのような形で海を泳いでいる。
ホヤ綱の種類は大人になると2つの穴を開いた袋の形に変態し、海綿やサンゴのように海底などの基質にくっついたまま生活する。
サルパやウミタル、ヒカリボヤが属するタリア綱は変態した後も引き続き自由生活を送る。種類によっては群れで長大なコロニーを形成し、これが数メートルに伸びることもある。
オタマボヤと呼ばれる種類(オタマボヤ綱)の場合、オタマジャクシ型幼生の状態で大人になり、そのセルロースとタンパク質で「濾過器つきの家(ハウスと呼ばれる)」をこしらえて、家ごと移動し続け、推力である尻尾振りでできる水流により、来る餌を家でフィルタリングして採るという、『民明書房』で取り上げられる中国の武将に居そうな生活を送る。勿論フィルターは普通に詰まったり、家に藻が生えたりするので一定期間が経過すると家を基礎から作り直す。その捨てられた家は、ウナギの幼生がよく食っている。
世界中から2000種以上、日本だけでも百数十種程が確認されている。
主な種類
食用
日本・韓国・フランス・チリ等においてマボヤが食用とされることがある。
独特の香りと甘みがあり、見た目と相まって好みが分かれるが好きな人はとことんハマるとか。その形状から「海のパイナップル」とも呼ばれる。
なお、血液にバナジウムを含んだタンパク質(ヘモバナジン)があるため鮮度が落ちると金属臭のような独特の臭みを発する。
そのため「ホヤ=臭い食べ物」という認識が定着してしまっているが、これは輸送に日数が掛かったり仕入れた先が鮮度を把握出来ていなかったりするのが原因の一端。
このことから、「ホヤは取れたその日に食べる」というのが産地での常識となっている。
東日本大震災後に韓国政府が日本からの輸入を禁じたのを契機に、日本国内での消費率が上昇している。