概要
ブルボン朝最盛期ルイ14世治世下の人物。ルイ14世の大臣からピネローロ監獄の監獄長サン・マールに預けられた囚人だが、その顔は常にベールで覆われ、本人がそれを外そうとしたら殺すよう周囲は命令されていたため、誰も素顔は知らなかった。しかし、衣食に関しては非常に優遇され、ギターを弾く自由も与えられていたという。また、その世話は監獄長らが自ら行い、陸軍大臣や軍司令官も彼に対しては恭しい態度で臨んだと記録される。バスティーユ牢獄に収監されていた1703年11月19日に急死。医師の診察も仮面を被ったまま行われ、死亡者台帳にも『無名』と記載された。そして彼の所有物は全て破棄された。
生涯四カ所の牢獄で約三十四年間の獄中生活を過ごしたが、かなり長距離の移送に際しても素顔が民衆の目に決して触れないように配慮されたという。マスメディアが未発達の当時、民衆誰もが知っている人物というのは非常に限られているため、色々な憶測が飛び交った。様々な有力者がその正体の候補に挙がっているが、ルイ14世の双子ではないかという説が有名。
これらのことから興味を持たれ、文学作品などのフィクションの題材に成ることが多い。作中人物として鉄仮面をかぶった人物が描かれる場合、殆ど例外なその異様性を際だたせた怪人物として演出される。
以下がその例。