デキ婚。ヤンママ。スピード離婚。シングルマザー。ーーーこんな未来、想像していなかった。 　肩を並べたワードに、つい笑ってしまう。私は、二歳になった千紗と共に、狭いワンルームに住んでいる。 　毎日は目まぐるしい。友達は皆まだ気楽に過ごしているのに…なんて、考えも仕方がない。 　朝、メイクをして朝食を準備し、千紗を保育所に預けてバイトへ向かう。あっという間に夕方で、退勤後直ぐに保育所へ千紗を迎えに行き、帰宅してから夕飯の準備に取り掛かる。 　代わり映えのしない日々。荒れ果てた部屋の中。このワンルームは、まるで牢獄だった。もしくは、世間からはみ出たものの、ごみ捨て場。 　取り残された、私達。 『若いから』なんて枕詞に嫌みを言われないように頑張ってきたけれど、私一人だったらサッとこなせることも、千紗と一緒だったら何倍も時間がかかる。ーーー疲れてしまった。うんざりする。 　「誰か助けて』ーーー…なんて。此処には、私しかいない。離婚した以上、わたしがしっかりと千紗を育てて、幸せにしてあげなければいけない。 　けれど、突然。 『誰か』が私の前に現れた。 「好きですっ！」 　彼女はそう言って、いとも簡単に私達の牢獄へ足を踏み入れる。いつの間にやら、私の胸の中にも、彼女が居た。 　いつの間にか、このワンルームは『牢獄』では無くなっていた。