夢追人へのSymphony
ゆめおいびとへのしんふぉにー
第2話にてシャイニング早乙女からST☆RISHの新曲を依頼された春歌は「聴く人が幸せになれるような曲を作りたい」と伝えた。
だがなかなか発想の鍵を掴めず、その道のりは困難なものとなる。
それでもセシルを入れた7人の歌声を聴いたことをヒントに、第9話で作曲は遂げたものの、編曲の段階においてHE★VENSが登場。
ST☆RISHのために書き溜めていた候補曲の幾つかを早乙女が勝手に横流しし、両チームの解散をかけた編曲勝負に持ち込まれてしまう。
どうしても解散を阻止したい春歌は技術やテクニックを駆使するも、林檎の反応はいまいち。
スランプに陥って心が沈んでいく春歌に気付いたトキヤは、彼女を救うためある行動に出る。
それは渋谷のスクランブル交差点にある巨大モニターの前に彼女を呼んで、そこで流れる自分の歌を聴いてもらうことだった。
(ちなみにHE★VENSとの勝負はファンからの投票が結果を左右するため、戦力を増やすための宣伝仕事も兼ねている)
この街頭モニター前は、春歌が作曲家の道を目指すきっかけとなったHAYATOの『七色のコンパス』を初めて聴いて、助けられたのと同じ場所である。
実はトキヤは、今期の第1話で春歌から貰ったソロを納得いくように歌うにはどうすればよいのか、長いこと悩んでいた。
そして、前作で決別して切り捨ててしまったHAYATOと改めて向き合い、彼も自分であると受け入れることで初めてこの曲を歌えると判断して、一人で練習を重ねていたのだった(第5話や第8話でその片鱗を見せるシーンがある)。
モニターに映し出されたトキヤは、
「今宵は君だけに聴いてほしいのです、私の歌を」
と画面越しに春歌に語り掛け、ようやく完成した『CRYSTAL TIME』を披露。
それは確かにトキヤでありながら、HAYATOの明るさや優しさも融合されていて、生まれ変わったトキヤの新しい歌声であった。
彼の歌を聴いた春歌は、彼に手を引かれて心が浮上していくような気持ちを感じ取る。
このシーンは前作第1話でのHAYATOの歌唱シーンと諸々の構図を被せた演出がなされている。
その後、聴き入っていた春歌の前にトキヤが現れ、こっそり夏祭りに連れ出して、強張った心を更に解いていく。
そして彼は語った。
「私に言ったあの言葉…覚えていますか?」
前作においてハートを忘れて歌えなくなってしまったトキヤが、「ありのままの貴方の歌が聴きたい」という春歌の言葉にどれだけ助けられたか、ありのままの彼女の曲をどれだけ愛しているか。
「あの言葉を胸に私は誓ったのです。この歌声で人を幸せにすると」
そこで春歌は、最初の志を忘れてただ勝つための曲を作ろうとしていた自分の過ちに気付くのだった。