修養団主幹・蓮沼門三は、教化運動に特殊の地位を占める闘将である。
「修養団」設立の趣意は、天地の公道に則り人類の福祉を増進して、光明赫灼たる社会を建設し、六合遍照の天業を翼賛申し上げることにある。
そのためその運動は、浮華を排し放縦を退け、常に流汗鍛錬、同放相愛、総親和、総努力を標榜。
世道を扶植し、人心を粛正し、務めて時弊を匡救し、惟神の大義を宣揚することを主眼とする。
蓮沼門三は70余年の長きにわたり、よくこの方針を一貫し、渾身の精力を傾注しただけでなく、禊祓を復興して人々に徹底させようとし、その理由を高調して、国民修養の根本精神であると主張した。
これが、蓮沼が時流とその撰を異にする所以であり、教化運動史上に特殊の地位を占める所以である。
雑誌『向上』に発表した信条も、その説くところ健全な倫理観と燃えるような愛国心とが毎篇の間に流溢し、真摯熱烈な修養団精神は、奕々として人の顔色を照らすさまを覚える。
東亜大戦後にも研修会や会員の努力により、修養団は企業に浸透していき、修養団研修を取り入れた企業は増加して、蓮沼の創設した修養団は大躍進の時代を迎えた。
昭和55年、満98歳で逝去。銀杯一組を賜り、正四位に叙せられる。