概要
国内の要人の海外出張などに使われる他、何らかの理由で外国に取り残された民間人の「救出」などに使われることもある。
使用される機体は様々であり、プライベートジェットクラスの小型機からB747やA340のような大型機まで何でもあり。でも最近はB737のような「小型で航続距離の長い機体」が流行しているとか。
また基本的には民間の航空会社で退役した「中古」を使用する場合が多く(日本のような例外もある)、実際に運用を行うのはその国の空軍或いはそれに相当する組織であることが多い。
日本の政府専用機
日本の政府専用機はTVニュースなどでもお馴染みのB747(747-400型)。
先述の通り、中古機を使う場合の多い政府専用機という業界の中で日本のそれは新造機を使用している。
これには航続距離や、貿易摩擦の解消という意味合いもあるとか。
但しさすがに4発機では燃費が悪い(詳細はB747の記事で)ということもあり、2018年度を目処に退役する予定。後継機としてはB777-300ERで決定している他、MRJも近距離用に検討されているとか。
ちなみにコールサインは「乗客」を乗せていない状態(千歳基地から"出勤"するときなど)では「CYGNUS」(はくちょう座という意味である)、実際に運用に就いている際には「JF」が与えられている。
B777を選んだ理由って?
まずボーイング製品を選んだのには色々あるけど「アメリカとの付き合い」と「扱いやすさ」の2点が大きいと言われている。
特に扱いやすさであるが、現場(実際に運用する航空自衛隊や、機内サービスを担当するJALなど)としちゃあそりゃ今までと同じメーカーの機体のほうが何かと勝手が良い。
例えば飛行機の「ハンドル」に当たる操縦桿だけとってもボーイングはなんだかんだで操縦輪方式(車のハンドルみたいな形のアレ)なのに、エアバスはサイドスティック方式(脇につけるジョイスティック型の操縦桿)が基本となっている。
そもそもB777だって当初はエアバスにつづいてサイドスティック方式を採用するかと検討したら、各国の航空会社から「ハンドル変えるな!色々面倒なことになる!」と反対されて今の操縦輪方式を続けているという逸話があるくらいである。長年ジャンボジェットを飛ばしてきた「現場」からすれば、慣れ親しんだ今までどおりのインターフェイスのほうがいいに決まっている(しかも機体を直接操作する部分なら、なおさら)。
またメンテナンスの面で言えば、今まで政府専用機のメンテを担当してきたJALが経営再建の関係で政府専用機絡みから撤退することになったので、JAL撤退後のメンテナンス委託先も確保しやすいという理由もあるとか。
次にボーイング製品の中でも777-300ERを選んだ理由であるが、これには収容力が現行のB747-400に近いためであると言われている。
エアフォースワン(VC-25)と政府専用機の違いって?
「アメリカの政府専用機」的に見られることの多いエアフォースワンことVC-25であるが、これは他国の政府専用機とは若干毛色が違う部分がいくつかある。
相違点は色々あるものの、一番の違いは「事実上のアメリカ合衆国大統領の自家用機」的な位置づけであり、常識的な範囲内であれば大統領が自由に使うことができるという点である。
要するに会談時に他国の首脳の送迎に使うとか、或いは大統領専用パワードスーツを積み込んでホワイトハウスを脱出するのに使うとか、そんなのも全然あり。
一方、日本を含めたアメリカ以外の国では飽くまで「国家の持ち物」であり、首相や国王といえども好き勝手に利用することは許されないということが多い。
なお、エアフォースワンは「大統領が搭乗中の空軍機に与えられるコールサイン」であり、政府専用機を意味する言葉ではないことを追記しておく。
要するに大統領が乗り込んでりゃあ、C-5だろうがB-52だろうがなんでも「エアフォースワン」なのである。
ちなみに海兵隊機だと「マリーンワン」、海軍機だと「ネイビーワン」、陸軍機だと「アーミーワン」となる。
関連イラスト
後継機達。