概要
『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)にて、2012年7月号(創刊号)から連載中。
日常がたった1人の魔法少女の乱入によって非日常と化したり、魔法少女に殺害された者も魔法少女と化すという展開から、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をはじめとするゾンビ映画を下敷きとしていることが窺える。
あらすじ
どこにでもいる普通の高校生・児上貴衣は、いつものように登校し、昨日と同じ日常を過ごすはずだった。しかし、その日常は一瞬にして血塗れの非日常へと変わった。
撲殺・爆殺・焼殺…突如、学校に乱入してきた魔法少女による虐殺の宴。魔法少女に殺された者もまた魔法少女に変化し、新たな犠牲者を求めて生き残った人間を襲う。貴衣は幼馴染の福本つくね達と共に学校から脱出するが、町は何人もの魔法少女が暴れまわる阿鼻叫喚の地獄と化していた。
理不尽と不条理がまかり通る、魔法少女による暴虐のスプラッター・パニックホラー。
魔女の血族
…大昔、ある人間が悪魔と契りを交わしたことで産まれた子供が不思議な力を持ち、周囲の人々はその少女を“魔女”と呼び気味悪がり、時代(とき)の権力者により魔女は処刑の対象として、魔女狩りが行われ、魔女達は逃亡。魔女と疑わしき者達は迫害、虐殺されていく中、一人の魔女がある男と出会って恋に落ち、二人は結ばれ、子供が産まれるも、その子供も魔女の血が流れて魔女の力が備わり、魔女と人間の子であることから、その二人はその子供を“魔法少女”と呼ぶようになった…。
こうして、魔法少女と人間の間に産まれる子供は必ず女の子、そして魔法少女として産まれ、子孫を繁栄、代々魔女の血族が次の世代へと繁栄していった。ただし同じ血族でも能力の種類はそれぞれ異なり、同じ血が流れる者とはいえ、能力の発生期にも個人差がある。
現在現存している血族の家系は“13”が存在、ことねの血族は第七世代、娘のつくねはその次の第八世代だが、現在第九世代の魔法少女の10子が行方不明になっている。
魔法少女
突如として出現した謎の存在。機械的に「人間の殺戮」を主目的とし、完膚なきまでの攻撃を仕掛けてくる。個体差はあるが基本的に「まじかるー」しか話さず、頭を吹き飛ばされても魔法のステッキさえ無事なら何度でも復活する。逆に言えば、魔法少女本体を攻撃しなくてもステッキを破壊すれば倒すことが可能。ステッキの形状や固有魔法は、魔法少女によって異なる。
魔法少女の魔法により殺害された人間(ただしみきや夜華などの頭部や上半身を失った一部の者達は例外)は黒いドレスを纏った「まじかるゾンビ」となり、オリジナルの魔法少女に似た姿と化して立ち上がり、さらなる犠牲者を発生させる。ただしこちらは魔法は使えず、驚異的な身体能力のみで襲いかかるが、再生能力もないので、頭を吹き飛ばすなどの致命的なダメージを与えれば簡単に倒せる。
また、魔法少女のステッキは人間でも使える模様。
芥の尋問により、「20年後の未来から来たこと」、その創生に「未来のつくねの体が関わっていること」が明かされた。
その正体は、破壊と殺戮を目的に魔法少女の血を媒介にして生み出され未来兵器。正式名称「亜種魔法少女(オルタナティブ・マジカル)」。
「魔法少女が出現しない世界」では、美羽とある人物によって、新たに作られた亜種魔法少女たちは貴衣たちの仲間として動き、それぞれが貴衣たちを守るべくついて回る。
その他の重要用語
- 魔法少女・オブ・ジ・エンド計画
魔法少女達が動く計画。魔法少女達はこの計画を円滑に進め、「感動のフィナーレを迎える」ために作られた物で、また魔法少女たちは事の真相を話そうとすると「あの人」に殺されるしまうらしい。そしてこの計画は「ゲーム」と認識され、「ハッピーエンドを迎える」ことが目的だが、その詳細は一切不明。後にその計画は「貴衣とつくねを結ばせるため」だけに用意された大惨事だったと判明。
- 魔法少女が出現しない世界
「つくねの死によって魔法少女が生み出されなかった世界」、「魔法少女襲来の事実が消失した世界」で、パラレルワールドの一種。作中で魔法少女襲来が起きたのは5月20日だが、「魔法少女が出現しない世界」では3日が過ぎて、5月23日になっている。みきや夜華などと言ったその時の惨事で命を落とした者はその時の記憶を失っているが、貴衣や楓、倫太郎、誠一などといった一部の者達はその時の惨事を覚えており、記憶と共に所持していた物まで、この世界に反映されている。
登場した魔法少女
- エクスプロド・M(マジカル)/リブ
=ステッキを当てた部分を爆破させるタイプ。掠れた吹き出しと文字で「まじかるー」と喋り、傘の先端についた爆弾を当てるだけで爆発を起こす魔法少女。夜華のスタンガンで倒されたが後に復活し、ステッキを当てなくても爆発を起こせるようになった。
- 火炎を発射する犬を操るタイプ
=「まじかるウウウウ」と叫び、リードにつながれた犬状のステッキから火炎を発生させる。貴衣が車の中で見つけた酒をぶちまけたことで、自身の魔法で自滅するも、病院に再び出現した。
- 霧にひそみ、相手を襲うタイプ
=黒いフキダシに「まじかるー♪」と喋り、火炎を操る魔法少女から逃げた貴衣たちを襲った。ステッキは不明。
=丸っこい文字で「まじかるー♥」と喋る。数少ない魔法少女らしい外見をしているためか、イラストの数も多い。倫太郎を引き寄せ殺害しようとするものの、ナイフで反撃されステッキを奪われた。ステッキは棒の先端にハート。
- パラサイト・M(マジカル)
=脳に寄生して宿主の身体能力を100%まで引き上げるタイプ。「魔法少女が出現しない世界」における名前は「ハナちゃん」。 とても小さいサイズの魔法少女。唯一しゃべれる魔法少女で、貴重な情報源。最初は楓に寄生していたが相性が合わなかったらしく、美羽に移動。ショッピングモール内の生き残りを次々と殺害するが、貴衣の機転で美羽の体内から追い出され、逃げようとしたところを倫太郎に潰されてステッキを落とし死亡するが、「死んだ魔法少女を復活させる魔法少女」の力によって復活し、寄生した人間の力を限界以上に引き出すパワーアップも施される。病院内で夜華を殺害、それに激昂した倫太郎も殺害するが、警察手帳に隠していた魔法少女の粒子によって復活した倫太郎に敗れ、拷問を受けたが、「魔法少女が出現しない世界」で再登場し、美羽とある人物と行動していく。ステッキはメカニカルな形状。
まじかるー・・なんつって
- 自身を巨大化させることのできるタイプ
=下向きの文字で「まじかるー。」と喋り、巨大化している時の声は簡単に窓ガラスを割るほどで、自衛隊のヘリをあっさり撃墜した。ステッキは万年筆とスケッチブック。ちなみになぜか頭は逆さまである。
- クロノス・M(マジカル)
ビームを当てたものを過去に飛ばすタイプ。ヘッドフォンをつけたツインテールの魔法少女。ステッキは大型の光線銃。貴衣たちを過去に飛ばすも、謎の二人組に殺害されると同時に貴衣達も過去から帰還する。実は本来とは別の目的を持って作られた特殊な魔法少女でもある。後に「死んだ魔法少女を復活させる魔法少女」の力で病院内に再び出現した際はパワーアップを施され、美羽を20年前に飛ばした。喋り方は「まじかるー・・・」
- 毒ガスを散布させるタイプ
「まじかるーw」と笑い、タンクと直結したハートのステッキから広範囲に毒ガスを散布させる。
- かまいたちを発生させて人体を切断するタイプ
「まじかるーっ」と喋り、自分を中心に円状のかまいたちを発生させる貴婦人風の魔法少女。ステッキは日傘。
- 人体をデタラメに付け直すタイプ
「まじかる〜」と喋る。殺傷能力はないが、人体のパーツをめちゃくちゃにするナース姿の魔法少女。ステッキは根元が根っこのようになった羽団扇型。
- 銃で撃った人間の皮膚を分離させるタイプ
ドットの様な吹き出しと文字で「まじかるー↑」と喋り、おかっぱ頭のファミコンキャラのような外見をしている。ステッキは銃。
- 光線で敵を粉微塵にするタイプ
=「まじかるー?」と喋り、(・ω・)の顔をしているおしゃれな魔法少女。ステッキはタクト状で、キラキラと効果音が出る。
- 巨大な刺を発射するタイプ
=吹き出しの中一杯に「まじかる」と連呼する。四つん這いで移動し、背中のタンポポのようなデザインのステッキから発射する刺で、対象を串刺しにする。
=引き寄せ型の姉。丸っこい文字で「まじかるー(下向きの)♥」と喋り、髪飾りとステッキの飾りも上下逆。
- 顔や人体を打ち抜くタイプ
=太い文字で「まじかるぅー」と喋り、クラッカー型のステッキを向けた先のものを一瞬で円状に打ち抜く魔法少女。
- 特殊な蝋で相手を拘束するタイプ
=「まじかる…………」と喋るサンタクロースの姿をした魔法少女。ナース姿の魔法少女同様、殺傷能力はないが、蝋燭型のステッキの先端部から出す特殊な蝋で、相手の動きを封じる。
- パペットマスター
=魔法少女のあらゆる姿と能力を利用できる力を持つ魔法少女。また、パラサイト・M(マジカル)と同じく喋れる。姫路と繋がりが持つが、謎に包まれている。オリジナルの他に無数ものコピーが存在するが、唯一の違いはそれぞれほっぺマークが異なる。
病院内に出現した魔法少女
- 死んだ魔法少女を復活させるタイプ
=腕が6本もあり、残り4本の腕に持った斧で銃弾を受け止めるほど高い戦闘能力を誇る。この魔法少女のステッキから放たれた光を浴びた魔法少女は、パワーアップする。病院内で芦屋と夏川を対峙して惨殺するが、魔法少女の強靭的な身体能力を得た芥に敗北する。喋り方は小声で「まじかるー」。
- 床に異次元空間を作り出し、入った人間を骨だけにするタイプ
=最後の「るー」を長く伸ばして「まじかるー」と喋る。麻呂眉が特徴の和風な魔法少女で、ステッキは扇子のようなデザイン。
- 攻撃を受けるとそのままそっくり相手に返すタイプ
=フキダシを4つ使って「まじかるー」と喋る。ステッキはリモコンのようなデザイン。
- 吸い込んで殺害するタイプ
=「魔慈華流ー」と喋るお菊人形とそっくりな魔法少女。ステッキは筒のようなデザインで口の中にある。
- 溶解液を操るタイプ
=「ま・じ・か・るー」と喋る。ステッキは先端がラッパ状になっているデザイン。引き寄せ型と吹き飛ばし型と並ぶ数少ない魔法少女らしい外見をしている。
- 人体を切り取るタイプ
=「まじかるー#」と喋る。ステッキはハサミのようなデザイン。
- 一瞬にして壁や人体を打ち抜くタイプ
=「ま…じ…か…る…」と喋る。ステッキは先端が自身の顔と似た動物になっているデザイン。
- 植物を操るタイプ
=何重にも書かれたフキダシと丸い文字で「マジカルー」と喋る。ステッキは右肩の上に乗せたぬいぐるみのようなもので、ぬいぐるみの口から巨大な植物を召喚する。
- タイプ不明
=ゴスパンクファッションで、少女の顔に色っぽい体つきをした魔法少女。たどたどしく「まじかるー」と喋る。つくねと楓を探していた貴衣を襲おうとするも、仮面の人に瞬殺された。ステッキは棒の先端にドクロが付いたもの。
登場人物
主要キャラクター
- 児上 貴衣(こがみ きい)
本作の主人公。平凡な高校1年生。過去に両親を亡くし、現在は母方の祖母の家で暮らしているが、何も無い普通の日常を望み、トラブルを避け、ストレスとは無縁でいるよう心がけて過ごし、つくねと疎遠になっていたが、和解する。
- 福本 つくね(ふくもと つくね)
小柄な少女。貴衣の幼馴染で、クラスメイト。昔は貴衣と親しかったが、疎遠になっていた。幼少時代は何故か魔法少女たちにそっくりな絵やぬいぐるみを所持していた。自身が死ねば魔法少女の存在をなかったことに出来ると倫太郎から聞かされ、あすかを抑え込み、貴衣に自分を殺すように望む。
世界崩壊後の「魔法少女が出現しない世界」では、入学式当日に事故死したことになっている。
- あすか
つくねの体から出没し、魔法少女の出現に深く関わっている「もう1人のつくね」。本来のつくねとは正反対に冷酷な性格で、魔法少女出現以前に誠一、楓、みきを脅してきた。つくねが作り出した人格ではなく、外部から植え付けられた人格である模様。
- 鞘野 楓(さやの かえで)
高校1年生。つくねをいじめていたが、かつてはつくねと仲が良かった。みきと共につくねをいじめていたのは、つくねのもうひとつの人格・あすかに脅され、自分やみきの身内に悲惨な事件が起きた事が原因で、仕方なくつくねをいじめていただけだった。
実は小学生の頃から貴衣のことが好きで、いつも着けてるヘアピンは貴衣からバレンタインのお返しに貰ったもの。
- 芥 倫太郎(あくた りんたろう)
警察官。階級は巡査。魔法少女の襲来によって社会秩序が崩壊したことを知り、好き放題しようと考えるが、魔法少女の討伐方法を見つけたり、ステッキが人間でも使えることに気づくなど、本作において重要な役目を果たす。
- 穴井 美羽(あない みう)
母親とはぐれた小学生。ショッピングモール内でパラサイト・M(マジカル)に寄生されるも、無事に生還した。後に病院内でクロノス・M(マジカル)と遭遇し、20年前に飛ばされてしまい、魔法少女襲撃のトラウマを抱えながら過去の世界を一人彷徨う。20歳の頃にパラサイト・M(マジカル)とある人物に出会い、魔法少女に関して学ぶ。その8年後、貴衣達と再会を果たした。病院内での死闘で、圧倒的なパワーでパラサイト・M(マジカル)を倒した倫太郎を「かみたま(神様)」と呼び崇拝し、恋心を抱いている。また、倫太郎に振り向いてもらうために夜華と同じくらいの巨乳の持ち主となり、性格も以前と打って変わってハイテンションになっているが、倫太郎本人には煙たがられている上、変態扱いされてしまう。共に行動するパラサイト・M(マジカル)には「みうみう」と呼ばれている。
- 福本 誠一(ふくもと せいいち)
つくねの父親。大学病院に勤める外科医で、神の手と呼ばれるほどの世界的な名医。楓同様、つくねのもうひとつの人格・あすかから脅迫を受け、協力させられていた。
- 福本 ことね(ふくもと ことね)
つくねの母親。病院に勤めている。実は自身と娘のつくねは、魔女の血族の一人で、つくねが産まれる前のある日に母から魔法少女の血族に関して教えられた。自身に備わっている能力は治癒力が常人よりも早く、つくね出産後にその能力に目醒めたが、つくね自身はまだ能力に目醒めていない為、不明。
高校の生徒たち
- 半沢 夜華(はんざわ よるか)
高校2年生。髪をツインテールにした巨乳の少女。気風が良い姉御肌。痴漢撃退用にスタンガンを所持している。パワーアップして襲撃してきたパラサイト・M(マジカル)に惨殺される。
- 大月 みき(おおつき みき)
高校1年生。楓の親友。楓と共につくねをいじめていたが、彼女同様、つくね(あすか)に脅され、仕方なくやっていただけだった。ショッピングモール内に出現したパラサイト・M(マジカル)に撲殺される。
- 姫路 弥(ひめじ わたる)
高校1年生。貴衣やつくねのクラスメイトの男子。聾唖者で、つくねとは手話を通じて親しい間柄。
逃走中、無数の刺を乱射する魔法少女に串刺しにされて死んだと思われたが、後に生き返っていたことが判明。
実は魔法少女襲撃の真の黒幕で、大惨事をビデオカメラに撮影していた。パペットマスターと深い繋がりを持つ。手で触れたスマートフォンや他人(死体であっても可)の口を通じて健常者と同じように会話をする魔法が使える模様。
- 吾代(ごだい)
高校3年生。行動力のある熱血漢。彼女がいたが、魔法少女に殺害されている。学校から脱出後、霧の中で魔法少女に殺害される。
- 河西(かさい)
高校1年生。伸ばした前髪で片目を隠すようにしている、斜に構えた少年。スマートフォンで外部の情報を探っていた。霧の中にいた魔法少女に惨殺される。
その他のキャラクター
- 久代 蓮(くしろ れん)
就活中の大学生。所属は医学部。夜華と親密になっていたが、病院内で打ち抜く魔法少女から夜華を守り、絶命。
- 芦屋(あしや)
無精ひげを生やした男性の自衛官。出産直後に妻を亡くし、幼い息子と二人暮らし。夏川に惚れている。過去から帰還した直後に魔法少女たちの襲撃を受けた貴衣たちを救助し、貴衣たちの話を聞いてつくね達がいるはずの病院に向かうが、6本腕の魔法少女に殺害される。
- 夏川(なつかわ)
芦屋と行動を共にする女性の自衛官。病院での戦闘中に芦屋に想いを伝えるが、その直後に6本腕の魔法少女に殺害される。
- 仮面の人(仮称)
貴衣達の行動を監視し、仮面で顔を覆った謎の人物。貴衣を「あたしの旦那」と呼び、行動を共にする着ぐるみの少女からは「お姉さま」と呼ばれている。病院内で魔法少女の襲撃を受ける貴衣を救い、ステッキを託すが、着ぐるみの少女と共にパペットマスターに殺されてしまう
- 着ぐるみの少女(仮称)
仮面の人と行動を共にする小柄な少女。
- 殿ヶ谷 悠二(とのがや ゆうじ)
仮面の人と協力関係にある謎の男性。