概要
抜刀術は剣術の一つというではない。江戸時代における武芸十八般の一つにも数えられたれっきとした武術の一つであり、あくまで剣術から派生した格闘術ではあるものの、今や全く意を異にする武術となっている。
抜刀術とは腰に下げた刀を抜き、素早く敵を打ち倒すということに特化した武術であり、最初から剣を抜いて戦う剣術とは完全に異なる。一般的には居合と呼ぶことも多いが、流派によっては座って抜き放つものを「居合」、立った状態で抜くことを「立合」と呼ぶものもある。このことから分かる通り、抜刀術は真正面からぶつかり合う戦闘ではなく、不測の事態に備えた瞬間的な行動に特化した武術と言える。そのため、抜刀術は剣道や柔道のように審判が旗を持って「一本!」とやるような試合はまずまったくと言っていいほど行わない(やれば試合の度に負けた奴は病院送りである)。スポーツとしての居合道はあくまで型の流麗さを競うものである。
また、その瞬発的な活動故に、幕末では暗殺術として使用されることもあった。