- グリム童話のタイトル。及びその作中に登場する兄妹の名前。
- 1 を由来とする様々な作品に登場する兄妹の呼称。
グリム童話
グリム童話のうちの一作であり、その作品の主人公兄妹の名前でもある。
ヘンゼルが兄の名、グレーテルが妹の名。
口減らしのために親によって森に捨てられた兄妹が、魔女の住まうお菓子の家に辿りつく……という童話らしいメルヘンチックな物語。
最後には、兄妹を食らおうとしていた魔女を、逆にかまどに突き飛ばして焼殺し、魔女の所有していた財宝を自宅へ持ち帰り再び家族で幸せに暮らすようになるという結末で、ハッピーエンドではあるが残虐な点も目立っている。
他のグリム童話と同様に、原作の童話は版を重ねるたびに細部を変えており、話のパターンが幾つかに分かれている。パロディにされる事も多い。
関連タグ
ブラックラグーン
登場エピソードは「Bloodsport Fairytale」で、この話における中心人物たちでもある。
互いを「兄様」「姉様」と呼んでおり、生まれた順は不明。
イラストで右側がヘンゼル、左側がグレーテル。
容姿は瓜二つで、カツラや服装の交換によって「ヘンゼル」と「グレーテル」の立場をしょっちゅう入れ換えている。名前の通りに男女の双子なのかはハッキリとしておらず、両方とも男、あるいは女だという説もある。
二人とも幼く可愛らしい外見だが、悲惨な幼少期を送った末に人格が歪み、快楽殺人犯となっている。
ただし性質は年頃の少年少女と同じであり、彼らにとって殺人という行為に悪意も作為も存在せず、自分たちの「生活習慣や宗教のようなもの」に過ぎない。
ヘンゼルは斧(フランキスカ)、グレーテルは自動小銃(ブローニングM1918)を用いて人殺しを行い、その腕前も並のチンピラやゴロツキなどでは歯が立たないほどである。
その生い立ちについて
※ネタバレ注意!!
彼らはルーマニアの負の歴史に名を刻む『チャウシェスクの落とし子』たちである。
『落とし子』は概略だけをいえば、かつて1980年代のルーマニアにおいて、ニコラエ・チャウシェスク政権下で施行された「離婚・堕胎の禁止」の法令によって育児放棄が急増し、結果として大多数に上る孤児を生んだ。『落とし子』とは、それを原因として孤児となった子供たちを指す。
そうした孤児の中には、人身売買の対象として闇に売られた子供たちもおり、双子はまさにそのケースの被害者であった。
その中でも双子のたどった運命は一等酷いものであった。
経緯については不明であるが、双子は闇社会に流通するいわゆる「裏ビデオ」(しかも変態御用達の特別刺激の強いもの)の被写体として虐待され続け、その一環として撮影者たちが趣向として人殺しを強要し続けた結果、やがて二人はそのすべてを受け入れて人間として壊れてしまったのである。さらに言えば肉体の方も「色々と弄られている」らしく、グレーテルに懐かれてその「お返し」に体の秘密を見せられたロックは、あまりの酷さに憤りを隠せなくなり甲板に出て彼女を“獣”に仕立てた“誰か”に対して怒鳴り散らした。
つまり彼ら双子は、言いかえれば「世の中の闇の一片そのもの」であり、世界に存在する一種の『人間の悪意』によってその人生を狂わされた、あまりにも悲しい存在ともいえる。
そんな二人ゆえに、待ち受けていた末路も決して幸福ではなく、ヘンデルは町の噴水広場で待ち構えていたバラライカとその部隊によって膝と手首を撃ち抜かれて失血死し、グレーテルもラグーン商会を逃走の切り札としたまでは良かったものの、最期はバラライカの差し金で裏切った「逃がし屋」のエルロイによって後ろから後頭部を撃ち抜かれて死んだ。
そうした悲惨な背景があるためファンから二人への救いを求める声も多かったが、作者自身、公式サイトにて――
「現実で考えるとベニーが言う通り、助けることは出来ない。
面倒をみるのは僕は嫌だし、たぶん皆嫌でしょう。
嫌じゃなければ孤児なんていないわけだし」
と発言しており、その一方で後悔もあるらしい。
アニメ版において、彼らの最終エピソードでのエンディングは特別に専用のものに差し替えられており、ファンの間でも評価が高い。
オマケの常連
そんなわけなのか、作者も巻末オマケのゲストとしてよく二人を起用している。
特に登場した物語の関係上、バラライカとの絡みが多く、場合によっては親子コントなんてのもやっている。
さらに余談
作者が長期休載中に描いた同人誌(実はハリウッド映画でしたというもの)ではドイツ系の双子の女児が演じているという設定になっていた。
映画
『ヘンゼル&グレーテル』
監督:トミー・ウィルコラ
童話での一件後の成人した二人の物語。世界各地で人々を脅かす魔女を狩るハンターとなったヘンゼルとグレーテルの活躍を描くアクション映画。