概要
1987年3月~1988年1月まで、全39話が放送されたメタルヒーローシリーズの第6作目。「宇宙刑事シリーズ」に端を発したそれまでの路線からガラリと趣を変え、よりリアリズムを重視した作品として企画・制作された。
重厚かつ深みのあるストーリーや世界観、そして練り上げられたキャラクター造形に定評があり、放送から四半世紀経つ今なお、宇宙刑事ギャバン等と並ぶ程の人気を誇る不朽の名作として語り継がれている。
あらすじ
世界の影で暗躍する悪の組織ネロス帝国の野望を阻止するため、ロボット工学の権威・古賀博士は第二次世界大戦中に開発し封印していた「超人機」剣流星ことメタルダーを復活させた。この世に目覚めたばかりで”生”も”死”も分からないメタルダーにその意義を伝えるべく、古賀博士は自らネロス帝国の凶刃に倒れる。その光景を目の当たりにし怒りに震えた流星はメタルダーに”瞬転”しネロスの軍団員を退けるが、”戦う”ということを理解していないメタルダーはネロス帝国最高幹部の一人、クールギンに敗れてしまう。
傷つきながらも立ち上がり、自らの存在意義を知りたいメタルダーは叫ぶ
「風よ、雲よ、太陽よ、心あらば教えてくれ! なぜ、この世に生まれたのだ!」
かくして、メタルダーとネロス帝国との壮絶な戦いが始まった……!!
登場人物
メタルダーとその関係者
メタルダー/剣流星
本作品の主人公で、太平洋戦争末期に古賀博士によって造り上げられた人造人間。怒り等といった感情の高まりにより、体内に秘められていた全エネルギーが頂点に達した時、「怒る!」の叫びと共に剣流星の姿から超人機メタルダーへと「瞬転」を遂げる。
必殺技である「レーザーアーム」を始め、彼の使用する技はいずれも己の身一つから繰り出されるものばかりであり、また武器を使うにしても木の枝等といったその場にあるものだったり、敵の武器を奪って使用したりというケースが殆どで、メタルヒーローとしては珍しく固有の武器を持たないのも特徴のひとつである。
決戦兵器として造られてはいるが、搭載された「自省回路」の働きにより人間と変わらない心を持ち合わせている。人間であるヨロイ軍団員に対し、その命を取る事無く見逃すなど、特に序盤では博愛精神に富んだ行動も度々見られた。
また作られてから40年以上もの間起動されていなかった事もあり、当初はあらゆるものに対する知識に乏しかったため、舞を始めとする様々な人々、そして時には敵であるネロス帝国の軍団員との出会いを通じて、様々な事を学んで行く事となる。
古賀竜一郎
戦時中メタルダーを造り上げた科学者。ロボット工学の権威であり、終戦後NASAで宇宙開発の仕事に携わっており、長らく日本を離れていたがネロスの活動の活発化を察知し、メタルダーを起動させるべく帰国を果たす。
平和を愛する博愛主義者であり、その精神は自省回路と共にメタルダーにも受け継がれる事となった。また戦時中、特攻隊として戦死した竜夫という息子がおり、流星の姿は彼のそれをモデルとしたものである。
スプリンガー
メタルダーと行動を共にするロボット犬。人語による意思疎通が可能で、メタルダーのサポートやメンテナンスを行うほか、時にはメタルダーに様々なアドバイスを行う事もある。
仰木舞
「週刊アップ」と契約を結んでいる女性カメラマン。流星が古賀博士以外で初めて出会った人間であり、彼女との交流を通して流星は世の中の様々な事を学んでいった。
北八荒
中盤より登場するモトクロスレーサー。初登場時にネロス帝国の陰謀に巻き込まれ、メタルダーに命を救われて以来、「ネロスハンター」を自称し彼の協力者となった。陽気だが二枚目半な性格で、些か頼りない面も目立つものの、時には持ち前の勇敢さでメタルダーを支えることもあった。
仰木信吾
舞の父親で、通信社のワシントン支局で特派員を務める。舞の依頼で古賀博士の情報を集めており、その足跡を追う中でゴッドネロスの正体に迫るが、その為に帰国後ネロス帝国から度々狙われる事となる。
トップガンダー
元はネロス帝国戦闘ロボット軍団に属し、「暴魂」の地位にあったスナイパーロボット。黒を基調としたボディに赤い隻眼、右腕と比べて不格好かつ重厚なフォルムの左腕が特徴。『ゴルゴ13』に似たヒットマンをモデルに造られたとされており、その狙撃の腕前は非常に高い。
常に一対一のフェアプレイを信条とし、軍規を犯してまでもメタルダーとの直接勝負に臨んだが敗北。その為に処刑されかかり、脱走の途中で負傷したところをメタルダーに救われ、互いに再戦を誓い合った後彼の元を去っていった。
後にネロス帝国の卑劣なやり口に反感を持ち、帝国と袂を分かつ一方でメタルダーと共闘する事が多くなり、次第に彼とは強い信頼関係を築いていく事となった。
ネロス帝国
帝王ゴッドネロス/桐原剛造
自らを”神”と称する世界的な死の商人で、ネロス帝国の支配者。表の顔である桐原剛造は世界的な大企業「桐原コンツェルン」の総帥であり、慈善家としてもその名を知られる若き実業家だが、「私を夜の闇に包め」と秘書たちに命じることにより、醜悪な老人の顔を持つ世紀末の悪の帝王へと変貌を遂げる。
冷酷かつ非情な性格で、裏切り者や弱者に対し一片の情けもかけることはない。自らの欲望の赴くままに戦闘ロボットやモンスターを作り上げる一方、株価の市場操作や兵器売買により多額の利益を得ており、軍事・経済の両面から世界の支配を目論む。
美人秘書K、S
常に桐原の傍で補佐に当たる側近。変装してのスパイ活動や、武器売買の交渉などが主な任務で、時には軍団員に対する制裁を与える役目も担う。
ネロス帝国軍4軍団
(画像は戦闘ロボット軍団)
ネロス帝国の誇る実働部隊。地下を移動する巨大闘技場「ゴーストバンク」を本拠とし、帝国の邪魔となる各国VIPの暗殺や他の大企業の妨害工作、それに動乱の続く外国における傭兵として、日夜暗躍を続けている。
サイボーグや強化服を着用した人間からなる「ヨロイ軍団」、高度な技能と多様な性格を有するロボットで構成された「戦闘ロボット軍団」、バイオテクノロジーによって生み出された合成生物が属する「モンスター軍団」、そして軍用兵器を元に造られた大量生産型のロボットを有する「機甲軍団」の4つの軍団が存在し、各軍団はそれぞれ時に協力し、また時にはしのぎを削る関係にある。
また軍団毎に10段階からなる階級制が敷かれており、軍団の外のみならず中でも立身出世を目指して熾烈な競争が繰り広げられている。
凱聖クールギン
ヨロイ軍団の軍団長にして、帝国のNo.2に当たる実力者。帝国でも随一の剣の腕を持ち、初戦でメタルダーを打ち破って以来、彼にとって越えるべき大きな壁となる。
凱聖バルスキー
戦闘ロボット軍団軍団長。ロボットでありながらも誇り高さと厚い情を兼ね備えており、部下からの信望の篤さも他の軍団長の追随を許さない。
凱聖ゲルドリング
モンスター軍団軍団長。軍団のモットーたる「口八丁手八丁 卑怯未練恥知らず」を体現したかのような卑劣さと執念深い性格の持ち主で、関西弁や広島弁等が入り混じった独特の口調が特徴である。
凱聖ドランガー
機甲軍団軍団長。寡黙にして任務遂行にひたすら邁進する軍人肌であり、全身に装備された多数の兵装など、帝国の中でもトップクラスの攻撃力を持つ。
主題歌
オープニング、エンディング共に主人公の名前などは一切出ていない。
特にオープニングはささきいさおが雄大に歌っており、「説教ソング」「国歌」とも評される。
「君の青春は輝いているか」OP
作詞:ジェームス三木
作曲:三木たかし
編曲:田中公平
歌:ささきいさお
「タイムリミット」ED
作詞:ジェームス三木
作曲:三木たかし
編曲:田中公平