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コククジラの編集履歴

2016-03-12 13:13:48 バージョン

コククジラ

こくくじら

ヒゲクジラ亜目コククジラ科に属するクジラ。コククジラ科唯一の種である。

概要

(沿岸性および餌の影響からか)ヒゲクジラとしては小型なので、和名ではコク、コクジラ、チゴクジラとも呼ばれる。漢字では『克鯨』、『児童鯨』と表記する。体長は12~14m、体重は40t弱。体表は灰色だが、ある程度年を経た個体は、全身にフジツボやクジラジラミなどの寄生生物を付着させているため、白のまだら模様になっている。尾部の背面には数個の小さな瘤(こぶ)が連なっており、背びれはない。寿命は50-60年と考えられている。また、ヒゲクジラでは唯一、上あごが下あごよりも長く、畝もほぼない(2本が喉元に走っている)。これらのことから、ヒゲクジラ類でもかなり原始的な名残を残しているとされる。

  • もっとも原始的なのはコセミクジラで、最近になって実は絶滅した原始的なクジラの生き残りであることが判明し、新たな「生きた化石」となった。この事により、なぜあんなにも小型なのかが説明がつくかもしれない。

彼らは餌の形態からか、大型の鯨類では最も沿岸に依存する鯨種と言っても過言ではない。外洋や深い海域に出ること(ほとんど)なく、沿岸部を南北に往復し、2万kmを回遊する(現生哺乳類の年間の回遊距離としては、おそらく最長のものである)。現在生存している北太平洋の個体群は、アジア側の沿岸を回遊する西の系統(推定150頭弱)と、北米側の沿岸を回遊する東の系統(2万頭弱)とに分かれる。西の系統は、夏はオホーツク海で過ごし、冬に中国広東地方の沖で繁殖する。春と秋の回遊時には、朝鮮近海から日本の太平洋沿岸を通過する。東の系統はカリフォルニア州とメキシコの沿岸を繁殖場とする。カナダ沿岸には少数の定住個体群がいるが、昔は少なくとも中国沿岸にもいたし、もしかしたら日本や大西洋などほかにもいたかもしれない。


ホエールウォッチングの人々がボートで訪れると、寄ってきて体をさわらせてくれることもある。そもそも、ホエールウォッチングという業界自体がこの種を対象に、一人の漁師が始めたことがきっかけに世界に広まった。


また前述の通り沿岸棲であり、その食性も他のヒゲクジラがプランクトンを捕食するのに対し、コククジラは海底の泥や砂をヒゲでこしとることによってカニなどのベントス(底生動物)を捕食する。そのため、クジラヒゲは短く硬いものとなっている。


かつては北大西洋にも分布していたが、欧米による捕鯨の影響で18世紀に絶滅した。近年の研究では、かつて何度もあった温暖化の時期に合わせて数回に渡って太平洋から大西洋に移住したものと考えられており、現在始まっている再定着もその流れなのかもしれない。


北太平洋でも同じく捕鯨、東側ではアメリカとカナダ、西側ではほぼ日本の影響で絶滅の危機にさらされたが、東の系統は第二次世界大戦後の積極的な保護活動によってなんとか回復してきた(しかし未だ人間活動の影響を受けている)。しかし西の系統はほぼ絶滅寸前で、東アジア(日本を含む)の沿岸の開発の影響を受けるのだが、更に現在樺太島北部で行われているロシアの油田開発(サハリン2)によって絶滅の危機が迫っている。


かつては、現在の5倍から10倍以上の数がいたのではないかと思われている。東側の個体群は、90年代に2万頭を超えたが、環境収容力が人間の影響がなかった時代と比べると大幅に低下しているので、かなりの数が餓死して、現在は2万頭弱程度で安定している。


バンクーバー島の辺りには定住個体群が存在するが、かつては中国の沿岸にも年中棲息していた。同様の群れは、韓国や日本にも存在したと考えられている。たとえば、日本では春から夏の東北や北海道では風物詩の一つに数えられるほど良く見れたとされる。また、日本で最初に捕鯨が始まったのは伊勢・三河地方だが、コククジラはおそらく最初に標的とされた種類であるだろう(他にはセミクジラザトウクジラなどが考えられる)。


温暖化により、大西洋やアジアに再定着が始まっている(コククジラがかつて大西洋に存在した理由も、何回か押し寄せた温暖化による太平洋からの移住が原因)。いきなりイスラエルバルセロナ沖に現れたので誰もが仰天し、エイプリルフールネタだと思ったほどの出来事であった。またその後に南半球(ナミビア)で初めて確認され、これまた生物史の常識を覆す仰天な事件であった。

  • 東側と西側の個体群とでは、実は亜種レベルに近い差異が骨やプロポーション、遺伝子的に存在したのではとされており、近年日本で確認されてきた個体の全ては東側の特徴を持っていり、非常にやせ細っていた。つまり、元々のアジア系のコククジラは、現在は既に絶滅したか機能的絶滅に近い状態に陥った可能性がある。

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