概要
『小説ふたりはプリキュア』と同時発売されたプリキュア小説シリーズの第2弾。
小説の表紙(この記事の表紙ではない)を見ればわかるように、本編でも裏の主人公と言うべき活躍をした月影ゆりをメインに据え、1年間の内容を1冊の小説にまとめあげた作品。
単なる本編の総集編的な内容ではなく、ゆりがキュアムーンライトとして選ばれた経緯、キュアムーンライトとして一人で戦っていた頃のエピソードなどを加えつつ、本編の内容を文に書き起こしている再編集版とも言うべき一作。
執筆するのは本編のシリーズ構成を担当した山田隆司。表紙はキャラデザを担当した馬越嘉彦という本編スタッフタッグである。
前後作と比べるとやや対象年齢が高めな内容となっている。
まず、本編では今後もほぼあり得ないだろう入浴シーン、シリーズではまだ映画で一度しか描かれていない流血シーン、デューンの凄惨な過去など、朝番組ではやれそうにない内容を惜しげも無く描いている。
基本的にゆりの過去以外は本編と同様だが、台詞回しや展開はかなり異なるため、ややパラレル要素も含まれる(ガンダムで例えるなら劇場版Ζガンダムといったところか)。
本編の再編集版であるが、本編の裏設定とも言うべき内容がいくらか明かされている。それを裏設定公開と見るか再編集でより掘り下げたものとして見るかは読者次第と言えよう。
主な登場人物(ネタバレ含む)
- 月影ゆり
本作の主人公。本編では唯一の高校生で、大人びた様子だったが、本作ではプリキュアに成り立てだった中学生時代のゆりが登場するので、歳相応の可愛らしい一面を見ることが出来る。過去が掘り下げられているため、可愛らしい面と等しく辛い過去も描かれている。
本編のメイン2人。本作では第1話&2話をほぼ完全再現したエピソードが存在するため、出番はそれなりにあるが、あくまでも副主人公的な扱い。
本編においては華々しく登場した追加戦士…だったが、本作ではそれについては軽くエピソードに触れられる程度に終わっており、プリキュアの中では本作で一番影が薄い。ゆりが主人公なので仕方ないが。
月影ゆりのパートナー。本作ではシプレやコフレのような、まだあどけない頃のコロンの姿も描かれる。ゆりに「プリキュアになって欲しい」と願うあまり、ラッキースケベをやらかしかけるなど本編では想像がつかないシーンも。本作の序盤では、ゆりの事を下の名前で呼んでいる。
つぼみの祖母にして、元キュアフラワー。プリキュアとして戦い続ける苦悩を知っているため、ゆりがプリキュアになることに最初は難色を示していたが、後にゆりを指南する側となっていく。
薫子の相棒。プリキュアパレスでのエピソードもあるため、イケメンさんの状態も登場する。ハートキャッチの妖精達が、最終的にコッペ様のような姿に行き着くことが本作で明示された。
本作でも砂漠の使徒の大幹部として登場。本編を知るファンにはお馴染みだが、その正体は月影ゆりの父。ダークプリキュアの生みの親であり、本作でも立ち位置は変わらない。本作では人間時代の名称に月影英明(ひであき)という名前が与えられている。
キュアムーンライトのライバル。本編と同じくゆりを付け狙うが、本編以上にサバーク博士に依存する面を見せている。
砂漠の使徒の面々。デューンのかなり凄惨な出自や、三幹部の暗い過去など、それぞれ本作で重たいエピソードが設定されている。