国際連合
こくさいれんごう
概要
第二次世界大戦の戦勝国(連合国)を母体として1945年10月24日に発足した国際機構。本部をアメリカ合衆国のニューヨークに置き、国際連合憲章(国連憲章)に基づき運営される。英語での名称はUnited Nations。(直訳すると「連合国」)
あくまでも主権国家による国際機構であり、世界政府ではない。国際連盟とは全く別の組織だが、関連機関の一部を国際連盟から引き継いでいる。(その証拠に国連に固有の武力はない。もし、万が一にも軍事力を行使する場合には安全保障理事会に発議して『多国籍軍』を編成することになる)
連合国の主軸となった米国、英国、フランス、ソ連(現ロシア)、中国(中華民国、現中華人民共和国)の主導による世界秩序を守るための組織という側面もある。旧敵国(枢軸国)とされる日本、ドイツ、イタリア、ハンガリー、フィンランドなどは当初排除されていたため加盟が遅れていたが、フィンランドは1955年に加盟、日本など他の旧敵国も後に続いた。
さらに、1960年代以降は発展途上国(第三世界)の加盟が増えたため、5大国の世界支配は揺らぎ、国際社会の多極化をもたらした。2016年9月現在、国際連合に加盟している「国と地域」は195に及んでいる。
近年、国連は5つの常任理事国の対立の場として議論が立ち往生するケースが多い。これは後述する「イラク戦争」に前任者のアナン事務総長が反対したことが大きい。現事務総長の潘基文はアメリカを含む常任理事国の妥協によって選ばれた事務総長であり、2016年6月にサウジアラビアがイエメン内戦で子どもを多数殺害し国連がブラックリストに入れたものの、圧力に屈して除外した事で中東諸国を中心に国際紛争に無力な国連の信用は失わつつある。
イランのメディアであるパールス通信で、シリアのアサド大統領が国連はアメリカの政治道具に過ぎないと述べたが、アサド政権は国民の民主化要求を武力で弾圧することで内戦を起こし、国民を巻き添えにした無差別攻撃の数々、化学兵器を使用したことで国際社会に批判されており、発言は国連に対する言いがかりとしか言いようがない。
安全保障理事会常任理事国
2016年現在。ロシア連邦はソビエト連邦の後継国家とみなされ常任理事国の座を引き継いだ。もともと常任理事国だった中華民国は1971年に国連から追放され、現在は中華人民共和国がその座についている。(現在、日本、ドイツ、インド、ブラジルなどが新たな常任理事国になるべく運動をしているが、いまだに実現のめどは立っていない)
また、常任理事国には非常任理事国を含む他の加盟国にない特権として拒否権が与えられている。これは動議が発議された場合、いずれかの国が1つでも拒否権を発動すれば、その動議はなかったこととして闇に葬られることを意味する。この場合、文言を弱めて新たな動議を発議することで、なんとか妥協を取りつけて体裁を整えることになるが、最近では決裂することも多く常任理事国間の対立が深刻化しつつある。
2001年のいわゆる「9.11アメリカ同時多発テロ」において安全保障理事会は国連安保理決議1368において「テロとの戦い」を採択したが、アフガニスタン、イラクに対する報復攻撃を決議したわけではなく、国連安保理決議1441においては「(イラクに対して)武装解除の最後通牒」を決議したに過ぎない。これに対し、イラクのフセイン政権は「大量破壊兵器に関する情報」を提出、しかし、当時のブッシュ政権はこれらの証拠物件に不備があると拒否、「イラクへの武力行使(を行う)」決議案を国連安保理に提出、国連のアナン事務総長、フランスが反対に回ったが、ブッシュ政権はそれらの意見を無視しイギリスとともに有志連合を結成、開戦に踏み切った(イラク戦争)。
現在の中東の混乱は「アラブの春」の失敗もあるが、この戦争によるところも大きく、なによりも「国際連合」の上に5つの常任理事国が世界の秩序を支配していることを国際社会に知らしめたことがさらに大きいものとなっている。
関係機関
以下は国際連合と提携を結んでいる国際組織であるが、下部組織ではない。したがって国連未加盟の国家や地域が関連団体に加盟していることもある(例えば日本はユネスコに国連加盟前から参加している)。
世界保健機関(WHO)
国際通貨基金(IMF)
国際連合食糧農業機関(FAO)
世界銀行(WB)
世界知的所有権機関(WIPO)
国際連合児童基金 (UNICEF、ユニセフ)
など。