永遠にして無限――この世界は我がもの。
絶対の存在――全ては我がもの。
その始まり――我は全となる。
その存在――全てはエムラクール。
終末を。
終末を。
終末を。
我はエムラクール!
我らエムラクール!
全てはエムラクール!
エムラクールとなれ!
エムラクールであれ!
エ ム ラ ク ー ル !!
概要
人生そのもののように厄介な謎
エムラクール、それは具現化した退廃であり、そびえたつ場所には静寂の恐怖が巻き起こる。
エムラクールは感情や物質を超えた虚無の霊気であり、それのみが恐怖をなしている。
エムラクールは「エルドラージのタイタン」と呼ばれる大いなる存在の一つに数えられる。
かつて他の二体と共にゼンディカー次元を訪れたが、三人のプレインズウォーカーによって封じられた。
時が経ちその記憶が薄まると、三体のタイタンはゼンディカーの住人が崇める神々へと姿を変えた。
エムラクールはマーフォークにとっての空の女神「エメリア(エム)」、コー族にとっての風の女神「カムサ」の元型。未知の力によって重力を歪め空に浮かび上がる。
数千年の後封印より解き放たれたエムラクールはゼンディカーを捨て、そして一人のプレインズウォーカーの呼びかけに応えてイニストラードに降臨した。
詳細
三体確認されているエルドラージのタイタンの一体。
途方もなく巨大かつ強大なエルドラージであり、その力は並び称されるウラモグとコジレックと言えども比較することもおこがましい。
全てはエムラクール
2010年4月23日、「エルドラージ覚醒」で初登場。その強大極まる力は、あらゆるカードの一種の頂点としてデザインされたものであり、モダン環境においてはいかなるデッキといえど彼女の前に膝をつくことしかできない。
そして2016年7月22日、ゼンディカー・ブロックにてウラモグとコジレックが若きプレインズウォーカーの連携を前に灰塵と帰したその後、ついに「異界月」にて再びカードの世界に降り立った。
我らエムラクール
エムラクール。
それは知るべきでない言葉、知ることのできない言葉。
あるいは破壊の器、邪悪の根。
これこそが狂気、時より古きもの。
引き裂かれし永劫、約束された終末。
エムラクール。
エムラクールあるところ、あらゆる生物はその姿を保つことができない。石や水、非生物はその姿を変えず、しかしてその通り道には生物の歪みが残される。
他の二体の巨人はその足跡に完全な荒廃を残すが、エムラクールの接近は精神を砕き、生きた肉体に影響して歪みを与える。
エムラクールとの対峙は完全な静寂と徹底的な孤独感をもたらす。一たび対峙すれば大群の兵士ですら完全な孤独を感じ、あらゆる助力から切り離される。
それは「引き裂かれし永劫」。彼女を見つめることは奈落の虚無を、圧倒的空虚を見つめると同じ。その影響下に長く滞在したならば、思考を砕かれ、目的を見失い、自己すら溶けて失われる。
エムラクールであれ、エムラクールとなれ
エルドラージはクトゥルフ神話の題材とする「コズミック・ホラー」を大本のモデルとしているが、中でもエムラクールはかの物語に登場する神格に最も近い存在である。
一にして全、全であり一。全てはエムラクール、エムラクールこそ全て。
エムラクールはいつどの次元であってもエムラクールと呼ばれる。それは彼女自ら己の名を発信しているから。
我はエムラクール
エムラクールと血族
エムラクールの血族は、深い青に皮のごとき黄土色と鮮明なマゼンタを混ぜ合わせた異世界の色彩を身に帯びている。この奇怪な配色はエルドラージのかつての霊気的形態が光を非自然的に反射しているものとされ普遍的なものであるが、エムラクールの血族は特にそれが顕著に出ている。
エムラクールの血族は、不快を催す左右非対称性、先端に節くれだった指の名残の見られる触手、そして石灰質化した植物の細胞壁の様な格子状組織を持つ。
この格子状組織こそエムラクール血族最大の特徴で、まるで身体に異なる何かを飼っているかのように独自に蠢き独立して呼吸する。ある者は、この呼吸によってエムラクールの血族は重力を歪め中空に浮かび上がっているのではないかと推測している。
エムラクールの落とし後は小さな二本の足ですばしこく動き回り、そして親と同じく触手と格子状組織を持つ。
エムラクールは空を総べる。故に、ゼンディカーの目障りな天使達が彼女の行いを見ることのないよう、光り輝く光輪で天使の視界を塞いだ。しかしそれでも、天使達は彼女に抗い続けた。
エムラクールはイニストラードの住人を変質させる。彼らの姿は歪み、時に融合し、まるで血族の様に蠢く触手と格子状構造を手に入れる。
なお、歪められ変質したイニストラード住人の姿はエムラクールが想像し創造したものである。
そう、全てはエムラクールとなる。
エムラクールの外観は、裂けた傘のような構造と、下部より生えたねじくれた腕の様な触手から成っており、そこかしこに血族にも受け継がれる格子状組織を持つ。
久遠の闇より現れた本体はより巨大で、なおかつねじくれた構造だった触手が滑らかにうねる、長大かつ立派なものになっている。
裂けた傘構造の中心には、鈍く紫色に光る一つ目が覗いている。
名状し難き威容を誇る彼女であるが、あまりの名状のし難さから日本のファンはもっぱら「宇宙しいたけ」と呼んでいる。立派な触手を持つ本体は「いかしいたけ」
風の女神エメリア
何らかの精神世界に埋没したジェイスの前に、エムラクールが彼と会話するために表した仮の姿。
元々エムラクールは明確に女性格で示される存在で、ゼンディカーで神格化されたときでも「女神」と呼ばれていたが、さすがにこの公式擬人化とも言える登場には誰もが驚いた。
アヴァシンよりも長身で、その大きな翼はまるで茸のように広がる。顔を覆うフードを被り、その上着の裾は先端で細く何十本・何百本と裂け、まるで触手の様に蠢いている。
両手には長剣を携え、背中にはそれを刺す鞘があるようだ。
フードに隠された顔は「普通」なもの。まるで天使の様。その声は空気のように軽やかで、まるで歌うようであるという。
本人曰く、彼女がこうした姿を精神世界における仮初とはいえ為すことができたのは、かつてゼンディカー人が彼女を人格化したためであるらしい。
チェスは不得意なようだ。
カード
引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn (15)
伝説のクリーチャー‐エルドラージ
引き裂かれし永劫、エムラクールは打ち消されない。
あなたが引き裂かれし永劫、エムラクールを唱えたとき、このターンに続いて追加の1ターンを行う。
飛行、プロテクション(有色の呪文)、滅殺6
引き裂かれし永劫、エムラクールがいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。
15/15
「エルドラージ覚醒」で登場した最初のエムラクール
打ち消されない効果・唱えたときに追加ターンを得る効果・各種すり抜けと耐性・攻撃時に生け贄を強要する「滅殺」・墓地に置かれたときライブラリー(デッキ)に帰還する伝説のエルドラージ共通能力を持つ。
唱えるだけで追加ターン、しかも打ち消されず、有色の呪文に対して耐性があり、「飛行」でブロックされずに15点素通し、しかも攻撃するたび相手のパーマネントを6枚生け贄。
「出せれば勝ち」を微塵も間違いなく体現したカードであり、15という極大コストを差し引いてもあらゆるカードゲームに登場するカードでトップクラスの性能を誇る。
追加ターンはあれば強いが別になくても本体が強い。そのためコストを踏み倒しての早期召喚がある意味最も強い運用と言えるが最後の墓地ごとデッキに戻る能力のせいで若干やりにくくなっている。しかしそれでも方法はいくらでもあるため、そういったデッキはこのカードの登場以来幾度となく現れては他のデッキを蹂躙していった。
これの実物を掲示する教育なんてやめちまえ。
約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End (13)
伝説のクリーチャー‐エルドラージ
約束された終末、エムラクールを唱えるためのコストは、あなたの墓地にあるカードに含まれるカード・タイプ1種類につき(1)少なくなる。
あなたが約束された終末、エムラクールを唱えたとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、あなたはそのプレイヤーのコントロールを得る。そのターンに続いて、そのプレイヤーは追加の1ターンを得る。
飛行、トランプル、プロテクション(インスタント)
13/13
「異界月」にて満を持して登場した二枚目のエムラクール。
墓地のカードタイプの総数に応じてコストを下げる効果・唱えることで次の相手ターンをコントロールする代わりに相手に追加ターンを与える効果・一枚目同様のすりぬけと形態の変わった耐性を持ち、ついでに確実にダメージを押し通す「トランプル」をも得た。
13という相変わらず重いコストを持つが、自身の能力によって軽減できる。矢鱈に特化せずとも大体8~10コスト位で唱えられるので一枚目よりは格段に扱いやすくなっている。
相手のコントロールを得るという凄まじい効果を持つ。代わりに相手に追加ターンを許してしまうが、相手の全行動を支配できるのだからその間に戦線を目茶苦茶にしてしまえば良い。「トランプル」によって、たとえ他クリーチャーとの戦闘になっても超過分を無理矢理ダメージにできるので、支配したターン中に適当な弱小クリーチャーでエムラクールに突撃するだけで相手は癒えない傷を負うことになるだろう。
インスタントの効果を受けないプロテクションは絶対とは言えないが、支配したターン中に(ry
コスト13、パワーとタフネスが13と一枚目よりも低くなっているが、これはイニストラード次元には「13恐怖症」というテーマがあり、そこに合わせているためである。
メタ的な事を言えば、
コスト削減能力は未開封のパックから出てきたカードと任意の枚数の基本土地カードのみを使ってその場でデッキを構築するルール“リミテッド”を意識してのこと。収録されたイニストラードを覆う影ブロックのカードは極端な高マナ域にアクセスできるよなものに乏しかったのである。しかしそのコスト削減能力を併せ持ちながら試合を決める能力が高すぎるが故に、2017年1月スタンダードで禁止カードに指定されてしまう。クリーチャー・カードでの指定は2011年の決定以来の出来事。
そうすべてはエムラクールである。
最強カードはエムラクールである。
・・・出禁喰らったのもエムラクールである・・・
昂揚/Delirium
「イニストラードを覆う影」より登場したキーワード能力。
墓地のカード・タイプが一定数を超えることで追加の効果が発動したり効果が強力になったりする。
エムラクールの持つコスト軽減はこの流れを汲んでおり、それを示すかのように、昂揚持ちのクリーチャーはそのすべてがエムラクールの影響を示す特徴を持つ。
ストーリー
かつてゼンディカーに襲撃し、そして封印された三体のタイタン。
エムラクールは最も大きく強いエルドラージ。ゼンディカー・ブロックの最終盤、砦の防衛に成功したと思われたギデオン達防衛軍の前に姿を現し、彼らを絶望の中に叩き込んだ。
ウラモグとその血族が暴れまわる中、ゼンディカーでは長くエムラクールは目撃されていなかった。既にゼンディカーを離れていたのだ。
石術師にして古きプレインズウォーカー、かつてエルドラージの封印にも貢献したナヒリは、ソリンへの復讐のため、彼に自分と同じ苦しみを味合わせるために、彼が守護する次元・イニストラードをエムラクールに蹂躙させることを考えた。
イニストラード中のマナを一点に集めてエムラクールを呼び寄せ、マナそのものの存在である守護者アヴァシンらを狂わせる。ソリン自らの手でアヴァシンが破棄されイニストラードの守りが消え去ると、ナヒリはついにエムラクールをイニストラードに呼び寄せ、彼女もまた呼び声に応えて降り立った。
エムラクールの「声」はイニストラードの住人を狂わせ、次々と怪物化させた。エムラクールの力の前にはプレインズウォーカーですら嵐と戦う蚤でしかない。
エムラクールはジェイスの精神世界に「風の女神エメリア」の姿で降り立った。ジェイスだけが、唯一彼女と「会話」するに足る適応力を持っていたからだ。
イニストラードの命運を賭けてチェスを持ちかけるエメリア。受けて立つジェイス。そしてエメリアは悪手をし、ジェイスがチェックメイトをかけた。
エムラクールを、他の二体のタイタンのように滅ぼすことはできない。そう判断したジェイスは、タミヨウの提案に従い彼女を月に封印することにした。
タミヨウがこれまで封じていた強力な巻物の術を、ニッサよりイニストラード中の魔力を受け取って発動し、ついにエムラクールの巨体は月に封じられた。
関連タグ
「あの怪物が私の体を奪って巻物を読んだ、この次元全てに破壊をもたらす巻物……そうではなく彼女自身をここに束縛する呪文に力を与えた。ジェイスさん、どうしてこのようなことが?何故起こったのでしょう?私たちは何をしたのでしょう?」
「もし、あらゆる物語がただ彼女の物語であったなら、どのような悪しき運命が開かれるのを待っているのでしょうか?」
「私たちは本当に勝利したのでしょうか?」
「これは何もかも間違い。私は不完全で、足りなくて、始まったばかり。不毛の怨嗟ではなくて、花が咲くべき。土は受け入れてくれない。私の時じゃない。今はまだ」
「ジェイス・ベレレン、これは全部私の駒。ずっとここにあったもの。もう遊びたくないだけ」