永遠にして無限――この世界は我がもの。
絶対の存在――全ては我がもの。
その始まり――我は全となる。
その存在――全てはエムラクール。
終末を。
終末を。
終末を。
我はエムラクール!
我らエムラクール!
全てはエムラクール!
エムラクールとなれ!
エムラクールであれ!
エ ム ラ ク ー ル !!
人生そのもののように厄介な謎
エムラクール、それは具現化した退廃であり、そびえたつ場所には静寂の恐怖が巻き起こる。
エムラクールは感情や物質を超えた虚無の霊気であり、それのみが恐怖をなしている。
エムラクールは「エルドラージのタイタン」と呼ばれる大いなる存在の一つに数えられる。
かつて他の二体と共にゼンディカー次元を訪れたが、三人のプレインズウォーカーによって封じられた。
時が経ちその記憶が薄まると、三体のタイタンはゼンディカーの住人が崇める神々へと姿を変えた。
エムラクールはマーフォークにとっての空の女神「エメリア(エム)」、コー族にとっての風の女神「カムサ」の元型。未知の力によって重力を歪め空に浮かび上がる。
数千年の後封印より解き放たれたエムラクールはゼンディカーを捨て、そして一人のプレインズウォーカーの呼びかけに応えてイニストラードに降臨した。
三体確認されているエルドラージのタイタンの一体。
途方もなく巨大かつ強大なエルドラージであり、その力は並び称されるウラモグとコジレックと言えども比較することもおこがましい。
全てはエムラクール
2010年4月23日、「エルドラージ覚醒」で初登場。その強大極まる力は、あらゆるカードの一種の頂点としてデザインされたものであり、モダン環境においてはいかなるデッキといえど彼女の前に膝をつくことしかできない。
そして2016年7月22日、ゼンディカー・ブロックにてウラモグとコジレックが若きプレインズウォーカーの連携を前に灰塵と帰したその後、ついに「異界月」にて再びカードの世界に降り立った。
我らエムラクール
エムラクール。
それは知るべきでない言葉、知ることのできない言葉。
あるいは破壊の器、邪悪の根。
これこそが狂気、時より古きもの。
引き裂かれし永劫、約束された終末。
エムラクール。
エムラクールあるところ、あらゆる生物はその姿を保つことができない。石や水、非生物はその姿を変えず、しかしてその通り道には生物の歪みが残される。
他の二体の巨人はその足跡に完全な荒廃を残すが、エムラクールの接近は精神を砕き、生きた肉体に影響して歪みを与える。
エムラクールとの対峙は完全な静寂と徹底的な孤独感をもたらす。一たび対峙すれば大群の兵士ですら完全な孤独を感じ、あらゆる助力から切り離される。
それは「引き裂かれし永劫」。彼女を見つめることは奈落の虚無を、圧倒的空虚を見つめると同じ。その影響下に長く滞在したならば、思考を砕かれ、目的を見失い、自己すら溶けて失われる。
エムラクールであれ、エムラクールとなれ
エルドラージはクトゥルフ神話の題材とする「コズミック・ホラー」を大本のモデルとしているが、中でもエムラクールはかの物語に登場する神格に最も近い存在である。
一にして全、全であり一。全てはエムラクール、エムラクールこそ全て。
エムラクールはいつどの次元であってもエムラクールと呼ばれる。それは彼女自ら己の名を発信しているから。
我はエムラクール
エムラクールの血族は、深い青に皮のごとき黄土色と鮮明なマゼンタを混ぜ合わせた異世界の色彩を身に帯びている。この奇怪な配色はエルドラージのかつての霊気的形態が光を非自然的に反射しているものとされ普遍的なものであるが、エムラクールの血族は特にそれが顕著に出ている。
エムラクールの血族は、不快を催す左右非対称性、先端に節くれだった指の名残の見られる触手、そして石灰質化した植物の細胞壁の様な格子状組織を持つ。
この格子状組織こそエムラクール血族最大の特徴で、まるで身体に異なる何かを飼っているかのように独自に蠢き独立して呼吸する。ある者は、この呼吸によってエムラクールの血族は重力を歪め中空に浮かび上がっているのではないかと推測している。
エムラクールの落とし子は小さな二本の足ですばしこく動き回り、そして親と同じく触手と格子状組織を持つ。
エムラクールは空を総べる。故に、ゼンディカーの目障りな天使達が彼女の行いを見ることのないよう、光り輝く光輪で天使の視界を塞いだ。しかしそれでも、天使達は彼女に抗い続けた。
エムラクールはイニストラードの住人を変質させる。彼らの姿は歪み、時に融合し、まるで血族の様に蠢く触手と格子状構造を手に入れる。
なお、歪められ変質したイニストラード住人の姿はエムラクールが想像し創造したものである。そしてエムラクールの寵愛を特に深く受けた者は、彼女の思うより良い形質を授かる栄誉を受けることになる。
そう、全てはエムラクールとなる。
エムラクールの外観は、裂けた傘のような構造と、下部より生えたねじくれた腕の様な触手から成っており、そこかしこに血族にも受け継がれる格子状組織を持つ。
久遠の闇より現れた本体はより巨大で、なおかつねじくれた構造だった触手が滑らかにうねる、長大かつ立派なものになっている。
裂けた傘構造の中心には、鈍く紫色に光る一つ目が覗いている。
名状し難き威容を誇る彼女であるが、あまりの名状のし難さから日本のファンはもっぱら「宇宙しいたけ」と呼んでいる。立派な触手を持つ本体は「いかしいたけ」
風の女神エメリア
何らかの精神世界に埋没したジェイスの前に、エムラクールが彼と会話するために表した仮の姿。
元々エムラクールは明確に女性格で示される存在で、ゼンディカーで神格化されたときでも「女神」と呼ばれていたが、さすがにこの公式擬人化とも言える登場には誰もが驚いた。
アヴァシンよりも長身で、その大きな翼はまるで茸のように広がる。顔を覆うフードを被り、その上着の裾は先端で細く何十本・何百本と裂け、まるで触手の様に蠢いている。
両手には長剣を携え、背中にはそれを刺す鞘があるようだ。
フードに隠された顔は「普通」なもの。まるで天使の様。その声は空気のように軽やかで、まるで歌うようであるという。
本人曰く、彼女がこうした姿を精神世界における仮初とはいえ為すことができたのは、かつてゼンディカー人が彼女を人格化したためであるらしい。
チェスは不得意なようだ。
引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn
カード名 | 引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn (15) |
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カードタイプ | 伝説のクリーチャー‐エルドラージ |
能力 | 引き裂かれし永劫、エムラクールは打ち消されない。 |
あなたが引き裂かれし永劫、エムラクールを唱えたとき、このターンに続いて追加の1ターンを行う。 | |
飛行、プロテクション(有色の呪文)、滅殺6 | |
引き裂かれし永劫、エムラクールがいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。 | |
パワー/タフネス | 15/15 |
「*エルドラージ覚醒*」で登場した最初のエムラクール
打ち消されない効果・唱えたときに追加ターンを得る効果・各種すり抜けと耐性・攻撃時に生け贄を強要する「滅殺」・墓地に置かれたときライブラリー(デッキ)に帰還する伝説のエルドラージ共通能力を持つ。
唱えるだけで追加ターン、しかも打ち消されず、有色の呪文に対して耐性があり、「飛行」でブロックされずに15点素通し、しかも攻撃するたび相手のパーマネントを6枚生け贄。
「出せれば勝ち」を微塵も間違いなく体現したカードであり、15という極大コストを差し引いてもあらゆるカードゲームに登場するカードでトップクラスの性能を誇る。
追加ターンはあれば強いが別になくても本体が強い。そのためコストを踏み倒しての早期召喚がある意味最も強い運用と言えるが最後の墓地ごとデッキに戻る能力のせいで若干やりにくくなっている。しかしそれでも方法はいくらでもあるため、そういったデッキはこのカードの登場以来幾度となく現れては他のデッキを蹂躙していった。
これの実物を掲示する教育なんてやめちまえ。
約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End
カード名 | 約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End (13) |
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カードタイプ | 伝説のクリーチャー‐エルドラージ |
能力 | 約束された終末、エムラクールを唱えるためのコストは、あなたの墓地にあるカードに含まれるカード・タイプ1種類につき(1)少なくなる。 |
あなたが約束された終末、エムラクールを唱えたとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、あなたはそのプレイヤーのコントロールを得る。そのターンに続いて、そのプレイヤーは追加の1ターンを得る。 | |
飛行、トランプル、プロテクション(インスタント) | |
パワー/タフネス | 13/13 |
「異界月」にて満を持して登場した二枚目のエムラクール。
墓地のカードタイプの総数に応じてコストを下げる効果・唱えることで次の相手ターンをコントロールする代わりに相手に追加ターンを与える効果・一枚目同様のすりぬけと形態の変わった耐性を持ち、ついでに確実にダメージを押し通す「トランプル」をも得た。
13という相変わらず重いコストを持つが、自身の能力によって軽減できる。矢鱈に特化せずとも大体8~10コスト位で唱えられるので一枚目よりは格段に扱いやすくなっている。
相手のコントロールを得るという凄まじい効果を持つ。代わりに相手に追加ターンを許してしまうが、相手の全行動を支配できるのだからその間に戦線を目茶苦茶にしてしまえば良い。
インスタントの効果を受けないプロテクションは絶対とは言えないが、支配したターン中に(ry
コスト13、パワーとタフネスが13と一枚目よりも低くなっているが、これはイニストラード次元には「13恐怖症」というテーマがあり、そこに合わせているためである。
禁止カード化
なお、前述のようにエムラクールのコスト軽減能力はストーリーに準ずる由来を持つが、もう一つゲーム的な理由、いわゆるメタ事情として、
『未開封のブースターパックをその場で開け、40枚以上のデッキを構築する』等々の特殊条件下で試合をおこなうルール・リミテッドの存在と、「イニストラード」というブロック及び舞台となる次元のマナ不足がある。
イニストラードはゼンディカーと異なりマナに乏しい。また、エムラクールは末裔を生み出さず原住民を歪め眷属化するが、これにより親にマナを捧げる役目を持つ末裔からの供給が望めなくなっている。
このままでは「異界月」単体でエムラクールの降臨が行えず、折角の神話レアがリミテッドで使えないという非常に残念な事態になってしまうため、それを避ける為こういったデザインが為された。
が、ここにきて直近数年の弾のみの使用を可とするフォーマット「スタンダード」にて問題が起きる。「異界月」の背景ストーリーの舞台はかつて多数の墓地利用カードを生み出したエキスパンション「イニストラード」と同次元。もちろん当時の環境にも墓地肥やしカードは充実していた。だが、タダでさえ強大なエムラクールに墓地に干渉してマナコストを軽減する能力まで持たせたら、先の墓地肥やしカードと組み合わせて安易な降臨が可能となってしまう。
悲劇はこれだけに留まらず次の「カラデシュ」ブロックにで登場した「霊気池の驚異」。これは
ライブラリーの一番上からカードを6枚の中から1枚をマナコストを支払うことなく唱えれるアーティファクト。恐れれていた踏み倒しカードの登場である。驚異が脅威を呼ぶというサイクルとなる。
そのため、2011年に指定された、どっかの先駆け似の誰かさん以来の、スタンダードにおける禁止クリーチャーとなってしまった。
これが目覚め、すべて忘れてしまうのか……けれど、我らは夢を諦めぬ!
昂揚/Delirium
「イニストラードを覆う影」より登場したキーワード能力。
墓地のカード・タイプが一定数を超えることで追加の効果が発動したり効果が強力になったりする。
エムラクールの持つコスト軽減はこの流れを汲んでおり、それを示すかのように、昂揚持ちのカードのイラストはそのすべてがエムラクールの影響を示す特徴を持つ。
「Delirium」とは、高熱によるうわごとや幻覚を伴う酷い精神錯乱状態を指す。
現出/Emerge
「異界月」より登場したキーワード能力。現在これを持つクリーチャーは全てが無色であり、クリーチャー・タイプに「エルドラージ」を持つ。
これを持つクリーチャーは、召喚する際に、正規のコストを支払う以外に、クリーチャー1体を生贄に捧げることで、指定の色コストと生贄クリーチャーのマナ・コスト分軽減された数値でコストを支払ってもよい、という物。
見知った生物や人物が、エムラクールの影響により歪みを受け突如エルドラージへと変貌するという恐怖を描いた能力である。
中には相手ターンでも唱えられる「瞬速」を併せ持つ者もおり、文字通り「突然の変異」によって相手に恐怖を与えることができる。
お前もエムラクールだ
「Emerge」は、暗闇から人や物が姿を現すこと、あるいは問題や事実が明るみに出ることである。
マッドネス/Madness
手札から捨てられるとき追放されるという常在能力と、こうして追放された時専用コストを支払うことでそのまま唱えられるという誘発能力が合わさったキーワード能力。
登場自体は「オデッセイ」ブロックであるが、エムラクールによりまき散らされる狂気を表現するべく再録された。
これを持つカードのイラストはどれも尋常ならざる熱狂的な狂気に満ち溢れている。
「Madness(狂気)」の名にふさわしい。
変身/Transform
初代「イニストラード」ブロックより登場したキーワード能力。
カードの両面にイラスト・テキストが印刷され、条件を満たすことで誘発し表面から裏面へと「変身」する。
「人間が狼男に変貌する」「吸血鬼が蝙蝠などに化ける」といったゴシック・ホラー特有の事象をゲーム上で表現した能力である。
当然イニストラードが舞台である「イニストラードを覆う影」ブロックでも復活している。
人が狼男へ、コウモリが吸血鬼へ、そしてそれらすべてがエルドラージへ。
合体/Meld
「異界月」登場のキーワード能力。
特定のカード二枚が場にそろうことで誘発し、それらをいったん追放したのち裏返し、一体のクリーチャーとして合体させて場に戻す。
エムラクールによって究極の引き裂かれし永劫の孤独に閉じ込められた者達が、連なり寄り添い一つに溶け合った、冒涜的で恐ろしい末路である。
今や彼女の眼にはエムラクールの理想しか見えていない。 (『折れた刃、ギセラ』)
今や彼女の耳にはエムラクールの呟きしか聞こえていない。 (『消えゆく光、ブルーナ』)
姉妹のなれの果てを知ったシガルダは、たた咽び泣くことしかできなかった。 (『悪夢の声、ブリセラ』)
レアリティ | P(表記無し)→SR |
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コスト | ゼロ文明(15) |
カードタイプ | クリーチャー |
種族 | エルドラージ/ゼニス |
パワー | 15000 |
能力 | 飛行(このクリーチャーは、「飛行」を持たないクリーチャーから攻撃もブロックもされない) |
T・ブレイカー | |
このクリーチャーが召喚によって出た時、このターンの後もう一度自分のターンを行う。 | |
このクリーチャーが攻撃する時、相手はバトルゾーン、シールドゾーン、マナゾーンにある自身の表向きのカードを合計6枚選び、墓地に置く。 | |
エターナル・Ω(このクリーチャーが離れる時、かわりに手札に戻す) |
MTGの弟分であるデュエル・マスターズの世界に電撃参戦。現状、デュエマにおいて唯一の「エルドラージ」を種族に持つクリーチャー。
初出はネタカードやファンサービスをテーマにしたパック、DMEX-08『謎のブラックボックスパック』。
後にDMEX-18『20周年超感謝メモリアルパック 裏の章 パラレル・マスターズ』にて再録された際にはMTGの旧枠を再現したフレームが用いられている。ここで再設定されたレアリティは勿論スーパーレア。
ファッティ揃いのゼニスの中ですら規格外れの15コストと言う途方もないマナを要するが、「飛行」によってほぼすべてのクリーチャーに攻撃もブロックもされず、攻撃時に除去・表向きシールドの焼却・ランデスを相手に選ばせるという滅殺6の再現等、オリジナル同様「出せれば勝ち」を体現したかのような性能となっている。
そして、何と言ってもこのカードの最大の魅力は召喚時限定の登場時能力による追加ターン。これにより事実上のスピードアタッカーとして運用することもできる。
また、オリジナルのプロテクション(有色呪文)が削除された代わりに「墓地に置かれたとき、墓地ごとデッキに戻る」能力がエターナル・Ωに置き換わっていることで《デーモン・ハンド》等の除去に引っかかりはするものの、手札に戻るだけとなっている。もっとも、後述のコストパフォーマンスから手札に戻ってきても再召喚するかは微妙なラインであるため、オリジナルとの差異についてそこまで深く考える必要はないだろう。
このカードを使う上で最大の問題は15という膨大なコスト。普通に支払ってもオーバーキル気味だろう。
召喚扱いになる《天運ゼニスクラッチ》や《イッツ・ショータイム》等の踏み倒し呪文などから繋げることを考えたい。
仮に場に出すことができたとしても、T・ブレイカーと言う打点の都合上、このカード1枚だけで即座にフィニッシュに持っていくことは少々難しい。先述の踏み倒しなどで相手の態勢が整うよりも早く召喚でもしない限りは、割ったシールドからS・トリガーが出て態勢を立て直される危険性も存在する。
一騎当千の戦力であることは確かだが、安全な勝ち筋を取るには他のクリーチャーとの連携も視野に入れる必要がある。この辺りはMTGに存在しなかったS・トリガー等のギミックによって使用感に差異が生まれている良い見本と言えるだろう。
召喚によって場に出していれば、追加ターンを利用して打点を揃えるのも一つの手。
明確な弱点として挙げられるのは「滅殺6」の選択権が相手にあるということ。
【裁きの紋章】等の表向きのシールドを増やすことに特化したデッキや、《FORBIDDEN STAR〜世界最後の日〜》等の5枚1組のカードで構成されている「バトルゾーンを離れない」効果を持つオブジェクトを採用したデッキ相手では、除去やランデスの被害を抑えられてしまうことも考えられる。特に後者の場合は墓地に送るカードを1枚に抑えられてしまう。
総括すると、「出せれば勝ち」というロマン性は光るが「それだけのマナを用意できるなら他の現実的なフィニッシュ手段が豊富」というオーバーキルカード特有の難点を抱えている。
例として、単純に過剰なマナブーストができるデッキならば、確実性の高いメインフィニッシャーとしては《水上第九院シャコガイル》の方に軍配が上がってしまう。
とはいえコレクターや本家《エムラクール》の根強いファンの間では需要があり、再録回数の少なさや封入率がかなり低い事もあってシングルカードにおける相場もかなり高め。《Black_Lotus》と同じくカードの魅力は決して環境での活躍とイコールではない事を教えてくれる1枚である。
と、言うように、今まではあくまでロマン砲としての側面が強かったこのカードだが、扱いやすい召喚扱いのコスト踏み倒し能力を持つ《キング・マニフェスト》の登場以降、評価が上昇。一度出せれば《マニフェスト》のマッハファイターやW・ブレイカーと合わせて、追加ターンと滅殺6で相手を蹂躙してしまえる。
召喚時能力は使えなくなるが、《超絶奇跡 鬼羅丸》の踏み倒し対象として採用するのもあり。コスト15のためガチンコ・ジャッジで捲ればほぼ確定で勝てる。追加ターンを得られなくとも《鬼羅丸》のスピードアタッカー付与でアタックトリガーの滅殺6がすぐに使えるため、悪くはない組み合わせだろう。
《鬼羅丸》と類似した能力を持っている《「無上」の頂天シャングリラ・ファンタジア》でも同様の動きが可能。
《鬼羅丸》や《ファンタジア》自身もゼニスであるため《ゼニスクラッチ》を採用できるのも利点か。10コスト以上のクリーチャーの召喚コストを大幅に軽減できる《流星のガイアッシュ・カイザー》の登場も追い風になっている。
そしてアニメ出演へ…
アニメ「デュエル・マスターズキング」第40話にデュエマアニメお馴染みの3DCGでまさかの登場。
鬼化したキャップが切札ジョーとのデュエマで使用し、「チームウェイブの超大型新人」と紹介された。
この時ジョーに「チームウェイブじゃないじゃん!」と突っ込まれていたが、キャップは「チームウェイブのデッキに入っているからチームウェイブだ」という超理論で返していた。
《キング・マニフェスト》のバズレンダでデッキトップから踏み倒され、追加ターンと滅殺6によるランデスでジョーを追い詰めるが、最終的に《スパダチモンキッドR》のキリフダReVo能力で(マナ送りの代わりにエターナル・Ωで)手札に戻された。
MTGの背景ストーリーでは女性として扱われており、実際に女性的な口調と声でジェイスと会話する場面も存在するのだが、アニメでの声優は男性の福西勝也氏となっている。
(あくまで精神世界での会話であったため、肉体側の声は必ずしもそうではないのかもしれない)
上記で述べた通り、「ゼンディカー」「ワールドウェイク」そして「エルドラージ覚醒」の3エキスパンションから構成されるゼンディカーブロックの大トリとしてエムラクールは登場したのだが、
じつは同ブロックの前2セットにはエムラクールはおろかエルドラージは1体も登場していない。
(外部リンク:ゼンディカーおよびワールドウェイク日本公式サイトカードリスト参照)
かろうじて一部のアーティファクトにエルドラージの名前が入っているぐらいで、ピックアップされている種族も冒険者たちのパーティメンバーをカード化した同盟者、エキスパンションのテーマも土地である為、収録されているカードも特殊地形やそれらとのシナジーを意識したカードであったりとエムラクールのエの字もない。
しかし、その特殊地形の一つ『ウギンの目』の効果は
あなたが唱える無色のエルドラージ呪文は、それを唱えるためのコストが{2}少なくなる。
となっており、
このことからゼンディカー次元には無色マナと係わりのあるエルドラージと呼ばれる強大な存在が潜んでいることが分かる。
これと同様の現象は「イニストラードを覆う影」・「異界月」の2セットから構成されたイニストラードを覆う影ブロックでも起きている。
今回もエムラクール登場一つ前のエキスパンションではエルドラージは一切登場していない。
(外部リンク:イニストラードを覆う影日本公式サイトカードリスト参照)
こちらではカードテキストだけ見ていると影も形も存在していなく、登場する特殊能力もマッドネス・変身は再登場、昂揚も一見すると過去のイニストラードブロックに登場した墓地利用カードの亜種にも見えるので分かりにくい。
が、その代わりにいくつかのカードイラストに兆候が出ている。(分かりやすいのは「奇怪な突然変異」と「未知との対決」。触手が生えた人間が登場している。他にも格子状組織らしきものが浮き出ているイラストが多数。)
これはイニストラードの住人の変質がこの時から既に始まっており、エムラクールが放つ狂気が次元全体に蔓延していた事が窺える。
かつてゼンディカーに襲撃し、そして封印された三体のタイタン。
エムラクールは最も大きく強いエルドラージ。ゼンディカー・ブロックの最終盤、砦の防衛に成功したと思われたギデオン達防衛軍の前に姿を現し、彼らを絶望の中に叩き込んだ。
ウラモグとその血族が暴れまわる中、ゼンディカーでは長くエムラクールは目撃されていなかった。既にゼンディカーを離れていたのだ。
石術師にして古きプレインズウォーカー、かつてエルドラージの封印にも貢献したナヒリは、ソリンへの復讐のため、彼に自分と同じ苦しみを味合わせるために、彼が守護する次元・イニストラードをエムラクールに蹂躙させることを考えた。
イニストラード中のマナを一点に集めてエムラクールを誘い、その存在によって守護者アヴァシンらを狂わせる。ソリン自らの手でアヴァシンが破棄されイニストラードの守りが消え去ると、ナヒリはついにエムラクールをイニストラードに呼び寄せ、彼女もまた呼び声に応えて降り立った。
エムラクールの「声」はイニストラードの住人を狂わせ、次々と怪物化させた。エムラクールの力の前にはプレインズウォーカーですら嵐と戦う蚤でしかない。
エムラクールはジェイスの精神世界に「風の女神エメリア」の姿で降り立った。ジェイスだけが、唯一彼女と「会話」するに足る適応力を持っていたからだ。
イニストラードの命運を賭けてチェスを持ちかけるエメリア。受けて立つジェイス。そしてエメリアは悪手をし、ジェイスがチェックメイトをかけた。
エムラクールを、他の二体のタイタンのように滅ぼすことはできない。そう判断したジェイスは、タミヨウの提案に従い彼女を月に封印することにした。
タミヨウがこれまで封じていた強力な巻物の術を、ニッサよりイニストラード中の魔力を受け取って発動し、ついにエムラクールの巨体は月に封じられた。
「あの怪物が私の体を奪って巻物を読んだ、この次元全てに破壊をもたらす巻物……そうではなく彼女自身をここに束縛する呪文に力を与えた。ジェイスさん、どうしてこのようなことが?何故起こったのでしょう?私たちは何をしたのでしょう?」
「もし、あらゆる物語がただ彼女の物語であったなら、どのような悪しき運命が開かれるのを待っているのでしょうか?」
「私たちは本当に勝利したのでしょうか?」
「これは何もかも間違い。私は不完全で、足りなくて、始まったばかり。不毛の怨嗟ではなくて、花が咲くべき。土は受け入れてくれない。私の時じゃない。今はまだ」
「ジェイス・ベレレン、これは全部私の駒。ずっとここにあったもの。もう遊びたくないだけ」