虚空としか言い様がないその実体
概要
三体確認されている「エルドラージのタイタン(巨人)」と呼ばれる個体の一。かつて次元ゼンディカーに他のタイタン、そして「血族」たちと共に襲来したが、三人のプレインズウォーカーの手で封印された。
封印後、エルドラージの記憶が薄まるにつれ、タイタン個体たちは、ゼンディカーの住人たちが崇める神々に姿を変えた。
コジレックはマーフォーク族の崇めるペテンの神コーシ、コー族の崇める大地神タリブの原型となった。
そして数千年後、かの邪悪なる竜の策略により、他の二体と共に封印より解き放たれ、ゼンディカー全土に再び虐殺を振りまいた。
詳細
久遠の闇より生まれ次元を貪る怪物エルドラージの中でも「タイタン(巨人)」と呼ばれる三体の親玉的存在の内の一体。
2010年4月23日、他の二体と共に「エルドラージ覚醒」にて登場した。
「大いなる歪み」あるいは「真実の解体者」。
コジレックとその血族の在るところ、現実と認識が歪み、重力の方向のような物理法則だけでなく、生物の思考すらも出鱈目に歪曲され、瓦解する。
友が敵に見え、熟達の斥候ですらも、方向感覚を失い、ドローンの餌食となってしまう。
また、コジレックによって侵食され剥ぎ取られた地形はビスマス結晶めいた四角い渦のような形に変容する。
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コジレックの血族は、色マナを奪われた荒地より無色マナを抽出し、これを己の力に変えて現実に干渉・侵蝕することができる。
言葉を弄ぶのではない。世界を弄ぶのだ。 (『歪みの預言者』)
エルドラージはガラスを砕くように精神集中を砕く。 (『虚空の粉砕』)
コジレックにより一層ずつ剥ぎ取られ、その土地は奇怪な様相を呈していた。 (『未知の岸』)
カードとしての「コジレック」は「真実の解体者、コジレック」と「大いなる歪み、コジレック」の二種類が登場し、当然ながらいずれも「伝説のクリーチャー」である。
二種類とも複数枚ドローを行う能力を持ち、程度の差こそあれども大型のクリーチャーのおまけとしてはインチキくさい効果となっている。
「ペテンの神」の面目躍如、といったところか。
コジレックと血族、その形状
装飾の少ない厚みのある西洋鎧か、がっしりとしたゴーレムのような上半身を持つ。
顔にあたる部分には球体めいた部分が嵌っているだけである。
その甲殻は磨かれた石あるいはくすんだ金属板のように鈍く光沢を放っている。
がっしりと力強い両腕には二対の巨大な「目」が確認でき、肘のあたりから突き出した銛の様な刃は、これを振るえば巨大な海魔ですらも一刀両断にされる。
下半身は大蛇の如く長大な体躯からなり、そこから枝分かれした多数の触手ないし触腕から構成されている。この触手は、ウラモグの物よりは細く短いが、その数は二倍以上にもなる。
コジレックの頭上には三角形の板もしくは刃の様な物が一対浮遊している。この板はあらゆる光を吸収するため闇のごとき漆黒に染まっており、一説にはコジレックの歪曲によって、彼らの根城たる久遠の闇が垣間見えているのだという。
コジレックの血族は現存の動物や昆虫に類似しながらも不快な歪さに逸脱した体形を持ち、上半身あるいは下半身から多数の腕・脚がやたらに生えている。そして全身の関節や脇腹などの各所に不気味な「目」を持っている。
多くの部分でウラモグの血族に似た特徴を持つが、コジレックと同様の黒い三角状の物体を頭上に浮遊させていることから区別できる。
カード
真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth
真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth (10) |
伝説のクリーチャー‐エルドラージ |
あなたが真実の解体者、コジレックを唱えたとき、カードを4枚引く。 |
滅殺4(このクリーチャーが攻撃するたび、防御プレイヤーはパーマネントを4つ生け贄に捧げる。) |
真実の解体者、コジレックがいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。 |
12/12 |
「エルドラージ覚醒」で登場したコジレック。
10という重いコスト・4ドローを行う誘発能力・攻撃時に生け贄を強要する「滅殺」・墓地に置かれたときライブラリー(デッキ)に帰還する伝説のエルドラージ共通能力を持つ。
唱えた段階で手札を4枚も増強できる。「唱えた」時の誘発であるため、たとえ呪文を打ち消されても手札は増え、次のターンの選択肢を増やすことができる。
同僚の「無限に廻るもの、ウラモグ」よりも1コスト低く、サイズと唱えたときの単純なカード・アドバンテージで大きく上回る。
しかし反面、ドロー以外の効果を一切持たない上に本体に耐性らしきものも一切ない為、単純なフィニッシャーとしてはやや不安が残る。
ドローでき手札が増えるため、このカードに対する除去も含め相手の行動への対応札を握りやすいが、このカード自身の10コストという重さからその利点を活かし辛い。
ただコストを工面するよりも、なるべくコストを軽減して早めに出す・終盤でのマナに余裕を持たせることで真価を発揮できるだろう。
このサイズのクリーチャーが出た状態でマナとカウンターを保持しているとなれば、相手にとってはペテンどころかもっと悪質な何かに映るに違いない。
どこからでも墓地に送られれば墓地まるごとデッキに帰還する能力を持つが、これにより墓地利用戦術によって軽いコストで呼び出すことができなくなっている。これは「エルドラージ覚醒」における全ての伝説のエルドラージに共有するが、コジレック自身はキッチリ唱えて出さなければ極端な話すごく大きいだけの甲鱗様でしかないためあまり関係ない。
大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion
大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion (8)(無)(無) |
伝説のクリーチャー‐エルドラージ |
あなたが大いなる歪み、コジレックを唱えたとき、あなたの手札にあるカードの枚数が7枚未満である場合、その差に等しい枚数のカードを引く。 |
威迫 |
点数で見たマナ・コストがXであるカードを1枚捨てる:点数で見たマナ・コストがXであるカード1枚を対象とし、それを打ち消す。 |
12/12 |
「ゲートウォッチの誓い」で登場したコジレック二つ目の姿。
10というおなじみの極大コスト・手札を7枚にする誘発能力・2体以上のクリーチャーによってしか攻撃を防がれない「威迫」・手札を1枚捨てることで同じコストを持つ呪文1枚を打ち消す能力を持つ。
唱えた瞬間に手札を7枚にする。実際にドローできる数はまちまちであるが、それでも最大7枚というのは破格の数値。ただし、「真実の解体者」の頃の4枚以上を安定させようとするとある程度練った構築が必要になる。基本のマナ・ソースである土地が、他の用途で用いることができないため手札にダブつき易いからである。
少ないマナをやりくりしつつ、他のカードでマナ生成を行うようなデッキにしておくとドロー枚数を増やしやすく、また後述の能力も活かし易くなる。
キーワード能力「威迫」によって、常に防御プレイヤーに二体以上のクリーチャーをこのカードに差し向けるよう強制できる。二体集まったところで12というタフネスは中々突破できるものではなく、かつての「滅殺」ほどではないにしろ相手の場を容易にズタズタにする。
固有能力として、手札を捨てることで呪文1つを打ち消す。打ち消したい呪文と同じコストのカードが必要となるため必ずしも狙ったカードを消去できるわけではないが、コジレックが場にいるだけでマナコストを用いることなく呪文を打ち消すことができるため、相手にかかるストレスは尋常な物ではない。また、最初の能力でほぼ確実に7枚の手札を有しているため、相手にとってはカウンターの幅が予想しにくくなり、なおかつこちらは対処可能な呪文のコスト域が増えるなど見事に噛み合っている。
また、この手の大型クリーチャーをフィニッシャーとするデッキ、いわゆる「ランプデッキ」では序盤に多用するマナ加速呪文は後半腐りやすいのが難点だが、それらも全てカウンターの餌にできるという他にはない強みを持つ。
一方で、かつての共通能力である「デッキ帰還」が消失しているが、これは後述するストーリー上の変遷が理由と思われる。
このカードの最大の難点はやはりコストで、特に厳しいのが「無色マナ」を2つ要求すること。通常の基本土地では色マナしか出すことができないので、ゼンディカー・ブロックで登場した無色マナ専用の基本土地「荒地」を使うか、末裔・トークンなどの無色マナ生成能力を活用することになる。
なお、「無色マナ」が明確に定義されマーク「(◇)」が定められたのは「ゲートウォッチの誓い」からである。と言っても過去のカードでは生み出せないというわけではなく、これまで「①」などの数字で表していたものを、その数値分の個数の(◇)で読み替えることになっている。
「ゲートウォッチの誓い」に登場するコジレックの血族は、相手の行動を打ち消したり相手の布陣を無視するようなカードが多い。
トリッキーな能力で相手を翻弄する様は、設定やフレーバーテキストから読み取れるこの血族の逸脱性を明示していると言えよう。
ストーリー
ゼンディカー次元で封印より解放された三体のタイタンは瞬くまにゼンディカー全土に虐殺を振りまいた。
いつしかエムラクールが去り、コジレックも姿を消したが、その間もウラモグがゼンディカーを貪り続けた。
ウラモグの血族がゼンディカーを荒廃させていく中、細々と残されたコジレックの血族は常に地中奥深くに潜む「何か」にマナを媒介し続けていた。
ゼンディカーの奥深くで育つ「何か」。次元の守護者たるプレインズウォーカー、ニッサはその存在を危惧していた。
そして、その危惧は現実となった。最悪のタイミング、最悪の形で。
ギデオン率いるゼンディカー同盟軍の決死の努力により、連結面晶体構造の無限連環する魔力に封殺されたウラモグ。
しかしその歓喜を嘲笑うように、プレインズウォーカーの灯を奪われたデーモン、オブ・ニクシリスが構造の上に降り立ち、瞬く間にそこに込められた魔力を奪い取ってしまった。
バランスを崩し崩壊する構造。灯の再覚醒に震えるオブ・ニクシリスは、次いで余剰の魔力を地中の「何か」に注ぎ込んだ。
遂にその姿を現す「何か」・・・コジレックが帰還したのだ。
解放されたウラモグと共に、ゼンディカーの希望を砕き消滅させるコジレック。彼の帰還と共に、彼の血族もまた次々と姿を現し、地上を蹂躙していった。
同盟軍の主力であったプレインズウォーカー達も、復讐に燃えコジレックのドローンを操るオブ・ニクシリスによって釘づけにされていた。
しかし、チャンドラの介入により危機を脱したプレインズウォーカー達は団結。「ゲートウォッチの誓い」を立てる。
ジェイスの策により、ウラモグとコジレックは久遠の闇より本体を引きずり出され、ゼンディカーに縫い止められた。
当初はニッサの術によって二体のタイタンをゼンディカーに吸収させる作戦であったが、本体を現したタイタンの巨大さから断念。
ニッサよりゼンディカー全土のマナと怒りを受け取ったチャンドラが、そのすべてを全霊をかけて業火としタイタンに向けた。
凄まじいマナの乱動と爆炎。
それが晴れた後の恐ろしいほどの静寂と煙と灰の中、二体のタイタンの巨大な亡骸だけが残っていた。
関連タグ
かつてエルドラージをゼンディカーに封印した三人のプレインズウォーカー。
ゼンディカー生まれのマーフォークのプレインズウォーカー。「ペテンの神コーシ」の神話が好きで、自分がその「コーシ」に成り代わり、エルドラージのタイタンを嵌めようと考えていた。
巨大な海魔を呼び出してコジレックにしむけるが、海魔は一刀両断にされる。
その後も、別次元テーロスの海の神より奪った二又槍を振るい、ゲートウォッチを支援した
ゲートウォッチ
エルドラージの脅威を前に、エルドラージだけでないあらゆる邪悪から全次元を守るために団結したプレインズウォーカーのグループ。
エルドラージに抵抗する同盟軍の盟主。
エルドラージ抹殺のヒントを探す、精神魔導士のプレインズウォーカー。ゲートウォッチの構想を話したのも彼。
ゼンディカーで生まれ、ゼンディカーを友とするエルフのプレインズウォーカー。彼女が集めたゼンディカーのマナと怒りがコジレックを焼いた。
火炎魔導士のプレインズウォーカー。友情と責任の為やってきた。ニッサよりゼンディカーのマナと怒りを受け取り、全身全霊をかけて二体のタイタンを焼き尽くした。