魚雷
ぎょらい
概要
水中を航行し標的に衝突すると爆発して破壊する水雷で「魚型水雷」を略した語。動力源と高速航行用に作られた推進装置(スクリューやウォータージェットなど)を装備し、標的に到達すると信管により弾頭が爆発し破壊する。
爆発は火薬の量や質以上に、爆雷と同様「バブルパルス現象」(水中で爆発が生じた際に起こる衝撃波が、水中で無数の泡の生滅を繰り返しながら威力を増幅させる現象)を利用して高めており、わずか10mに満たない物体が10倍以上のサイズの船体を真っ二つすることさえ可能にする。
標的が爆発により転覆や沈没をしなかったとしても船体に大きく穴が開くため、その船内区画は浸水して使用不能になり、またその穴により速力が落ちるため標的には大きな損害を与えることができる。
黎明期のものは誘導機能がなく直進するだけであったため、扇状に何発も同時に発射していたが、現在は標的が発する音を頼りに追尾するもの、音を発して目標を探知するソナーを内蔵したものや電線、光ファイバーなどで有線誘導するものが主。
現在主流の短魚雷は艦艇から発射するだけでなく対潜ヘリや対潜哨戒機など、航空機からの発射も可能。
現在の一般的なものでは50kt(約92.6km/h)以上で航行するものが主だが、モノによっては魚雷全体をキャビテーション(流体の圧力差により泡の発生と消滅を起こす現象)を意図的に起こして泡で包み水の抵抗を減らすことにより200kt(約370.4km/h)以上の速度で航行する途轍もない物まである。
アメリカのASROC、ロシアのSS-N-29のように短魚雷後部にロケットモーターを接続、空中を飛翔後に目標近くで着水して目標へと向かうものもある。
目標到達まですべて水中を航行する魚雷と違い、目標付近まで空中を飛翔するために短時間で目標位置まで到達可能、射程も長くなる。
過去には主翼を取り付けて航空機から投下する、滑空魚雷というものがイギリスやドイツなど各国で作られており、現在でも防空圏外からの攻撃を可能とするためにレイセオン社などで開発がされている。
100年進んだ概要
100年進んだ未来では、船乗りたるもの魚雷ごときでパニックに陥ってはいけないようである。しかもなぜか、1970年代には既に登場していた自動操舵装置も自動化船(※)も100年進んだ未来では無くなっているようで、船員が常に舵を取らなければならない。
原子力船船長:前方に、何か光ってるぞ!
原子力船船員:魚雷でしょう。 (本当は「灯台でしょう」の空耳)
注釈
自動操舵装置:電波航法装置により現在位置を調べながら航行すべき航路から逸れないように舵を自動で取る装置。岩礁などの障害物や船が混雑しているなど衝突や座礁の危険の高い海域は船員が舵を取る。
自動化船:航行時の操舵や出力調整、衝突回避をコンピュータにより制御する船。混雑している海域は船員が必要に応じてコンピュータに指示を出す。