もしかして:人間火力発電所
概要
火力発電所では、燃料(化学エネルギー)を燃焼させ、その時に出た熱(熱エネルギー)で水を沸騰させて水蒸気を生み出し、その水蒸気で蒸気タービンを回転させることで熱エネルギーを運動エネルギー、そしてさらにそれに連結された発電機(モーターと構造は同じ)で電気エネルギーに変換するという手順を踏んで発電を行っている。
使用される主な燃料は天然ガスや石炭、石油などがある。また、可燃ゴミを燃料にする廃棄物発電も存在する。
なお、火力発電所は石油などを海路で輸送するので海沿いに建設するのが一般だが、石炭を燃料にする場合は輸送効率の悪さもあってかつては炭鉱の近くに建設されていた。この場合は「山元発電」とも呼ばれている。
同じ方式の発電方法
「何かの熱を使って水を沸騰させてタービンを回して発電する」という発電方式は汽力発電と呼ばれ、同じ発電方式を使用している発電方法に地熱を使う地熱発電、核反応時の熱を使う原子力発電、太陽光熱を使う太陽熱発電がある。要は水を沸騰させられるだけの熱があればいいのである。
少し変わった火力発電所
内燃力発電所
燃料の燃焼で放出される化学エネルギーで内燃機関を回すことによる、「内燃力発電」の設備を持つ発電所のことを言う。
使用される内燃機関はディーゼルエンジンが主流だが、ガスエンジンやガスタービンを使用している発電所もある。
始動性が良く、需要調整が最も容易であるため、離島の電源や、発電所の非常用電源として設置されている。
コンバインドサイクル発電所
ガスタービンの排熱で汽力発電も行う、「コンバインドサイクル発電」の設備をもつ発電所のことを言う。他の発電方法と比べ熱効率が高く、ガスタービンであるため始動性も良い。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた小容量のユニットを複数設置し、3〜6台ずつグループとして運用するため、起動・停止や出力の変化が速い。これにより、系列あたりの出力は大容量でありながら効率の低下が少ない。
なぜ石油火力発電所を新設できないのか?
先ほど石油火力発電所は新設できなくなっていると書いたが、実は第二次石油危機の発生を受けて、1979年5月に行われた第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会において、「石炭利用拡大に関するIEA宣言」の採択が行われたのだが、この宣言には石油火力発電所の新設禁止が盛りこまれていたのである。
これによってそれ以降日本でも原則として石油(原油)火力発電所を新設することが出来なくなっている。