さて、今日のお客様は…
ある街のアパートで独り暮らしをしている冬木花衛(69)は、汚らわしい事が大嫌いだった。
ある日、冬木が電車に乗っていると何者かが玩具の手で女性に痴漢のいたずらをするという事件が起こり、女性が冬木を疑うと、「バッカモ~ン!誰がそんな不潔な所触るか!?」と怒鳴り、女性にクソジジイと呼び捨てにされた事にカッとなって取っ組み合いの喧嘩になりそうになったところを喪黒福造に仲裁される。
電車から降りた後、冬木は喪黒に喧嘩の仲裁をしてくれた事を感謝するが、いたずらの真犯人が喪黒である事を本人の口から聞くと当然のごとく腹を立てた。
喪黒は公園で冬木にあのいたずらは精神の救済の為だと言い、冬木に色々な痴漢道具を見せた。
勿論冬木は喪黒を追い払ったが、喪黒は痴漢道具を置いて帰ってしまった。それを後から来た青年がいたずらで使ってはいけないと思った冬木は、自分が持ち帰る事にした。
そんな時、いつも自分に優しい隣の女性が、冬木の財産が目当てだと痴漢道具の一つの聴診器で知る。
怒った冬木はその女性の働いている風俗店で喪黒の道具を使ってパンチラさせて仕返ししたが、女性は恥をかかなかったどころかサービスしてきたのであった。
それからの冬木は、寝ても覚めても下着が目の前にちらついてしまう様になり、挙句の果てに隣の女性のパンティを痴漢道具の一つのマジックハンドで盗んでしまい、それを冬木の家に家宅侵入していた喪黒に見られてしまった。
「あ~っ、わしは痴漢になったんじゃい!わしのバカ‼」
夜の公園で冬木と二人きりで話していた喪黒は、冬木のような高齢でそんな衝動を感じたという事は実に喜ばしい事だと言い、いっそのこと痴漢になりきる事を勧めるのであった。
すると二人の目と鼻の先の藪の中でアベックが、「静かな湖畔の森の陰から、男と女の声がする。いやーん、ばかーん、そこはだめよ!」な事を致していて、喪黒に勧められるがまま痴漢道具の一つのスコープで冬木はアベックがギッコンバッコンな事を致している光景を覗き、興奮しながら後ろを振り返ると喪黒に「ドーン!!!!」されるのであった。
後日、二人組の青年が、公園の藪の中でアベックがギッコンバッコンな事を致しているのを覗いていて、それを気付かれてしまって覗きに失敗しているところに冬木が忍者のような恰好をして現れ、二人組の青年をこっぴどくしごくのであった。そう、冬木は痴漢のプロフェッショナルとなったのだった。
その光景を喪黒が痴漢道具の一つのスコープで覗いていて、「オーホッホッホ、男は誰しも痴漢になる要素を持っているものです。痴漢道を究めるのもまた、人生の醍醐味と言えるでしょうなぁ。オーホッホッホ…」と喪黒がそう言いながら夜の街へと去って行くところで物語は幕を下ろす。
余談
- TVアニメ版(89~93年版)で冬木を演じているのは、『怪物くん』(カラーアニメ版)のドクターノオの声などで有名な野本礼三。
- 冬木がアベックがギッコンバッコンな事を致している光景を覗いている場面は、春画風に描かれている。
- 同アニメ版第SP話「湯けむり哀歌」でゲスト出演もしている。このSPでは元教師で、その話のお客様である落窪礼(46)の恩師である事が明かされ、彼の教え子達の話では若い頃はお堅いスパルタ教師だったそうだが、臼良学園の同窓会に招待してくれた教え子達の目の前でパンチラや帯回しといった『ハレンチ学園』のヒゲゴジラがやりそうな事を堂々とやらかして教え子達をドン引きさせた。ちなみに、彼の教え子として登場したのは、『たのもしい顔』の頼母雄介(41)、『愛妻写真』の加古忍(48)、『家の灯』の加江利宅内(46)、『月夜のオーキッド』の花畑駒太(49)、『OB夫婦-夫のケース-』の虫味一郎(41)、『単身赴任』の丹見一人(46)、『重役と窓際』の日眞賀星也(48)である。その他、『五月病』の課長の鬼山、『雪山惨歌』の編集長の鬼田も確認できる。