CV: 坂本真綾
「返して… わたしのお友達…」
概要
『カードキャプターさくら』の劇場版第2弾『封印されたカード』に登場する、53枚目のクロウカード。
英語名は「THE NOTHING」、漢字名は「無」。
ウェーブがかかった長髪の少女の姿をしており、羽をあしらった服と大きな髪飾りが特徴。
能力はその名の通り、ありとあらゆる物体を消し去ること。効果自体は「消(イレイズ)」と似ているが、対象のみを局所的に消す「消」に対して、こちらは黒い球体に包み込んだもの全てを消し去ってしまう(地面や建物が巻き込まれた場合、そこだけ抉り取られたような跡が残る)。何より後述する理由から「消」とはパワーが段違いである。
封印するためには、その時に最も魔力の強い者の「一番大切な想い」を引き換えにする必要がある。
なお、人間と会話できるカードの一枚でもある。
正体
魔術師クロウ・リードが創り出した最後のクロウカード。
他の52枚のカードが「プラス」の力を持つのに対し、このカードはそれに匹敵する「マイナス」の力を持つ(つまり、1枚で52枚分の魔力を有している)。その存在はカードの守護者であるケルベロスや月も知らなかった。
本来は中国の「陰と陽」の思想に基づき、「プラス」と「マイナス」のバランスを保つために創られたのだが、そのあまりにも強い力故に他のカードと隔離され、長い間クロウの屋敷の地下に封印されていた。しかし、他のカードが全てさくらカードに変わり、『封印されたカード』冒頭で屋敷が取り壊されたことから、完全に封印が解け発動してしまう。
こうした経緯からとても寂しがり屋な性格をしており、封印が解けて以降は屋敷の跡地に建設された遊園地内の時計塔を根城にし、ずっと離れ離れだった「お友達」(=他のクロウカード)を取り戻すために活動を始める。
最初のうちはさくらが気づかない間にカードを奪ったり、彼女の住む友枝町の一部分(ポストや橋など)を密かに消し去ったりしていたが、さくらが初めて遊園地を訪れた際に姿を現し、彼女の目の前でカードを奪った。
その後、さくらにこのカードに関する情報を電話で伝えていたエリオルに気づいたらしく、クロウの生まれ変わりであるエリオルの力を打ち破って電話線を消し去り、通話を遮断している。
終盤では、消し去る標的が建物や人間にまで及んでおり、その絶大な「マイナス」の力を見せつけている。他のカードはおろか、ケルベロスや月の力も全く通じなかった。
ただし、クロウが創った魔法以外の力は完全には無効化できないようで、小狼は護符による攻撃で多少なりとも怯ませることに成功している。
時計塔の中で全てのカードを奪うが、さくらは諦めていなかった。そんなさくらに対し、今までずっと孤独だった寂しさを吐露しながら「せっかくお友達が戻ったのになぜ邪魔するのか」と反発するが、逆に彼女から「相手を一方的に自分のものにしようとするのがお友達だなんて、そんなの違う!」と否定される。それに呼応するかのようにカードたちも離れていき、ついに泣き崩れてしまう。
その姿を見たさくらに「もうひとりぼっちじゃない」と優しく声をかけられ、封印されることを受け入れるのだった。
(なお、「光」と「闇」の2枚を同時にさくらカードに変換する際、自分の魔力だけでは変換できず、ケルベロスと月、そして小狼の力を借りてようやく成功したさくらであったが、この時は彼女の成長もあってか「無」の封印及び変換自体は自分の力だけで難なく行えていた)
しかし、さくらの魔力の消耗が激しかったため、封印の代価として小狼の「一番大切な想い」を消されそうになるが……
余談
ナッシングによる事件において、ファンの間ではクロウ・リードの不手際が原因なのではと見られている。
上記のように、効果や魔力などあらゆる面で物騒なカードである事、他のクロウカードから隔離させるがごとく一軒家の地中に埋めていたこと、そういった重大なことをケロちゃんやユエにも伝えていなかったこと等が主な理由とされている。