概要
修験道の開祖役小角は現在の香川県にある琴平山(象頭山)に登った時に、この神と出会ったという。金毘羅権現はインドで釈迦が説法を行った霊鷲山の守護神であり、象頭山とはこの山の別名でもある。
名前
名前の由来になっているのはクンビーラで、これはインド神話に登場する、水棲生物の姿をしたヴァーハナ(神々の騎獣)マカラの別名である。
十二神将の一人宮毘羅も同じ起源を持ち、十二神将のクンビーラも漢訳仏典で「金毘羅」と表記される事がある。
権現とは仏の化身としての神、という意味である。本地(本体)とされる尊格としては不動明王、十一面観音、毘沙門天がある。
三人の本地仏をもつ権現としては修験道では他に蔵王権現がある。
信仰
琴平山には全国の金刀比羅神社の総本宮、金刀比羅宮がある。神道においては大物主(琴平大神)、スサノオ、金山彦を祀る神社が神仏習合説の影響を受けて、祭神は金毘羅権現ともされたが、廃仏毀釈により仏教要素の排撃が行われると強制的に金毘羅要素が削り取られ、祭神は大物主に統一されてしまった。
金毘羅権現の本地とされる三尊格は廃仏毀釈前に金刀比羅宮に祀られていた神仏である。ちなみに十一面観音がメインで不動明王と毘沙門天が脇侍である。
仏教寺院でも金毘羅権現を祭る所はあるが同様に被害を受けている。
修験道のつながりからか、天狗を眷属とするといった属性もある。インド時代の水神としての性格も残しており、航行の守り神としても信仰される。
江戸時代には船を使う商人や船乗り達を介して、金毘羅権現信仰が全国に広まった。
上述したように金刀比羅宮では明治時代、政府によって強制的に仏教要素が排撃されてしまったが、のちにその塔頭であった普門院松尾寺(金毘羅参道の仲見世の脇道である琴平公園の隣地にある)がその寺名と燈明を受け継いで「仏としての金毘羅権現」を現存させている。(排撃された金刀比羅宮習合時の松尾寺は金光院松尾寺)
また、かつて江戸時代より金光院松尾寺と親交のあった徳島県三好市の箸蔵寺も金毘羅権現を祀り自ら「こんぴら奥の院」を称している。
なお、これらの寺は四国に在する事から双方とも真言宗の寺(日本における宗祖である空海が琴平の近隣地である善通寺の出身)であり、同宗門には金毘羅権現を表す真言も存在する。
一方で以上の事から金毘羅権現を祀る神社の中には、以上の事から境内に鐘楼を置き叶緒に鰐口を据え別棟に(弘法)大師堂を置くなど、真言宗系寺院の特徴を残す神社として存在している場合がある。
関連タグ
崇徳天皇(金刀比羅神社で合祀される)