CV:古谷徹(アニメ版)/(1998年ドラマ版)/(2012年ドラマ版)
概要
「GTO」の登場人物。
私立吉祥学苑の数学担当教師で鬼塚英吉の同僚。
人物
年齢 | 24歳(独身) |
---|---|
出身大学 | 東京大学卒 |
星座 | へびつかい座(本人談) |
血液型 | AB型 |
趣味 | 昆虫採集、ゲームプログラミング、勉強 |
幼い頃から高級官僚をめざしてエリート教育を受けるも、国家公務員試験に不合格(実は勅使川原家を嫌う官僚による差し金であった)となったため教師になる。
端正な風貌とは裏腹に病的にプライドが高く時折稚拙な思考や言動も見られた。
父と兄は共に大蔵省(現・財務省)勤務のエリートであり、本来は真面目で優しい性格だが、他愛の無い父親を始め、その兄と常に比較されてきたことが心に影を落とす。
表向きの性格は熱心で真面目、加えて教え方も丁寧で理性的と理想的な教育者だが、裏では冬月あずさに対して過激なストーカー行為を働き、部屋中に彼女の写真(中には合成写真も)がびっしりと貼ってある。
冬月が家に来る予定になると「脳下エンドルフィンが分泌される」と言って自分の興奮度を表現している。傍から見れば彼も一種の変質者であるが、袋田らと比べると常識的な理性があり、人前で露骨に変質行為をすることはない。
学苑で行われる全国統一模擬試験(東文社全国共通学力テスト。通称「東学」)は毎回生徒と共に受けており、毎回1位。それを鬼塚をクビにする材料に利用しようとしたが、学園一の秀才である3年4組の菊池はおろか、500点満点を取った鬼塚(桜井理事長の根回しによるもの)にも負けて3位になってしまったことを授業中に女子生徒からバカにされたことに激昂し、体罰を加えた上に怪我までさせてしまったため、停職処分を受けてしまう。
謹慎が解けた後、鬼塚に事故で肘鉄を食らわされた際に「大丈夫ですか!?テッシー先生!」と言われてしまった。そのことからなのか、読者・ファンの間でも「テッシー」「テッシー先生」という愛称で呼ばれることが多い。
復帰後の動向
謹慎が解けてもなお、鬼塚に対しての憎悪は消えることはなく再登場して早々にPC内に『鬼塚殺害計画』を書き込む描写があるなど精神状態は悪化の一途を辿っていた。
神崎の行方不明騒ぎが起きたの機に本格的に動き始め、手始めに鬼塚を恨んでいた内山田教頭をそそのかして彼に鬼塚をナイフで刺させる。だがその現場を冬月に目撃され、更には自身が内山田に発信させた怪文書の存在を怪しんで証拠を探していた冬月をとうとうスーツケースの中に詰め込んで拉致監禁を行うという暴挙に出てしまう。
神崎行方不明騒動が収まった後は冬月を自分の部屋に監禁し、そして自身は冬月の部屋で下着を漁ったり掃除をしたりと好き勝手な生活を続けていた。だがそこへ姉の失踪を怪しんだ冬月の妹・まことと鬼塚が部屋へと侵入したことで窮地に立たされることとなる。まことによって次々に自身のアリバイと隠蔽工作を論破されてしまい二人にこれまでストーカー行為をすべて知られてしまった。
暴走
しかしすべてがバレたことで自暴自棄になって鬼塚へと逆上してその場から逃走。そして通りかかった警察官から制服を奪い街中で破壊行動を起こす(コンビニでたむろする不良を暴行し、援交を持ち掛ける中年を暴行、更には駐車違反の車に至っては破壊した挙句に放火までしてしまった)。追いかけてきた鬼塚に銃を発砲して重傷を負わせ今度は冬月と桜井理事長、更には止めにきた神崎、菊池、藤吉までも人質に取り吉祥学園で立て籠もり事件を起こす。だがまたしても追いついてきた鬼塚と加勢しに駆けつけた冴島に追い詰められるが、事件を知って駆け付けた兄・武流から勅使河原家に起こった全ての事実を聞かされて更に絶望し、兄や理事長や冬月も含めたその場にいた者全員を“鬼塚”に見立て(作中では『勅使河原アイ』と表記され、全員服装はそのままで顔が鬼塚のものとなっていた)、隠し持っていたダイナマイトで全てを吹き飛ばそうとしたが、鬼塚に爆破を阻止されたことで武器もプライドも勅使河原の血も学歴もすべて失う。
結末
自分が背負っていた荷物を全て下ろしたことでようやく落ち着きを取り戻し、そしてなぜ自分が鬼塚を嫌っていたのかを理解したことで自分の過ちを悔いて自分自身を許せなくなったことから屋上から飛び降り自殺を図る。…が間一髪鬼塚に命を救われる。そして彼から『飛び降りる勇気があるなら死ぬ気で働いて金を稼いでみろ』『エリートからハズれても偉くなれる』と説得を受けて遂に鬼塚と和解を果たす。
その後勅使河原は警察へと足を運び教師もやめて学園も解雇されることとなった。そして武流に見送られる形で涙を流しながら警察に連行されていった。
その後、鬼塚が脳動脈瘤を破裂させ生死の境を彷徨った際は、刑務所の中から彼を心配する描写がある。
尚、アニメ版では最終話がストーリーが原作の途中までだった事もあってか、警察に逮捕されずに引きこもり程度で済んでいる。
家族
勅使河原武流(てしがわら たける)
優の兄。幼少時から文武の才能を発揮している上に絶対音感まで備わっている、「勅使河原家の誇り」とまで言われた完璧人間。また、人当たりがよく、人望もある。父同様に大蔵省に勤めていたが、不正ギリギリのプロジェクトに一枚噛んでいたため、それが公となり父共々大蔵省から追放となった。その後は中卒の社長が経営している情報サービス会社に勤めており、その社長からこき使われていることに学歴のプライドから当初は内心で腹を立てていたが、汗水流して働くうちに将来の目標が見え、同時に「自分たち兄弟は父の道具として育てられた」、「学歴の価値は人生の支えになってくれるほどのものではない」と悟った。
幼少時から弟の苦しみをだれよりも理解していたが、父の暴力から母を守るために弟までは助けることができず、今でもそのことに負い目を感じており、大蔵省から追放された後のことも5年間隠し続けていた。
弟が精神的に限界を迎え、籠城事件を起こした際には吉祥学園に出向き、勅使河原家に起こった真実を語る。その後、鬼塚の活躍により一段落した後、警察に連行される優に「これからは自分のために生きるんだぞ」「父さんのことは俺が何とかするから」と激励し、見送った。
勅使河原家の父親(仮称)
優・武流の父で元・大蔵省官僚。代々続く勅使河原家の家柄に誇りを持っているが、家族に対する愛情はなく、自分が偉くなることと、家系の名誉のために家族を道具としか見ていないなど、虚栄心が強く、幼稚なまでに自己愛の強い傲慢で下劣な性格をした人間。兄弟が生まれた時から「勉強しろ。そうすれば偉くなれる」と虐待に等しいエリート教育を施してきており、その才能を早くから発揮した長男の武流を寵愛し、それに劣る優を卑下していた。優を「(悪くてもテストの平均が)97点じゃないと意味がないんだよ!」、クラスでは優等生であるゆえにいじめを受け、その報復を行ったことで「き…貴様…よくも勅使河原の血に泥を~~」と平手打ちをし、更に優が武流に及ばない理由を妻のせいにしてDVを行うなど家族の気持ちを理解せず、自分自身のことしか頭になかった。
後年、あと一歩で次官という地位に在りつき、さらなる名誉のために不正ギリギリのプロジェクトに武流と共に踏み込んでいたために、そのことが公となった暁には当然大蔵省から武流共々トカゲの尻尾切り同然に追放された。以降、5年間そのショックで「自分はまだ大蔵省の官僚だ」と現実逃避し、出勤時間になると公園の噴水にて電源の入っていない電話にブツブツと話すなどボケ老人同然の末路を辿った。そのことを棚に上げて大蔵省をクビになって間もなく、スキャンダルまみれの勅使河原家を嫌う官僚の差し金により公務員試験に不合格になった優を「官僚になれなかったのはお前が初めてだ!」と罵倒した。
武流はこのことを「競争社会の犠牲者」と表現しており、父が「大蔵省は官僚の中の官僚だ」、「もう少しで偉くなってみせる」、と言い、「ずっと上しか見てこなかった」と語っていたが、それ故に家族や周囲の人間の気持ちを顧みずに地位・名誉・家柄という虚栄心に執着して暴走した結果、敗北の果てに(武流以外)誰からも手を差し伸べてもらえず孤立し、却って取り返しがつかなくなってしまったということだろう……。
かつて中学時代にいじめや放火などのトラウマを抱えていた大門美鈴が、鬼塚と出会わなかった場合の吉祥学苑元2年4組・現3年4組の生徒たちのIFを体現した大人であるのに対して、武流が官僚を追われて中卒の社長が経営する会社に再就職し、学歴というプライドを捨てて将来を見出し、また、優が父による虐待教育の影響とはいえ、唯我独尊による暴走の果てに鬼塚や武流たちに説得され、鬼塚を認めて和解しなければこうなってしまったかもしれないIFを体現した大人とも言える存在である。
関連項目
朝霧要…優と同じく、幼少時代から身勝手な父親による虐待に等しいエリート教育で性格が歪んだ優等生繋がりにして、容姿もよく似ている。こちらは父親のDVに苦しめられる一方でストレス発散のために末っ子を虐げる等、人間性が上原杏子の兄(上原雄一)に近い。また、優が冬月を拉致監禁するのに対し、こちらは逆に男色家の男に監禁され、性的虐待を受けた。
天使ヶ原桜…こちらも「てっしー」と呼ばれている、あだ名繋がり。