概要
「一騎当千」をコンセプトとして開発された特殊モビルスーツ「サーカス(Thou-Cus)」(サウザンド・カスタム)シリーズの1機に数えられるモビルスーツ。型式番号EMS-TC06は、機能統合機にして隊長機であるグレゴを除けば、最後に開発認可が下りた事を示す。
パイロットはラーザブ。
電磁場、重力、流体抵抗の全てを無視して直進するメガ粒子砲と、その防御手段として開発、発展したビームシールドの運用に特化した宇宙世紀150年代の死角を突く事をコンセプトとして開発された、重量級モビルスーツ。
小型ミサイルを大量に搭載した機動ミサイル砲台という赴きの機体であり、その外観は土偶に喩えられる。
搭載されているミサイルは、遠隔誘導装置などのシステムは内蔵されておらず(ミノフスキー粒子散布下では特殊な思考制御でなければ、極近距離を除いて誘導ミサイルは機能しない)、単純な構造を利用して極限まで小型化している。このため、威力面では数発を直撃させられたとしてもMSの撃墜に至らない程に低いが、大量に機体内部に搭載可能となっている。更に、この小型ミサイルの中には、一定の割合で軌道を変え、反転や旋回運動を行うものが含まれている。
これは、上述の通りあらゆる環境下において直進するビーム兵器に対する防御に特化した同世代の機体が、曲線を描くように飛翔する兵器に対して脆弱であるという結論に至ったが故の装備であり、大量に射出されたミサイル群から身を守りつつ、ランダムに襲い掛かる屈曲ミサイルを回避するのは至難の業である。
更に、多くのMSは背面部にメインスラスターを有する設計となっているため、屈曲ミサイルが被弾するのはこの部位となる可能性が高く、これはつまり敵機の機動力の大部分を奪う事を意味する。
この機動力を失った敵機を、腕部に搭載されたビームサーベルで確実に撃墜するのが、バンゾの基本戦術となる。
ただし、ミサイルは放射状に射出されるため、敵機が遠距離に位置している場合は、どれほど大量のミサイルをばら撒いても、宇宙空間という果ての無い空間においては、「隙間」が広く生じてしまう事、撃破のためには一機毎に推進剤を消費しながら接近した上でビームサーベルで斬り付けなければならない事から、この戦術が機能するのは中距離以近のみとなる。
加えてミサイルの一部が自機にも命中することを想定し、バンゾは装甲が厚く作られているために、その体形は格闘戦に不利な短腕短足の独特なフォルムとなっている上、質量が大きい=推進剤の消費量速度が速く、加えてマニピュレーターが規格に従っていないため自機はビームライフルなどの射撃兵装を運用不可能であることから、本質的にはビームライフルを装備した味方機との連携が理想となる。
(しかしながら、敵対勢力が「一方向からのみ攻めてくる」という間抜けな戦術を採る状況は、ほぼ無いため、必然、バンゾは360度全周にミサイルをばら撒かねばならず、それは味方機との連携が不可能となる事を意味する。)
弾倉の切り替えにより弾種の切り替えが可能な点は、本機(のみならずサーカスシリーズ各機)としては貴重な、運用自由度の高い設計である。
この他、サウザンドカスタム共通の特徴として、頭部の装甲をスライドする事で放熱する機能を備えているが、これはF91やF97といった、頭部にバイオ・コンピューターを備えた機体が、熱に弱いコンピューターを集中的に強制冷却するためのギミックであるため、ファントムにおいてバイオ・コンピューターの起動に失敗した(=他のシリーズ機にはバイオ・コンピューターが採用されていない可能性が高い)各機が、何故この機能を採用したのかは不明である。
武装
四連装マイクロミサイルランチャー
胴体部に4基、固定配置されたミサイルランチャー。これにより本機は4×4=16発のマイクロミサイルを同時発射可能となっている。
宙間戦闘においては、自機を縦横無尽に回転させながらミサイルを乱射する「ミサイルストーム」によって、敵部隊を相手取る事が可能。
ただし重力下においては、本機はミノフスキー・エフェクトによる飛行機能を有していないため、高空から攻撃を受けた場合は、事実上有効な反撃手段を持たない。
ビームサーベル
特殊な形状をしたマニピュレーターの裏側に配されたビームサーベル。片方のマニピュレーターで反対側のマニピュレーターを引き抜いて使用する。
マイクロミサイルに被弾して機動力を失った敵機に、とどめを刺す。
ビームシールド
宇宙世紀0120年代以降の、一般的なMSの防御兵装。