概要
劇中のアメリカ・ニューヨーク市街で、魔法使い(とりわけ魔女)や魔法の存在の根絶を謳う非魔法族組織「新セーレム救世軍」の指導者メアリー・ルー・ベアボーンの養子の一人。同じく養子である チャスティティ・ベアボーンやモデスティ・ベアボーンと共に、教会の跡地を家として共に暮らしている。
養母であるメアリーは非常に厳格な性格であり、自分が定めたルール(特に魔法が絡んだ事)を守らない場合は虐待的な体罰を加えており、ベアボーン家の養子三人の中ではクリーデンスが罰を受ける事が多かったという。(チャスティティは養母に従順且つ協力的であり、反対にモデスティは母親への不服従を隠していた為、必然的にクリーデンスに矛先が向きやすかったのかもしれない)
普段は救世軍のリーダーである母親の活動を手伝い、集会場や広場、路頭でビラを配ったりなどをしている。その一方で、自分に接触してきたある魔法使いからの依頼で、進捗は芳しくないものの母親の目を気にしつつ捜索をしている。
性格
自らの全てを抑圧しながらの生活は「養母に反論は許されない」という生き方を彼に敷き、故に普段は表立って感情を表す事を口にもせず非常に大人しい少年として成長していた。しかし、その内面は非常に傷つきやすい心も抱えていた上に一度吐露すれば激情のままに涙を流す一幕も見られた。
「反論を許さない」というのは、ハリー・ポッターシリーズの主人公・ハリーがダーズリー家で平穏無事に過ごす上でのルールの一つとしてあげられている為、親を既に亡くしている・反魔法思想の家庭環境で育ったという点も相まって、クリーデンスとハリーが似ていると示唆する声もある。
活躍
劇中ではニューヨークの銀行前の広場で母親と共に活動に参加。その時点では主要人物達との関係は見られなかったものの、魔法界の騒動と並行して彼と救世軍の一連の様子が展開される。救世軍の活動を広めるために新聞界の大物であるヘンリー・ショー・シニアへの面会を取り付けたものの、彼からは見向きもされなかったうえに、息子のヘンリー・ショー・ジュニア上院議員から「変人」と中傷される。
その後、夜のビラ配りを一人で行っていた彼の元へMACUSAの闇祓いにして局長であるパーシバル・グレイブスがやってくる。以前から接触を図ってきた彼から「ある子供を探し出せば、魔法界に入る手助けをして助けてやる」と吹き込まれていた彼は、救世軍の手伝いをする浮浪児達の中から見極めようと捜索をしていた。だが、その秘密裏の行動はメアリーの逆鱗に事あるごとに触れ、虐待の日々は続いた。
この悲惨な境遇の中で、自身に「魔法の素質がある」「未来に私と共に働く姿を視た」「一緒に実現しよう」等の言葉をかけて彼に接触してきたグレイブスの存在はクリーデンスにとって出会って間もない赤の他人であろうとも、一番信頼できる人物として認識されていた。
…それが、本当は彼自身を見ていなかったものだとしても。
余談
・Pixivタグにおいては、本名ではなくクリーデンス単体でついている事が多い。
・キャストのエズラ・ミラーは元々ハリー・ポッターシリーズの大ファンであり、スピンオフである今作シリーズにおいてキャスティングされた事を「ホグワーツから入学の手紙が届いたみたいだったよ!」と喜ぶほどの熱愛ぶりをインタビューで見せている。彼の熱はそれだけに留まらず、キャスティングが決まった時に真っ先に連絡をとったのが嘗てのハーマイオニー役のエマ・ワトソンであり、彼女からも激励の言葉を貰ったと語っている。
今作では彼は魔法を使う立場の役では無かったのだが、願わくば今後の出演で彼の出番に魔法を使う描写があればと願わずにはいられない。実際、Pixivにおいてはクリーデンスがもしも魔法界に入っていたらというif設定の作品も多々見られる。
※以降、ネタバレ注意
真実
実は物語以前にメアリーの虐待に襲われている所を、当時は闇祓いの調査部の一人として救世軍を追っていたティナに助けられていた事が判明する。ティナが闇祓いを降格された後は、立場が魔法使いな事もあり彼女自身が接触を測れなくなった事もあって疎遠だったが、終盤の彼女の呼びかけに反応を示した辺りからするとクリーデンスの中では記憶にひっかかるものがあったのかもしれない。
そんな彼自身が本格的に魔法界に関わるシーンが見られるのは物語の後半からである。魔法界側でニュートやティナが語った闇の力『オブスキュリアル』。実はグレイブスが探していたのはこの力を持つ「子供」だったのだが、実際はクリーデンス自身がその抑圧された力を持つ宿主たる人物だった。メアリーが「お前の母親は魔女だった」と語っていた事もあり、クリーデンス自身が何処まで自分の血筋や家系を理解していたかは定かでないにしろ、彼自身は魔法族の少年であった。
ニュートは「本来なら十歳以上は生きられないとされているオブスキュリアルの宿主が生きているのは一重に彼の力が強かったから」と発言しているが、これが潜在的に魔力が強いという事なのか、街一つを大混乱に陥れて破壊するだけの力を何年も抑え込んできた彼の精神力・生命力が強いという事かは不明。しかしどちらにせよ、日々母親の虐待や周囲の誹謗中傷の視線や発言、碌に味方のいない環境は彼を追い詰め、抑えきれない力は徐々にニューヨークの街へ無差別に被害を及ぼしていき、さらにはクリーデンスの精神状況とも共鳴する様になって長年自分を虐待してきた養母メアリーや自分を嘲ったショー議員への攻撃・殺害するに至った。
そして、漸く救いの手を差し伸べてもらえると思っていた相手が自分を「用済み」だと告げた事が、クリーデンスの怒りや悲しみといった様々な感情を伴い、本格的なオブスキュリアルの暴走に至った。
一度はニュートやティナの呼びかけに鎮静化を見せたクリーデンスだったが、魔法界の存在が非魔法界に大々的に知られる事を何よりも恐れるMACUSAの方針で、闇祓い達による一斉攻撃でオブスキュリアルは爆散。当然、宿主として一体化していたクリーデンスも絶叫を迸らせながら消えてしまった。
第2作「黒い魔法使いの誕生」
上記のようにオブスキュリアルと運命を共にしたかと思われた彼だが、散り散りになったオブスキュリアルの僅かな欠片が漂い抜け出していくのを、ニュートのみが目撃している。
そしてオブスキュリアルから人間の姿に戻り、自由の身となったクリーデンスは自身の出自を探るため、ある移動サーカス団に入ってフランスへと渡る。その最中でサーカスの花形スターであるナギニというマレディクタスの女性と知り合い、交流するようになる。