首相
しゅしょう
概要
政府における首脳または首脳の補佐を行う役職であり、大半の国では議会によって選出される。名目上は国王や大統領などの国家元首に次ぐNo.2の役職として設置され、元首の補佐を務める。
今日では議院内閣制の政体を取る国家では元首を儀礼的な行為を行う国家の象徴とし、首相が実際の政務を取り仕切る場合が多い。例を取ると元首が世襲の場合はイギリスやスペイン、元首が選挙で選ばれるものでもドイツやオーストリアなどがある。
他方、ロシアのような半大統領制国家ではあくまで大統領の補佐の役割に留まるほか、フランスでは大統領は立法と外交、行政に相応な権力を持つことを許されるが、大統領に任命された首相にも内政を担当する権力を持つことが認められている。また、韓国では大統領に任命された首相も単なる閣僚の一人にすぎず、大統領の意向によって解任されることも多い。アメリカのような国家元首に強力な実務権限が与えられる国家ではそもそも設置されないなどの違いが見られる。
ミャンマーの国家顧問など、首相に相当する機能を持つ官職を他の名称で表している国もある。
宰相と呼ばれることもあるが、この二つは同義ではない。宰相は元首に仕える大臣の首席であり、政治体制とは関係なく使える言葉であるが、そもそも首相とは内閣すなわち「主要閣僚をメンバーとする小委員会」を主催する権限を持つ大臣を意味する(故に議会が機能していない非民主主義国でも首相は一応存在しうる)。それ以前の政治体制では各々の閣僚が元首に仕えていたため、第一の臣たる宰相であっても、他の閣僚を必ずしも従わせることはできなかった。しかし内閣の主宰者である首相の場合は、仮に閣内不一致が生じた場合でも反対する閣僚を罷免したり解散総選挙で国民の民意を背景に政策を押し通したり(負ければ元も子もないが)することが可能である(政策の実現が困難で総辞職に追い込まれる場合もあるが)。
イギリス
ジョージ1世(ゲオルグ1世)治世下の1721年にロバート・ウォルポール第一大蔵卿が、もともとドイツ語主体の王に変わり、政務を取り仕切る権限を得たことかは始まる。
これが議院内閣制の元祖だと言われる。
有名な首相
実在
- オットー・フォン・ビスマルク/ドイツ統一に奮闘したプロイセンの首相で通称"鉄血宰相"と呼ばれた
- 伊藤博文/日本の初代首相
- ヨシフ・スターリン/ソ連の首相兼最高指導者
- サー・ウィンストン・チャーチル/第二次世界大戦期のイギリス首相
- マーガレット・サッチャー/冷戦期のイギリス首相で通称"鉄の女"と呼ばれた