アニメ業界とは、アニメ制作にかかわる企業間における社会観である。
概説
商用アニメーションの制作にかかわる業界全体を指す言葉。
業界と付くように、この界隈にも独自の社会形態や常識が通用している。またそのような社会観全体を指してこう呼ばれる。
業界に含まれるもの
アニメ制作会社、放送権を有する放送局各社、アニメ映画の放映権を有する映画業界、声優及び声優事務所、おもちゃ企業並びにフィギュアやグッズをはじめとするホビー業界、アニメソングや番組内BGMを手掛ける音楽業界の一部、アニメ作品を広告塔に起用する民間企業各社……等々。
その裾野は非常に幅広く、一概に業界と言ってもそれに一片でも携わるものまで含めれば広大である。
この中で純粋にアニメ業界と指されるのは、主にアニメ制作会社・声優事務所・ホビー業界の三ヵ所である。
アニメソングに携わる音楽業界も、アニメソングのプロデュースを主要とする企業の登場からアニソン業界と別記され、アニメ業界に含まれることがある。
細菌では特撮作品業界も、ここに一絡げにされることがある。
業界の成立
アニメ業界はテレビアニメの放送を皮切りに形成された。
それまでは映画業界や放送業界の一区画に過ぎない小さなものだったが、『鉄腕アトム』の大ヒットを皮切りに放送局各社がテレビアニメの制作を開始。
業界の資金源を、テレビ業界の一部でもある関係からスポンサー企業からの後援に頼ることになる。
その後しばらくは、あまり注目されることのない業界だったが、1990年代前後からのオタク文化の興隆から、徐々に業界全体への注目も高まっていった。
2000年代からの声優ブームにより、声優を通じたアニメ業界の実態の見聞が流布するようになり、業界全体の実態に対する世間の注目も集まり始める。
同時にアニメ文化全体の地位向上も手伝い、アニメ業界での活躍を目指す若者が増加する傾向も見られる。
闇
業界全体が大規模なブラック企業であることは、すでに周知の事実となっている。
この問題の根幹は、アニメの収益形態がテレビ業界に倣ってスポンサー企業頼みで脆弱である部分が非常に大きい。
このためアニメ制作会社の直接収益はビデオソフトの売上をはじめとするごく一部のみであり、スポンサー企業からの還元収益や、タイアップによる著作権での収益は微々たるものだが重要な位置を占める。
同時に「安い・早い・質が良い」という困難な条件を、まるで食品業界のような気安さで無茶振りを押し付けられるため、その無茶を人件費の削減で賄う自転車操業が業界全体の悪習として染みついている。
また業界の地位向上があったとはいえ、まだまだアニメ産業への「子供騙し」「隙間産業」といったマイナスイメージを拭いきれておらず、業界全体の発言権は弱いままである。
これらが巡り巡って業界のブラック化を常態化させており、一部関係者から「既に崩壊は始まっている」と危機感を募らせる警告も発せられている。