先の天京戦争で死亡した北岡隆太と同じく、今回も未来を期待された若手・宇佐美が犠牲になったこと、また羽王戦争の大嶽徳史ら旧世代の関西極道と同じく、神城組および神奈川極道たちも東京による侵攻被害の歴史を重ね「東京憎し」の精神性が根付いていることなど、今回の戦争には、天羽組が過去経験した2つの戦争に意識したような要素が多くみられる。

一方で、当時の組長日下孝次郎と当初より組織理念に亀裂が存在した(現組長五十嵐幸光含む)京極組の仁義派たち、大嶽と同じ被害者ながら、過去の怨恨を現世代に継がせ続ける風習におもうところがあった組長三國貞治ら天王寺組本隊と、勢力内にも戦争継続に消極的な派閥が存在した。

しかしその過去の敵対組織と違い、神奈川の東京極道による被害は記憶に新しく、神城組内部も当時の東京追い出し戦線に立った組員が殆どであり、今回の戦争でも満場一致で天羽組との全面攻撃をとる姿勢をみせ、上述の長門を天羽組が仕留めたことで益々過激化する事に。

長門を殺害した仇敵である青山と飯豊、そして指示を下した天羽に報復するため、神城組武闘派による東京侵攻が開始されることになった。

比較

共通点

天羽組は組員の派遣、神城組は手を差し伸べたいと望むなど、共に家入組ひいては閏間地区の事を案じている。
上層部から末端まで両組織共に任侠を重んじており、カタギに粉かける仁義外れを許すことをせず、粛清している。
どちらもカタギは基本的に守る対象。サツ以上にカタギから強い信頼を寄せられている。
半グレの扱いは容赦なく、シマ荒らしを防ぐため徹底排除している。

相違点

天羽組

人員: 少数精鋭だが小峠以上のクラスの全員が戦力は一級品。
構成員の人間性: かつては山本・沼田・坂元のような過激派、村田聡一や橘のような外道、尾崎隆雄や南田のような裏切り者もいたが、現在は外道構成員は一人もおらず、全員が任侠を重んじている。また、犠牲となった宇佐美はその精神性を実直な性格を以て真っ当に、或いは兄貴分以上に体現する形で受け継いで自分なりに洗練していた為、多くの兄貴分等から愛され任侠派極道としてのキャリアを期待されていた事も戦争勃発と士気向上に後押している。
京極組との関係: かつては「下郎の保護区」と揶揄されるほど仁義外れが幅を利かせていたこともあり険悪だった。しかし、天京戦争で日下孝次郎や桑田裕二などが死亡したことで仁義外れがほとんど一掃(※一部残党は除く)され、仁義を重んじる組に戻ったため関係は良化した。しかし北岡隆太を殺した一条康明への心情は厳しく、当の本人は戦争を起こした責任感から天羽組に謝罪を望んでいるものの、面会を謝絶している。
獅子王組との関係: 互いの前身である田頭組と河内組の時代から散発的に抗争を繰り広げており、桐野や布袋のようなマフィアもどきもいた。しかし、内部戦争を経て眉済俊之が組長に就任してからは運動会で対戦したり外道征伐で共闘する程度には関係が良化されている。
伊集院茂夫との関係: 須永陽咲也や小峠を始めとする天羽組の構成員殆どと面識がある。因みに天羽からも「さん」付けで呼ばれている。又、村田の身柄を巡って和中と伊集院が激突した為、村田の粛清後は組長命令で「たとえ組の粛清対象でも伊集院の標的は譲渡する」ことが通例となっている。
周辺のマフィアとの関係:現在は交戦していないが、天羽組のシマに近接した場所に拠点を置く羅威刃と裏神に野田一らの東京残留組は警戒している。※但し、現在裏神はMCの間で勃発している麻薬戦争が激化している事、羅威刃は2024年10月時点でも、未だ勢力の立て直しが終わっていない為、交戦する可能性は極めて低い。因みに羅威刃の副将秋元は『潰し合えば、ラッキー』と言う事で介入はせず、天城戦争、麻薬戦争にて各々の組織が共倒れする事を望んでいる。又、現トップの東雲は自分達への注意が鈍くなっている状況を利用して戦力増強に力を入れている
海外マフィアとの関係
マッド・カルテル:メキシコに本部を置く巨大麻薬組織で、天京戦争時は協力者だった日下が小林幸真にカルテルの護衛諸共殺され、羽王戦争最終盤でもカルテルの息が掛かった丸高組の構成員を殺害されるなどの因縁はあるが、ＭＣのボスは裏神の殲滅と香坂の殺害を最優先事項にしている為、激突する可能性低い。※しかしMCは麻薬戦争と並行しながらヤクの売買を行っている為、警戒対象になっている。
ナックル・アイ:タイに本部を置く巨大マフィアでこちらは人身売買をメインとしている。天京戦争が起きる１ヶ月前に、空龍街から拉致した子供の腕を切り落とし売り飛ばしていた事が、現地のスカル・ビット支部を訪れた小峠と和中にバレてしまい、激怒した和中にスカル・支部を壊滅させられてしまう。これ以降は目立った動きはなかったが、2年後に御堂鋼作の協力で日本に新出した為、現地支部壊滅の一件から天羽組(特に和中)への報復を目論んでいると見られ、MCと同様警戒対象に可能性がある。
組織体としての弱点: 組自体が中小的な規模であるために人員が少ない。

神城組

人員: 詳細は完全に明らかになっていないが、武闘派構成員の実力は一級品。
構成員の人間性: 基本的に全員が任侠を重んじるものの、東京を始めとする他地区と仲良くしようとする横浜の極道組織には強烈な怒りを向けている。
京獅子連合との関係: 現時点で関係はない。しかし、神城組の排他性や東京極道そのものへの反感もあり思わぬところで交戦する可能性はある。
周辺のマフィアとの関係: 同県藤沢市に拠点を置く凱娃とは1年以上交戦状態にあり、天羽組との二正面作戦を強いられている。
海外マフィアとの関係:今のところなし。
伊集院茂夫との関係: 組長である神城義信と護衛の百田吾郎、幹部である長門碧・市合麟太郎と客人の和泉錦之助と接点がある。邂逅こそしていないが安芸直治・広瀬大聖もシリーズに登場している。
組織体としての弱点: 横浜と手を取り合おうとしない神奈川の他極道組織にはイビりと言っても差し支えないほどに高圧的かつ横柄であるが故、横浜に関係しない組織との協力関係は殆ど当てにしたがらない排他性が欠点と言える。実際、長門が家入組へ再三に渡って余計に圧をかけまくったことも天羽組との深き因縁が生まれた一因になっている。

経緯

→ 天城戦争まとめを参照。

この戦争で負傷した構成員

天羽組

和中蒼一郎

戦闘の最中、和泉に奇襲される。致命傷では無いものの背中を深々と斬られた。

矢部光晴

市合・広瀬との激闘で全身を傷だらけにする。全て深くは無いため、戦闘の続行は可能。

神城組

小峠と戦った舎弟2名

2人とも死なない程度にボコボコにされた。

巻田組攻略に参加した舎弟2名

片方は腕を銃で撃たれ、もう片方は飛び蹴りを喰らい負傷。

長門の手下数名

飯豊に車で追突されてクラッシュし、気絶した。

この戦争で戦闘不能になった構成員

天羽組

青山琉己

宇佐美を殺した怨敵の長門を殺害するべく張り込みをしていたが、長門に気づかれ手榴弾で車を爆破され車から吹き飛ばされた挙句に頭から激突し重傷を負う。

その後長門を追った飯豊を助けるべく走って追いかけ、飯豊が長門に敗れた所で追い付き長門と戦闘。最初は逆技と回避に長けた長門に追い込まれるも、最後は自慢の膂力を活かしたラリアットで戦闘に終止符を打つ。そして宇佐美の仇を討ちたいと懇願する飯豊に引導を譲った。

負傷状態は主に車外から放り出された時の頭部強打、指二本と右腕を長門の逆技により骨折させられ、その他出血死寸前までナイフで切り刻まれた裂傷。

飯豊朔太郎

怨敵の長門を張り込みの末に見つけるも､裏を突かれ逆に負傷｡

が、その状態になりながら､宇佐美の仇を討たんばかりの気概と気迫､奇策で応戦するも､地力の差を覆す事は叶わずに両手指をへし折られ挙句に胸を深く斬られて戦闘不能となってしまう｡

負傷状態は地力の差から青山より酷く、一時は生命が危ぶまれるも宇佐美の仇を取る事(＝長門と相打ちの形に持ち込まない事、つまり長門を下した上で生き残る事)が錨となり一命をとりとめた。

工藤亘清

神城組の市合麟太郎と広瀬大聖の襲撃の際､闇からぬるりと出てきた和泉錦之助に和中が斬られ感覚が鈍っているのに気付いた工藤は和中を守るべく和泉にかかって行く。

が、流石に工藤が敵う相手ではなく反撃として切り裂かれた｡幸いにも和中が投げた苦無によって致命傷は回避するも、予断を許さない状況｡

神城組

広瀬大聖

投げ込まれた手榴弾への対応が遅れた木田を救出した際、退避が遅れて吹き飛ばされた上に崖の下へと転がり落ちる。

が、何とそこからボロボロになりながらも和中と交戦している市合へと加勢。

天羽組も矢部が合流し二人を相手取った結果、和中の日本刀での裂傷と矢部の殺人空手を何度も叩き込まれる。

それでも最後まで戦闘態勢を崩さず最後は歩いて帰り、治療しても流石に戦線離脱状態だが木田よりも生命に障りはない模様。

下田

冷静さを失い銃撃した柴原の銃弾が被弾してしまい倒れ､死んだかに思われたが重要な臓器をすり抜けていたことによってなんとか息を吹き返し闇医者に運ばれた。

木田

ダイナマイトの投擲で武闘派メンバーをサポートしようとするも、焦りによるミスで逆に和泉への攻撃として利用させられ、自失している所を茂木の射撃によって胴体を貫かれる。

この負傷により市合は東京征伐を断念し病院へと運び込まれる。

この戦争で犠牲になった構成員

天羽組

宇佐美純平

家入を守るためだったとはいえ早撃ちで敵の構成員の山井を図らずとも殺してしまい長門の怒りを買ってしまう｡必死の抵抗をするも戦力差がありすぎたため長門に体を貫かれ致命傷を負う｡最期は兄貴達に何も返せなかったことを謝罪し､その命を散らした。

神城組

山井充

宇佐美が防衛のために撃った早打ちが脳天を捕らえ死亡した。

長門碧

青山と飯豊に張り込まれるが、恩人である佐伯の助力で逆に不意打ちをかけた後､飯豊との戦闘に発展する｡

圧倒的な力の差でねじ伏せるも､飯豊に粘られたせいで青山に追い付かれ継戦、青山も驚異的な回避能力と関節技で追い込んでいく。

が、青山の人智を超えたようなパワーとスピード､そしてメンタリティーの前に逆転を許してしまい､渾身のラリアットをモロに食らって後頭部から落ちて頭蓋骨を骨折し致命傷になってしまう｡

完全に動けなくなったところで､まだ動けた飯豊によってドスで深々と突き刺されてしまう｡

そして､神城組の仲間達ともっと過ごしたかった願いや死を受け入れる思いを抱きつつも､青山と飯豊に『神城組は怒り狂うぜ』と戦争の激化を予言し生涯を終えた。

戦績

(天羽組&家入組&協力組織 × 神城組)

・宇佐美&家入&柴原(全員敗死) × 長門&神田&下田&山井(勝、山井は殉職)

・小峠(勝) × 舎弟2名(敗)

・伊藤組の構成員達(敗、杉下は敗死) × 市合＆安芸(勝)

・立川(敗死) × 広瀬(勝)

・小峠&矢部&巻田組の構成員2名(分) × 広瀬&安芸&和泉&舎弟2名(分)

・飯豊&青山(勝)× 長門&舎弟2名(敗、長門は敗死)

・和中&矢部&工藤&茂木(分) × 市合&広瀬&和泉&神田&木田(分)

・香月(敗)×名波(勝)

・小峠(勝)×名波(敗)

現在の損害

余談

大義名分

これまでの天羽組における戦争の大義名分では、京極組の5代目組長だった日下孝次郎が組に内緒で麻薬組織のマッド・カルテル日本支部(※のちの裏神の元になった香坂慎太郎率いるチームではなくて城ヶ崎賢志や高城蓮太郎らに滅ぼされた前のチーム)とヤクの取引を締結している時に、当時天羽組と取引していたブラジルマフィアが(※交渉の窓口だった北岡の英語力のミスもあるが)京極組のシマである黒焉街でヤクの売買をしまい、対処に動いた一条と久我がマフィアを尋問した際、彼らが北岡の名前を出してしまい、それを知った日下が私腹を横取りされたと誤解し、『天羽組の北岡がシマ荒らしをしている』と京極組の全構成員にデマを流して一条に北岡を殺害させた事で勃発した天京戦争と、天王寺組の若頭だった大嶽徳史が関西極道の恐怖を関東極道に染み込ませる為に殺し屋のジョンとダンを使って野田一を闇討ちして重傷を負わせた事によって勃発した羽王戦争の二つの戦争において構成員が襲撃を受けて死亡、重症を負った事で天羽組には少なくとも戦争する大義名分があった。

一方で今回の天城戦争においては（一応、家入組とも真艫に話し合おうとせず家入を殺害しようと動いた神城組にも非はあるが）宇佐美が神城組の山井を不可抗力とはいえ殺害してしまい、神城組に大義名分を与えてしまった事から天羽組が初めて戦争の引き金となってしまう相違点がある。一方で、天羽が言ったようにそもそも先に手を出したがどこからを指しているかその定義が現時点であやふやである点を留意する必要がある。

質問状について

2024年5月15日の動画で宇佐美・家入・柴原の訃報を知った天羽が神城組の出方を確かめる為に神城組長の神城義信に質問状をバイク便で送り、神城が質問状に記載された天羽組の電話番号に電話して応対している。

これは羽王戦争勃発前、天羽組が野田襲撃の犯人を特定できずに四苦八苦していた頃、小峠が何か手掛かりがないかと、天羽組御用達の情報屋伍代に情報を尋ねた際に、伍代から天王寺組が抗争の際に行うあるやり口を聞いた為、小峠の報告を受けた天羽が天王寺組の真意を確かめるべく、当時、村雨町に支部を置いていた天王寺組村雨町支部に質問状を送付。後日に、話し合いの場を設けられ、天羽が護衛として小峠と和中を連れて村雨町支部に赴いた時に、村雨町支部長だった錦野と口論の末、錦野の部下達が正当防衛と称して、天羽らに銃を向け、それを防いだ和中が錦野を含めた構成員達を殺害し、村雨町支部は壊滅。その結果、羽王戦争を勃発させてしまった反省から、今回の質問状に電話番号を記載したのは羽王戦争の教訓が影響していると思われる。

考察

この戦争の展開について

天羽組は当初の目的である長門の首を挙げで宇佐美・家入・柴原の仇を取る事に成功し、天城戦争は一つの分岐点を迎えた。

しかし長門を討たれた神城組の面々は哀しみ怒り狂った。その後、天羽組から手打ちを申し込まれても神城は断固拒否し、青山・飯豊・天羽の殺害を組員達に命令した。当然、天羽組側も戦争激化は予想しており、選抜隊である小峠・矢部・和中は横浜に残る事になり、天城戦争は新たなステージに移行した。

又、真田遼亮が率いる藤沢市の半グレ組織「凱娃」、戦争が本格的に勃発する前に野田が触れた鎌倉市の武闘派の極道組織「隼瀬組」の動向次第ではさらに混沌する可能性が高い。

展開の反響

視聴者からは今回の戦争について賛否両論となっており、コメント欄内外で「誰が悪いか」といった議論が多く交わされている。この戦争の展開や関係性は今までよりも複雑な部分があり、過剰な議論が常日頃から繰り返されている。中には「基本的に敵が分かりやすい悪者である京極組シリーズ等のほうが爽快感があって面白い」といった他シリーズを再評価するコメントも上がっている。

一定数の視聴者からは(一概に善悪で割り切れない)天城戦争の複雑さがむしろ好評を得ており、「議論の荒れ具合もまた、この作品の完成度を表しているのではないか」といった指摘もあるが、一部には原作者の雄燗を首め脚本家の書き手としての実力を疑う声もあり、「開き直ってるだけだろ」「ライブ感戦争を書き続けてきた作品の末路」とまで言われている。

また、獅子王組の内部戦争やEL戦争がそうであったように、「お互いの信念や理屈の違いから対立する」という構図から、最終的に仁義もへったくれもない行動をどちらかが起こし勧善懲悪的な構図に変化するという流れを危惧するコメントも多い。こういった展開は視聴者からは「善悪の判断材料を恣意的に偏らせる行為」としてあまり良い評価は得ていないため、今後このような展開になった場合否定的な意見が多くなる可能性がある。

なお、「誰が悪いか」の過剰な議論から派生し、作中のキャラクターや集団のみならず「自分が悪いと思っている側を正しいと思っている人に対してレッテルを貼り誹謗中傷する」という問題も生じている。

当然ながらこのような発言は作品・展開への批評とは言い難く、不特定多数の人を傷つける可能性のあるもののため注意が必要である。

見かけた場合は反応せずに通報するなどの対応を取るのが望ましい。

ほか、シンプルに雛形通りのいつもの展開でつまらないという意見も…

戦争終結に向けての考察

現状は神城組が徹底抗戦の立場を取っているため終結が困難なことが予測されている。

天城戦争の終結には東京と横浜の因縁の払拭並びに両組織間の相互理解もしくは許し合いが必須条件になると考えられ、この状況に持ち込むための展開がいくつか考察されている。

それこそエルペタス戦争時の「御前」こと御堂鋼作のような「悪意のある第三者の戦争への介入」「このような状況に誘導した黒幕の存在」などの登場により和解もしくは一時休戦・共闘、または京獅子連合などの第三者組織が間に立って冷戦状態に持ち込む流れになるという考察が有力視されており、この場合敵となる人物・組織が誰か(既存か新規かまで含め)という考察もされている。

また、今回の戦争は今度こそカタギから被害が出るのではないかとも言われており(実際、小林が「神城組の知り合いもぶっ殺す」とカタギ殺しを示唆するような発言をしている)、それによって本当に大事にしなければいけないのは因縁でもメンツでもなくシマやそこに住むカタギであると気づき終結...という流れになるのでは？とも言われている。