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概要

バルト人と呼ばれる人々に信仰されていた神話なので、バルト神話とも呼ばれる。


多神教であり14世紀頃まで国教として保護されていたが、16世紀にはカトリックが浸透したために、行事や風習には名残は残ったが神々は異教神となったために崇拝されなくなっていった。


しかし、後述のようにバルト三国と呼ばれる国家の中でも、リトアニアでは近代まで信仰が残されたため、この項ではリトアニア神話として扱う。


古くは諸部族ごとに土着の地霊信仰が行われていたが、リトアニアとして統一されるとともに地方神が神話体系に取り入れられることで国家的宗教へと移行したとされる。


自然現象や動植物が神格とされる、自然崇拝・アニミズムであったといわれ、輪廻転生の概念があり火葬を行うなどキリスト教とは全く異なる信仰であった。


なお、名目上カトリックとなったとされるリトアニアの人々は、19世紀末まで生活や信仰の中に異教の影響が強く残ってることを問題視する意見がカトリック側の資料に記載されている。


そのため、現在においてもキリスト教化が進んだ近隣の国家と比べ、かつての神々や英雄についての伝承が消失せずに民話として数多く伝わっているといわれる。


神々

  • アウシュリネ/アウスリネ(Aušrinė):明けの明星(金星)の女神。
  • インドラヤ(Indraja):木星の女神。
  • ヴァイヴォラ(Vaivora):水星の女神。
  • ヴァカリネ(Vakarinė):宵の明星(金星)の女神。
  • ガビヤ(Gabija):聖なる火を灯した炉を司る女神。
  • ガルダイタス(Gardaitis):船乗りに崇拝された嵐神で、海に棲む怪物の姿をしている。
  • クルミネー:農耕の女神で死神ピクラスに娘のニヨラを攫われる。
    • ニヨラ:ピクラスの妻となり不死となった少女。
  • サウレ/サウレー/ザウレ(Saulė):太陽の女神。
  • ザルティス/ザルチュス(Žaltys,Zaltys):サウレに寵愛された蛇神。
  • ジエズドレ(Žiezdrė):火星の女神。
  • ジェミナ(Žemyna):大地の女神。
  • セーリヤ(Sėlija):土星の女神。
  • ディエヴァス(Dievas):最高神であるとされた、剣を帯びた王の姿をした天空神。
  • パトリムパス(Patrimpas):麦の穂で出来た花冠を付けた青年の姿の神で、豊穣と蛇を司るという。
  • ピクラス/ピコリュス(Pikollos):鋭い眼光と白髭の老人の姿をした死神。普段は地獄に住んでおり、Pockolsと呼ばれる霊を従えている。
  • プラアムジス(Praamžius):運命の神。悪行にまみれた地上を粛正するため水と風の怪物を送り込み、一部の者たちを食べていたクルミの殻の破片を船に変え助けた。
  • ペルクーナス/ペルクナス(Perkūnas):白と黒の服を纏って角笛と斧を持つ、様々な色の大きな髭の雷神。落雷と嵐であらゆる悪を打ち砕く。
  • ミルダ:愛の女神。
  • メヌオ(Mėnuo):月の神で妻の太陽神サウレがいるのに関わらず、金星の女神アウシュリネと浮気しようとしたため、雷神に罰として引き裂かれ満ち欠けが生じた。
  • ユーラテ/ユラテ(Jūratė):琥珀の城に住む海の女神で、本来なら庇護する海の者のために罰を与えなければならない漁師カスティティスを愛してしまう。
  • リエトゥヴォニス(Lietuvonis):雨の神。
  • リンクスミネー:運命神プラアムジスによって子の居ない人間の老夫婦のもとに遣わされた精霊

参考

人物

  • ヴィルクメルゲ(Vilkmergėlė):リトアニアの都市ウクメルゲ(農場の娘)の語源である、伝承にある狼に育てられたという娘。
  • カスティティス/カスティーティス:バルト海で活躍した伝説の漁師で、海の女神ユーラテに愛されたが雷神ペルクーナス(もしくは最高神ディエヴァス)の怒りに触れ落雷で砕かれた。
  • カレヴィポエク/カレヴィポエグ(Kalevipoeg):エストニアの叙事詩に登場する、巨人カレフと雷鳥の卵から生まれたリンダの間に生まれた英雄。各地で悪い魔法使いを退治する。
  • ラチプレシス/ラーチプレシス(Lāčplēsis):ラトビアの叙事詩に登場する熊耳の英雄。熊の耳が力の源だった。

魔物

  • アイトワラス/アイトヴァラス(Aitvaras):願いを叶える力を持つが、最終的に不幸にしてしまう邪悪な小竜。蛇の精霊だが黒猫、牡鶏、龍、尾が燃えている蛇などの様々な姿に変身できる。
  • ヴェルニアス:赤(黒)と白の馬に曳かれた炎に包まれた石(鉄)の馬車に乗って飛び回る、死神であるともいわれる悪魔。雷神ペルクーナスに追いかけられている。
  • エグレ(Eglė):蛇の王に見込まれ蛇の女王になった少女。3人の息子と1人の娘を授かったが、里帰りした際に蛇の王を呼び出す呪文を娘が人間に教えてしまったため、子供達と木に変わってしまった。
  • カウカス(Kaukas):ドラゴンもしくはゴブリンのような姿の怪物。豊穣、収穫、富の精霊、あるいは宝物の番人とされる。気に入った家族には幸運をもたらしたり、他所から盗んできた物をくれたりする。
  • ジルヴィナス(Zilvinas):蛇の王。人間の少女エグレと契約し妻としたが、里帰りさせたエグレの12人の兄弟によって命を奪われた。
  • ナクシトラリッド(Naksitrallid):エストニアに伝わる小人のような存在。
  • ネリンガ:リトアニアの同名地域の名の元となった女神や屈強な少女とされる伝説の女巨人で、ドラゴンに求愛を受けたが断ったところ、人々が襲われるようになったのでクルシュー砂州を造成し村を守った。
    • ナグリス:ネリンガに求婚した邪悪なドラゴンともいわれる怪物。
  • バウバス(Baubas):痩せ細った長い腕、皺の寄った指、赤い目を有する邪悪な精霊。
  • ラガナス(Raganas):魔女。

エストニア

  • アイ/アイヨ/アイヤタル(Äi, Äijo, Äijattar):フィンランドの女精霊アイアタルに類似している精霊。森に住んでおり侵入者がいれば誰にでも襲いかかるという。
  • イルマネイツィ(Ilmaneitsi):エストニアの民族叙事詩カレヴィポエグに登場する大気の乙女もしくは空の乙女。フィンランドの叙事詩カレワラに登場する大気の女神イルマタルのエストニア版か。
  • イルマプー(Ilmapuu):世界樹。
  • エクシタヤ(Eksitaja):森や沼地で人々を道に迷わせる精霊。
  • エバヤルグ(Ebajalg):強大な力を持ち悪意のある精霊や悪魔だと信じられた竜巻。
  • クルムキング/キュルムキング(Külmking):冷たい靴という意味。落ち着きのない不浄な死者たちの精霊であり、森に迷い込んだ子供たちを食べたり、生者を悪魔に変えたりする。大地が死ぬ(冬になる?)とこの精霊は人々の元に戻ってきて放浪することで多大な被害をもたらす。
  • クンミトゥス(Kummitus):エストニア語で幽霊のこと。フィンランド語と全く同じ。
  • コエラコーンラセド/コイラクーンラセッド(Koerakoonlased):エストニア語でキュノケファロスのこと。キュノケファロスと同様に犬頭の人間として描かれる以外にも、体の片側が人間でもう片側が犬で目が額の中央に一つという姿とされる場合もある。遥か北の果ての氷原に住む人食い怪物であり、人間の集落を襲っては生け捕りにした人間を太らせてから食べる。犬の鼻先を持った悪魔的な戦士であるとも。
  • ハマリク(Hämarik):夕暮れの化身である美しい乙女。
  • ハル(Hall):マラリアの化身。
  • ヒンゲリブリカス(Hingeliblikas):蛾の姿をした人間の霊魂。
  • ヒンゲローム(Hingeloom):昆虫や小動物の姿をした人間の霊魂。
  • ルーパイヤナ(Luupainaja):睡眠中の人間を苦しめる精霊。

民話・児童書

  • クンクスモーア/クンクスおばさん(Kunksmoor):薬草や魔法で人々を助ける良い魔女のおばさん。
  • ゲディミナス:14世紀のリトアニア大公国の君主で、シュヴェンタラギスの谷での野営中に丘の上で遠吠えをする鉄の狼の夢を見たので、この地ヴィリニュスを首都とした。
    • ゲレジニス・ヴィルカス/鉄の狼(Geležinis vilkas):ゲディミナスの夢に現れた数百匹の狼を従える鉄の身体を持つ狼。
  • トビアス(Tobiass):ラトビアの児童書に登場する世界中を旅するぬいぐるみのクマ。
  • ピンギス・ポスト(Pingus Posta):ラトビアの児童書に登場する、ピクルスから生まれた少年。
  • マルトとアヌ:エストニアの児童書に登場する兄妹。おばあさんに教わりながら布や毛糸で作った人形シプシックは命を持つ。


関連タグ

リトアニア エストニア ラトビア バルト三国/バルト

プロシア ポーランド

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