概要
「潮騒のメモリー」とは、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」に登場する劇中劇、もしくはそのテーマソングとなっている歌唱曲である。
物語では天野アキが映画「潮騒のメモリー」を観て女優:鈴鹿ひろ美に憧れた事がきっかけの一つとなりアイドルになる事を目指す事になる。
また歌唱曲「潮騒のメモリー」は、物語の根幹に関わる楽曲となっている。
劇中劇:「潮騒のメモリー」
鈴鹿ひろ美がアイドルでデビューした1986年に主演した映画であり、その出世作となり、今に続く女優への道のきっかけとなった。
「著作権の関係で映像はお見せ出来ません」というメタな説明により本編中に映像は全く出て来なかったため詳細な内容は不明であるが、
お笑いタレント:鉄拳作によるアニメーションと、登場人物たちによる語りによると、
主人公である海女の悲恋を描いた、三島由紀夫の名作『潮騒』を思わせる内容、と思いきや、1980年代のアイドル映画にありがちな荒唐無稽かつ斬新な内容だった、そうな。
どんなんや(笑)
主人公:天野アキはこの映画を観て鈴鹿ひろ美に憧れ、アイドルを目指す事になる。
そしてアキがアイドルになるべく上京した2010年、芸能プロデューサー:荒巻太一により「潮騒のメモリー〜母娘の島〜」というタイトルでその続編が制作されることになった。
母親として主演する鈴鹿ひろ美のたっての希望でオーディションが行われ、その結果、天野アキがもう一人のヒロインとしてその娘役に抜擢されることになった。
制作は順調に行われ、2011年3月6日から公開された、のだが。
2011年3月11日、東日本大震災が発生。
「海を舞台としている」という理由で、わずか一週間で公開打ち切りとなってしまった。
歌唱曲「潮騒のメモリー」
上記の映画「潮騒のメモリー」の主題歌。
主演であった鈴鹿ひろ美が歌い大ヒットし、鈴鹿ひろ美の歌手活動の契機となった楽曲である。
昭和の歌謡曲を思わせるメロディーに、三島由紀夫の名作『潮騒』から「その火を飛び越えて」というフレーズが用いられたかと思えば、それから飛躍した文言が用いられたりと、映画「潮騒のメモリー」を思わせる歌詞となっている。
天野アキと足立ユイのローカルアイドルユニット「潮騒のメモリーズ」の名称はこの楽曲から命名された。
そしてイベントなどで自分たちの持ち歌として披露していた、のだが、
何故かアキの母親である春子はこの歌を歌う事に猛反発し、アキがアイドルになる事すらも反対してしまう。
そうなってしまったその訳とは。
以下ネタバレ。
実はこの歌を実際に歌っていたのは天野春子であった。
春子は荒巻太一により、鈴鹿ひろ美の影武者役をやらされていたのである。
17歳の時に上京した春子はアイドルとなるべくアイドルオーディション番組に出演し優勝するが上手くいかなかった。
しかしこの時、当時新人スカウトマンであった荒巻太一と出会い、その後、荒巻からのたっての願いで、実は超ド音痴であった鈴鹿ひろ美の影武者役を引き受ける事になった。
以降も、荒巻の「アイドルとしてデビューさせる」との言葉を信じて影武者をしていた春子であったが、ある時、自分はどうあってもデビュー出来ない事を察してしまう。
そして荒巻と喧嘩別れをし、アイドル、そして歌手の道を諦める事になる。
この一連の出来事が春子のトラウマとなり、娘であるアキの「アイドルへの道」に猛反対する動機となっていた。
ところが、それでもアキは諦めなかった。
そしてアキの一連の行動が、荒巻と鈴鹿ひろ美の確執と、春子のトラウマと無念を晴らしていくことになる。
「潮騒のメモリー」の現実での話
実際の作詞は主に宮藤官九郎、作曲はドラマBGMを担当した大友良英とサウンドトラック制作の「Sachiko M」による共作となっている。
制作過程の諸々については下記のリンクを参考のこと。
そしてこの楽曲「潮騒のメモリー」は「あまちゃん」の実質的なテーマソングとなり、現実でもドラマの人気に後押しされるように好評を博した。
天野春子役の小泉今日子によるCDの売り上げはオリコンランキングで初登場で3位を記録、以降も連続1位を獲得した。
そのためその年の日本レコード大賞の作曲賞を受賞した。
その他にもWeb配信、有線ランキングでも軒並み上位を記録した。
この好評に答える形で大友良英を中心としたした「あまちゃんスペシャルビッグバンド」が結成され、ライブ活動を行いそのDVDも発売された。
そして2013年の第64回NHK紅白歌合戦に「あまちゃん」企画コーナーとして出演。
「潮騒のメモリーズ:能年玲奈と橋本愛」と天野春子:小泉今日子、そして鈴鹿ひろ美:薬師丸ひろ子のリレー形式の歌唱が披露された。
そう、鈴鹿ひろ美も本編中で歌うことになるのである。
参照:セーラー服と機関銃
しかも人によっては小泉今日子よりも………
と、これは人によりけりなので、ここでの明言は避ける。
その一連のシーンは本編のクライマックスとなっているため、実際にその目で確かめて頂いた方がいいだろう。
そして北三陸市のモデルとなった岩手県久慈市では、時報チャイムのメロディーとしてこの「潮騒のメモリー」が用いられている。
時報チャイムで「あまちゃん」のメロディーが流れます。:久慈市市役所公式サイト