概要
「鈴鹿ひろ美」とは、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の登場人物である。
大女優であり、主人公:天野アキの憧れの人物。
そして「潮騒のマーメイド」にまつわる物語のキーパーソンの一人である。
解説
演:薬師丸ひろ子
北三陸の面々もよーく知っている、超有名な大女優。
現在も「BSプレミアム時代劇 静御前(劇中劇)」や、寿蘭子シリーズ「おめでた弁護士 PART14(劇中劇)」で主演を務めている。
ちなみにアイドルグループ「GMT47」のプロデューサー「荒巻太一」とは旧知の仲。
過去に仕事で組んでいたが、その後、関係を解消した、とのこと。
北三陸の実家にあった母:春子の「秘密基地」で、鈴鹿ひろ美のデビュー作である映画「潮騒のメモリー」を観たことから、主人公:天野アキの憧れとなり、目標の人となる。
アキの上京後、寿司屋「無頼鮨」で祝賀会をしていたアキとGMTたちの前にふらりと現れ、店内にいた客全員に寿司代を奢った。それに感動したアキがひろ美に握手を求めて声を掛け、熱烈なファン振りを見せた、といった形で出会う。
その後、アキが故郷で「潮騒のメモリーズ」を結成し「潮騒のメモリー」を歌っていた、と聞かされたひろ美はアキに興味を持ち、そしてアキは荒巻の紹介でひろ美の付き人をする事になる。
自分の演じる役や出演する番組を裏でボロクソにけなしながらも、本番になると見事に演じきる。
他にも、
夜9時を過ぎたら食事をしない。
朝食は良い声を出すために「鈴鹿スペシャル」と自称する中身が怪しい(待て)ミックスジュースの飲む。
またスタッフたちへの差し入れを忘れない。
などなど、「女優」という仕事をこなすための努力を怠らない、正にプロ中のプロ。
その一方で私服はいつも黒一色の服装をしており、その立ち居振る舞いからアキからは「割とふつーのおばちゃん」と思われている。
また嫌いになった付き人や運転手をあっさり解雇するなど、自他ともに認める「めんどくさい」性格。
初対面で酷く馴れ馴れしく近づいてきた大吉の事は極端に嫌ったが、その一方でかなり気さくで気安く親しみやすい。
物語終盤、北三陸に来た時にはその親しみやすさで、すっかり北三陸の面々の中に溶け込んでいた。
そしてアキを「昔の自分を見ているよう」と言い、気に掛けるようになっていく。
そんなひろ美だが、とある「重大な過去」を持ち、これが物語の主軸となる。
以下、いっぱいネタバレ。
実はひろ美は「超絶級のド音痴」。
絶対音感を持つ水口がひろ美の歌を聴くと、激しく拒否反応が出て悶絶してしまうほど。
そのためデビュー作の映画「潮騒のメモリー」の主題歌「潮騒のメモリー」を歌うためにはなんとかしなければならなかった。
そして当時のマネージャーであった荒巻太一が取った手段が「影武者を立て、鈴鹿ひろ美の代わりに歌ってもらうこと」。
そして影武者役に白羽の矢が立ったのが、当時アイドルを目指すために上京し努力していた若き日の天野春子であった。
こうして春子は「鈴鹿ひろ美の芸能戦略」の為に自身の人生を壊されてしまったのだ。
ところがそれを知らなかった春子の娘であるアキは映画「潮騒のメモリー」を見て鈴鹿ひろ美に憧れ、上京し、ひろ美と出会ってしまった。
しかも窮地に陥ったアキを手助けするために春子まで上京、ついに二人は対面してしまう。
ところが。
この頃からひろ美は天野親子、いや「一家」にさり気なくフォローを入れるようになる。
初対面をした時にはわざわざ春子の怒りを煽り、春子から事の次第を聞きだし、そして荒巻を呼びつけてアキのGMTへの復帰を促し、
映画「潮騒のメモリー」リメイク版を制作する際にはさり気なく助け舟を出して、アキが主演に抜擢されるようにし向けた。
また、アキの祖母の夏が東京へ遊びにやってきた際には、たまたま橋幸夫との縁があったため、夏が橋幸夫と再会出来るよう手助けをする事になり、夏とも親しくなっていく。
そして映画撮影をなんとかこなしたアキに「もしも自分に向いていなくても、続ける事も才能の一つ」とアドバイスを送る。
そんなひろ美の姿を見て、全ての元凶であった荒巻も覚悟を決める。
そしてアキの「潮騒のメモリー」レコーディング当日。荒巻は全てをひろ美に明かした。
しかし、ひろ美は既に知っていた。いや、気付いていたのだ。
自分の歌声が春子のモノに差し替えられていた事を。
それでも生涯、知らなかった気付かなかった振りをしようと覚悟していたのだが、アキと、そして春子に出会ってしまったのだ。
これまでのひろ美による天野一家へのフォローの数々は、春子に対する罪悪感から出たものでもあったのだ。
こうしてひろ美は荒巻と共に春子に謝罪し、春子はそれを受け入れたのであった。
その後、ひろ美からの申し出により、鈴鹿ひろ美は「スリーJプロダクション」に所属することになった。
ひろ美はアキと同じ事務所となり、春子社長の傘下に入ったのである。
そんな折、ひろ美は春子から「音痴様々」という暴言を受けてしまう。
「ひろ美のおかげで自分は結婚して、娘:アキに恵まれ、またひろ美と出会えた」という意味であり、そんなに悪気があった訳では無かったのだが、ひろ美はその言葉に傷付いてしまった。
特に「音痴」という言葉に。
実はひろ美には「自分が音痴である」という自覚が全く無い。
それどころか、音痴と指摘されると不機嫌になってしまうくらいにめんどくさい。
というわけで、ひろ美は「移ろいやすい音程(音痴の言い換え)」を克服するためにこっそり隠れてボイストレーナーを雇い、歌唱訓練を始めた。
そんな中、東日本大震災が発生する。
震災への恐怖心からスランプに陥り自分の生き方に迷いが生じてしまう。
そして迷いに迷った末、「今、自分がやりたいこと」として、東北でのチャリティーリサイタルツアーを、社長の春子に無断で勝手に決めてしまう。
こっそりボイストレーニングしていた甲斐があったのか少しずつではあるが「移ろいやすい音程」を克服しつつあったため春子がボイストレーナーを勤める事になったのだが、今度は「元スケバン」春子のスパルタコーチングに耐えられなくなり、リサイタル一番目の地、北三陸へと逃げ………向かってしまい、彼の地の面々をお騒がせ、また皆の騒ぎに顔を突っ込んでいく。(例:この二人のプロポーズとか)
あ、ちなみにひろ美と荒巻は付き合って別れた噂があったのだが、実は別れておらず長年付き合ってきた仲でありほぼ内縁関係であったのだが、震災を機に結婚を決めて今に至っている。
曰わく、仕事のパートナーとしてはダメだがプライベートでは別であったらしい(笑)
アキから打ち明けられたユイも現地でのボイストレーニングに協力し、荒巻は春子に「最悪の事態を回避する手段」を懇願し、各自、やれるだけの事をやって開かれた、海女カフェでの「鈴鹿ひろ美リサイタル」。
そこには見事に「大当たりな音程」で「潮騒のメモリー」を歌い上げるひろ美の姿があった。
しかも「三代前からマーメイド」、「親譲りのマーメイド」の替え歌付きで。
こうして「潮騒のメモリー」は、天野春子から鈴鹿ひろ美へと返されたのである。
歌手:薬師丸ひろ子の復活
ドラマ終了後、チーム「あまちゃん」の面々がその人気に後押しされる形で、その年のNHK紅白歌合戦にゲスト出演したのは有名なお話。
その中で鈴鹿ひろみ役の薬師丸ひろ子は、実は紅白歌合戦初出場であった。
そして翌年の紅白で、正式出場が叶うことになる。
ドラマ「あまちゃん」は「薬師丸ひろ子の歌手としての復活」を後押ししたのかもしれない。