ここから先はゴジラ最新作のネタバレになりますので注意してください。
【底知れぬ所からのぼって来る獣が、彼らと戦って打ち勝ち、彼らを殺す】
~ヨハネの黙示録の第11章7節より引用~
概要
メキシコの島『イスラ・デ・マーラ』の火山の中で眠っていた巨大な翼竜のような怪獣。ラドンは現地の古い伝承で『炎の悪魔』を意味するとされる。
長い間火山の火口の中にいたため体液が溶岩に近い性質を持った生物へと適応しており、翼の下部はジェット噴射のごとく常に燃焼している。
テロリスト達の手に渡った共振装置オルカによって目覚めさせられ、町を蹂躙。
モナークの誘導でモンスター・ゼロと激突することになり……?
容姿・能力
巨大な翼を備えた翼竜の如き身体に、後部に向かって伸びる二本の角を備えた頭部というオリジナルに近い姿をしているが、火山の中で休暇していた影響で全身が冷えた溶岩、または焼け爛れて硬化したような皮膚で覆われているのが特徴。
また、着ぐるみ故に人体の制約に縛られがちだった旧作のラドンに対し、本作のラドンは翼がかなり大きめなバランスで造形されている。
他にも翼と一体となった尻尾や脚についた棘など、細かなところに差異があり、ボツ案には翼を鳥の風切り羽根に置き換える案も存在したという。
体液が溶岩以上の高熱を帯びており、肉弾戦に応じた敵は、ラドンに触れるだけで焦熱で焼かれて火傷を負うことになる。又この高熱によりモスラの鱗粉を焼き尽くして完全に無効かしている。
また溶岩のような体のおかげで戦闘機のミサイル攻撃にもびくともしない強靭な肉体を持ち、体内の高熱により生まれる上昇気流でその巨体に似合わない優れた飛翔能力を発揮することができる。
さらに旧作と同じく飛行に伴って強烈な爆風と衝撃波を起こす特性があり、ラドンの直下のあらゆるものを吹き飛ばしてしまう。
余談
- 2017年に公開された同じモンスターバースシリーズの作品である『髑髏島の巨神』ではこれに先駆ける形でエンドクレジット後のラストシーンにてゴジラ、モスラ、キングギドラと共に意外な形で先行登場を果たしている。
- “溶岩の高熱に耐えられる体”という設定は、『空の大怪獣ラドン』と『vsメカゴジラ』のファイヤーラドンのオマージュ。「火山の爆発と共に復活を遂げる」というシチュエーションは、「火山の爆発に呑まれて死亡する」という『空の大怪獣ラドン』の結末と対になっている。
- 同作の監督マイケル・ドハティは、ラドンが大のお気に入りだという。
- そのせいなのかはしらないがサントラのテーマソングも他の怪獣よりだいぶ長い
関連イラスト
関連項目
婆羅護吽・・・本作とGMKの類似点は金子修介自身も認めている。バラゴンに関しては「世界中で怪獣の目撃が増加している世界において、ゴジラ以外の主要な登場メンバーは自身の他にモスラとキングギドラである」「山に眠っていたが人間によって起こされた」「覚醒直後に人間を襲っている」「熔岩や地熱に対応しているが先代とは異なり熱線は吐かない」「最大の脅威となる怪獣と真っ先に戦闘を行った」という点が今回のラドンと類似点がある。また、今回のラドンは熱を利用した上昇気流に関する能力を持つが、企画段階ではバラゴンも熱を発生させて冷気を出すアンギラスと協力して上昇気流を発生させてバランを飛行させる予定があった。
ケツァルコアトル…同名のタイタンの存在が確認されているが、ゴジラ・ザ・シリーズではケツァルコアトルこそがファイヤーラドンのオマージュとして登場した。
本性
凶暴かつ好戦的であり、自身に攻撃してくるものには容赦がなく、例え逃げ出しても執拗に追いかけまわす執念深さを持つ。
雲で視界を切って戦闘機を奇襲し、またオキシジェンデストロイヤーの爆撃からも生き残るなど、機転も利く抜け目のなさも持っている。
体躯で上回るモンスター・ゼロことギドラにも果敢に挑み、空中での激しい肉弾戦を繰り広げることとなった
……というのは予告編までの話で、上下関係がはっきりした場合は強者に従うちゃっかりしたところがあり、上述のギドラとの戦いに敗れ勝てないことがはっきりすると即座に服従の姿勢を表明、ギドラによる地球侵略においてはその片腕として露払いを勤めることとなった。
登場怪獣の取り合わせから「ゴジラ・モスラ・ラドンの三怪獣が協力してキングギドラを打ち倒す」という『三大怪獣地球最大の決戦』のような展開を予想していたファンの予想を覆し、「ゴジラ&モスラVSギドラ&ラドン」というタッグマッチへと発展。
ラドンとモスラによる激しい空中戦が繰り広げられた。
そして戦いが終わった後、ギドラを討ち、モスラを失ったゴジラの元に集結する怪獣たち。
その中にはシレッと何もなかったようにゴジラの側に控えるラドンの姿があった。
これには流石のゴジラも苛ついたのか牙を剥いて威嚇しており、怒られたラドンはどこか申し訳なさそうに顔を隠して土下座するように這いつくばるのだったーーー。
このような予告と本編でのギャップが話題となり、ゴマすりクソバード(二代目)やスネ夫、スタースクリームなどと呼ばれる羽目になった。
フォローすると「強大な怪獣に服従する」という行動パターン自体は他の怪獣達も同様で、ラドンだけが特別にゴマすりなわけではなく、KOMの世界における怪獣達の価値観では敗者であるゴジラに義理立てするモスラの方がむしろ珍しい。
またギドラの一声で従った他の怪獣と異なり、ラドンはきちんと一対一でやりあったうえでギドラに服従している。そのほか、他の怪獣が各地での破壊活動に従事しているだけなのに対してラドンは、ゴジラに加勢したモスラに戦いを挑むなど、比較的身体を張った見せ場が多いのも特徴である。
さらに劇中描写を見る限り、自分の溶岩の様な身体という特性もあるかもしれないが臨界点を越えバーニング状態となったゴジラの、ギドラが吹き飛んだ二度にわたる体内放射に耐えきっている可能性も指摘されており、実力が必ずしも低いわけでもなければ、単に虎の威を借りているわけでもない。
ラドンの在り方は「決して王にはなれない自分の分を弁えている」ともとれ、逆に言えばゴジラとラドンという実力者二名が敗れたからこそ他の怪獣もギドラに服従したという見方も出来る。
ちなみにマイケル・ドハティ監督は映画公開前「ラドンの忠誠心がどこにあるのか、完全には分かりませんよね。今回はその部分をきっちりと扱うことにしました。彼はどちらかといえば悪いヤツですから。[中略]人間の倫理観を動物にあてはめようとしてもうまくいきません。動物たちは我々と同じルールで生きてはいない。もう少し複雑なルールのもとで生きているんですよ」と語っていたそうである。