概要
タンムーズやタムズとも呼ばれるメソポタミア神話の女神イシュタル、またはシュメール神話のイナンナの配偶者とされる神で、シュメールの牧羊神ドゥムジを起源としているといわれる。
妻とは非常に仲睦まじかったが、猪の牙によって命を失ってエレキシュガルの支配する冥界に赴くことになり、それをイシュタル/イナンナが救出する「冥界下り」の神話が有名である。
バビロニアでは暦でタンムズの月というものが制定されており、彼は太陽神でもあり植物の実りを象徴していることから、冥界に赴いている間は冬になり、救出されると春になるとされた。
フェニキアに伝わったものはアドニスと呼ばれ、ギリシャ神話に取り入れられた。
悪魔のタンムズ
妻であるイシュタル/イナンナは性愛も司っており、彼女らとの関係は後代に勃興したアブラハムの宗教にとっては淫らなものであると非難された。
妻のイシュタルはアスタロトに零落したという説も存在し、タンムズ自体も神話で敵対していた蠍人間ギルタブリルと同一視され、蠍の姿の悪魔とされるようになったという。
ジョン・ミルトン著の『失楽園』において堕天使の一柱であると描写され、ヨーハン・ヴァイヤー著の『悪魔の偽王国』では地獄から派遣されたスペイン大使として紹介されている。